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ロドニア再建記 __お転婆姫と不本意な専属騎士  作者: AKIRA


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3 消えゆく紋章とつかの間の「普通」

 隠れ住むように居た保養地での数日、ユージンの身体を焼き尽くしていた黄金の熱は、ようやく微熱へと落ち着いてきた。鏡を見れば、呪わしく浮かんでいた四本爪の紋章もいまや古傷のように薄くなってきている。


(ようし!……これなら誰も気づかねえ……やっと家に帰れる)


しかし共鳴したゼノスは嘲笑っている。


ゼノス:「フン。痕跡を隠したところで、貴様の血そのものが黄金に染まった事実は変わらぬ……ルシウスよ、貴様がその安っぽい暮らしに満足している間にも、余の力は貴様の心臓と共に脈打っておるのだぞ」

ユージン:「うっせー、今はこっちの暮らしの方が大事なんだよ」


今すぐにでもアルベール邸へと戻ろうとしているユージンに、モランは苦言を呈す。彼はよもやユージンとゼノスが会話していることなど夢にも思っていない。


「……ユージン、待ちなさい。今のあなたの感覚は、鋭敏になりすぎているようだ。このまま下町に戻れば、見たくないものまで見えてしまう可能性があるぞ。……もう少し、この静寂の中で感覚を鈍らせるべきだ」

「……いいや。俺はあの騒がしい町中や、埃っぽい通りが心地いい。そうでなきゃ、自分が「普通の人間」だってことを忘れちまいそうなんだ……悪いな、モラン」


 ユージンはモランの忠告などお構いなしに、意気揚々と跳ねるような足取りで養成所のある下町へと向かった。


 下町の活気は、ユージンの記憶にある通りだった。だが、広場や酒場やらあちこちからは、かつてないほど高揚した噂話が聞こえてくる。


「おい、聞いたか?あの傲慢だったロザリンド一派が、一夜にして全滅したらしいぞ!」

「なんでも前王のゼノスの亡霊が現れたらしいぞ……まさかとは思うが」

「……ロザリンドという女、髪を振り乱して逃げ惑う姿を見かけたやつもいるってな。いやこれは……神の天罰だな……ありゃあ」

「神様って……本当にいるんだな……」


ユージンはその会話を小耳にはさみ、内心では安堵していた。


(……。よしよし。みんな『天罰』とか『神様』のせいにしいる。……あれは俺が単にブチ切れてやった仕業だなんて誰も思ってねえ。……これまでのように俺はまた、ただのユージンとしていられるはずだ)


ゼノス:「滑稽なことよのう、ルシウス。貴様が救った民草は、貴様を『神』として拝むこともなく、ただのうわさの種にしておるぞ……それでもいいのか?」

ユージン:「それで、いいんだよ。拝んでくれなんて誰もいってねえし。……もう少しで下町に着く」


懐かしいにおい。……自分はやっぱり平民でいられることが一番幸せなんだと改めて思うユージンであった。







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