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紅腕の白魔女  作者:
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19/21

ep.19 読み上げるだけで構わない!

エーギル「なんかあっちは面白そうな事してるねェ!」

シュラソー「こっちは退屈かぁ?!」


ザザシュッ!


シュラソー(切っても切ってもキリがねぇ...そりゃそうか、実体がねェんだもんな。)


エーギルは太さ2m程のミミズのような水の円柱を操り、シュラソーに向かって放つ。

シュラソーは流れる水の円柱をひたすら切り刻むが、やはりその水圧には耐えられない。


シュラソー「うぉァっ!!」


ガギッ!


【キャメロット】から落ちそうになるが、武器を甲板に突き立て何とか踏ん張る。

切り刻まれた水しぶりはエーギルの元へと戻ると、再び水の円柱を作り出しエーギルの周囲を旋回する。


シュラソー「スカーウ!変われ!」

スカーウ「了解だ。」

スルト(2対2ではなく、戦う位置を明確に分け1対1の状況を作るつもりか?)


スルトは高出力の炎で作った剣をスカーウに振り下ろすが、スカーウはグッと体を屈め、シュラソーの斬撃がスカーウの上を通過しスルトの剣を真っ二つにした。

シュラソーの背後からはエーギルが水を真っ直ぐレーザーのようにしシュラソーの心臓を貫こうとしていたが、屈んだスカーウがノールックで右手を突き出し、【電撃魔法】で圧水レーザーを弾いた。


エーギル「お前も【轟雷魔法】使えんのかよ?!」

スカーウ「これはただの【電撃魔法】だぞ?」

スルト(好相性、という訳では無いが、不利相性を帳消しにする苦肉の策でしたか。)

エーギル「おいスルト!アイツの相手はお前がしろよ!アイツ国王と同じで【轟雷魔法】使いだぞ!」

スルト「言ったでしょう。彼女は心臓、全ての魔法を扱える存在だ。」

スカーウ「俺は男だぞ。」

エーギル「噂には聞いてたけどよ、本当に使えるなんて思わねぇだろ...。」

スルト(信じてなかったんですね。)

エーギル「まぁいい。あの哀れな旧人類より出力が低いなら、圧倒的な圧力で押し流してやればいいだけ事だ!【極潤魔法 一面ノ青】オオウナバラ!!」

スカーウ(【極】?!このまま受けると必ず【キャメロット】から降ろされる。かと言ってあの攻撃範囲じゃまずかわせない。船室の裏側で耐えるか、いや間に合わない。考えろ、今すぐあの魔法に対抗出来る魔法を...。...そうか!)

エーギル「さぁ飲まれろ。」

スカーウ「【轟雷魔法 滅雷】ケラヴノス!」


ズドッ!!!


エーギル「今のは間違い無ぇ。国王の!」


【極潤魔法 一面ノ青】の第1波が大爆発を起こし、吹き飛んだ水がパタパタと雨のように降る。やっと視界が晴れた時、あの王が使っていた物と同じ本をめくるスカーウがいた。


スカーウ「読書は好きか?」

エーギル「根暗で嫌いだね。」

スカーウ「それが貴様の敗因だ。」

エーギル「文字嫌いがか?笑わせんなよ!」


エーギルは纏っていた水の円柱を細かく刻み、弾丸のようにスカーウに向けて発射した。


エーギル「【極潤魔法 漣】サザナミ!!」

スカーウ「【轟雷魔法 払雷】ブロンテス。」

スカーウ(距離を取る気か...)

スカーウ「【轟雷魔法 縛雷】ヘカトンケイレス!」


雷の腕でエーギルを拘束しようとするが、水を多く纏い、エーギルは自身まで電撃が届かないように対処した。


エーギル「貰い物頼りか?!」

スカーウ「【轟雷魔法 錬雷】キュプロクス!」


距離を保ちながらこちらの出方を伺う間にスカーウは次の攻撃の為に両手で電力を練りあげる。


スカーウ「その貰い物が怖くて近付けないんだろ?」


エーギル「【極潤魔法 一面ノ青】オオウナバラ!」

スカーウ「【轟雷魔法 滅雷】ケラヴノス!」


その戦いは激しく、まるで嵐により荒れた海上のようだった。


マーリン『これじゃ船上が海みたいだね。』

シュラソー「よそ見してる場合じゃアねぇぞマーリン!出せる武器全部よこせ!」

マーリン『コネクターはどうするつもりだい?』

シュラソー「出してさえくれりゃどうにかする!」

スルト「どれだけ武器があろうと、私の剣は止められませんよ。」


あまりの火力に近付けず、攻撃を受けるしかない。

その事にも気付いていたスルトは大胆にも自分の炎の剣をまるで鈍器のように何度も何度もシュラソーの【ディスコネクターMarkニ】に打ち付ける。

スルトの猛攻を受け続けたシュラソーの【ディスコネクター Markニ】は遂に耐えることが出来ず、ひとつのパーツが溶解破壊され連鎖的にバラリと崩壊してしまった。


スルト(今だ!)

シュラソー(マズイッ!!)


ガギッ!!


その一瞬の隙を見逃さずスルトはシュラソーの首に切り込むが、シュラソーは【ディスコネクターMarkニ】をすぐに手放し、【ツインエリミネーターMarkニ】を両手に構え間一髪で受け止めた。


スルト「今のを止めるとは。感心です。」

シュラソー「訓練戦では優秀だったモンでね!」

スルト「ですが、防戦一方のままですと、この武器も先程の武器のように...。」


ギギギギギッ!!


回転するノコ刃が炎と触れ、少しづつ赤熱していく。

シュラソーは咄嗟にスルトの下腹部を蹴り、すぐに距離を取る。


シュラソー(あとちょっと遅れてたらコイツも逝ってたな。武器が無くても時間は稼げるが、コイツも壊すと後が怖ぇ。)


シュラソーはチラリと操縦席の方を見る。


シュラソー(奴の纏う炎やあのエーギルって奴の水はこの武器で削り取れるが...あの剣の炎は高密度過ぎて切断しきれない。こうなると回転する刃が内部にまで熱を運んで内側からやられる。ならいっそ...)


ブツッン!


スルト(?!)


シュラソーは自身の腰のアダプターから【ツインエリミネーターMarkニ】のコネクターを引っこ抜いた。

動力を失った事で【ツインエリミネーターMarkニ】の刃は完全に停止した。


スルト「供給を止めたか。実に柔軟なアイデア。」

シュラソー「これでまだやれるぜ!」

マーリン『準備出来たよ。欲しい時に言ってくれ。いつでも出せるよ。』

シュラソー「俺の周辺適当な場所に出せ!すぐ使う!」


シュラソーはマーリンに合図するとスルトに急接近し、【ツインエリミネーターMarkニ】の片方をぶん投げた。

スルトはそれを弾くと、【ツインエリミネーターMarkニ】はグンッと不自然な挙動を見せスルトの左後から右前まで弧を描くように旋回した。


スルト(コレは...極限まで細い糸...?)

シュラソー「合金繊維ワイヤーってんだぜ。」

スルト「私の火力ならすぐにでも切れますよ!」


スルトは合金繊維ワイヤーが自身にとって不利な要素になる前に対処するため瞬時に断ち切った。

だが、シュラソーは既に【ツインエリミネーターMarkニ】をコネクターごと捨てていた。

シュラソーの背後の甲板がバカッと開き、飛び出した長い棒を掴みそのままスルトに向けて振り下ろした。

シュラソーはマーリンがこの場所にハンマーを出してくれると読んでいたのだ。


シュラソー「トリスタンのハンマーか。なかなか良ィモンじゃねぇか!」


ここに来て初めてスルトが攻撃を受けた。

ハンマーをすぐ横に投げ捨て、次は甲板から槍が飛び出した。スルトの剣撃を距離を取りながらいなし、隙を見て槍を突く。スルトは最初こそ槍撃をかわす事に専念したが、リーチにより自身が不利である事を認識すると、すぐに槍の側面を狙い武器を破壊した。

それに対しシュラソーは休ませる間もなく追撃する。

スルトの目の前で屈みこみ、炎の剣の攻撃をかわすと甲板から片手剣を取り出しそのまま切り上げた。

左後脇腹から右鎖骨まで一直線に入ったその一撃は間違いなく致命傷だ。

相手が人間であれば。


スルト「たかが一撃、調子に乗らないで欲しいですね!【轟炎魔法 妖火乱炎】ヨウカランエン!」


スルトはすぐに距離を取り、高火力で押し切ろうとする。


シュラソー「マーリン!!」

マーリン『了解した!』


前方から迫る爆風と炎を、甲板からどんどん出されるありとあらゆる武器を使い切り刻む。

拾い、切って、捨てる。

この動作をとてつもないスピードで行う。

それはこれまで数多の武器を扱ってきたシュラソーにしかできない事だ。


シュラソー「るあぁぁあっ!!!」


炎を切りながら少しずつ前進し、最後にスルトの腕を切り落とし、【轟炎魔法 妖火乱炎】を止めた。


スルト「...器用ですね。」

シュラソー「よく言われるぜ。」

スルト「素晴らしい剣技だ。旧人類には惜しい才能です。ですが、旧人類はどこまで行こうと旧人類の域を超えない。」

シュラソー「さっきから旧人類旧人類って...馬鹿にしてん...


ゴッ


とてつもない爆風がシュラソーを襲う。


スルト「【極炎魔法 終炎】ラグナロク。」


ガランッ


シュラソー「っぶねェ。」


シュラソーは甲板からマーリンが出してくれた大盾で身を守っていた。


スルト「エーギル!!」


エーギル「あいあい...やればいいんだろ?」

スカーウ「...待て!」

エーギル「顔が良い事に免じて、苦しまねぇように殺ってやんよ。」

スルト「エーギル。今こそニュクス様の任を遂行する時です。」

エーギル「お前はてっきりまだ生かす側だと思ってたぜ。」

スルト「肉体の準備は既に済んでいます。今なら収穫しても大丈夫でしょう。」

エーギル「まだ遊んでちゃダメか?」

スルト「お前も死ぬか?」

エーギル「ひゃー怖っ。」


スルト「【極炎魔法 始炎】プロミネンス!!」

エーギル「【極潤魔法 報ノ再始】ダイコウズイ!!」


シュラソー「スカーウ!逃げんぞ!」

スカーウ「いや駄目だ!この船がもたない!」

シュラソー「じゃあどうすんだよ!!」

スカーウ(考えろ考えろ考えろ!マーリンに頼もうにもすぐには対処できないだろう。【極魔法】で相殺できるか?いや俺1人じゃ無理だろうな。...そうか、俺1人じゃ!既に人間が使える事は元の持ち主で検証済みだ。不安要素は仮に俺が使った発動条件の魔法が引き継がれない場合か。俺には魔力があったから使えていただけか?)


『キング「機導と魔法、2つの力の共存、循環と調和」』


突然思い出すあの男の台詞。


スカーウ(もしかすると...!)


スカーウ「シュラソー!!」


スカーウがシュラソーに咄嗟に投げた物、それはあの本だ。


スカーウ「やれ!」

シュラソー「はぁ?!」

スカーウ「読み上げるだけで構わない!」

シュラソー「どうなっても知らねぇぞ!!」


スカーウ「【極氷魔法 最北風嵐】ボレアス!!」

シュラソー「【極雷魔法 神雷】ゼウス!!」


ズトォッ!!!


スルトとエーギルの魔法は【キャメロット】に直撃する前にスカーウとシュラソーの魔法によって空中で誘爆され撃沈を免れた。だが、その凄まじい衝撃は既に【キャメロット】が侵入していた氷海を叩き割り、船体は大きく傾いた。


ギャラハッド『2人とも!中に入って!』

マーリン『潜航するよ!!』

シュラソー「待てマーリン!アーサーは!」

マーリン『今は自分の安全だ!』

スカーウ「いや、この先アーサーは必要だ。」

マーリン『君達の言い分も分かるが、アーサーは自らの意思で私に落とさせたんだ。』

シュラソー「だからって...」

スカーウ「そういう事か。」

マーリン『あぁ。サテライト前にアーサーが残る事でケイを足止めし、我々が氷海に到着後、潜航を始めればあの魔人は我々を追うことが出来ずアーサーの居るサテライトまで戻るしかない。』

スカーウ「それなら浮上の待ち伏せとケイとの分断を両方同時に対処できる。」

シュラソー「待てって!だからってアーサーを見殺しにすんのか?!」

マーリン『最悪今頃...』

スカーウ「負けるのか?」

マーリン『相手はあの人類最強、ケイ卿だからね。』

シュラソー「俺は反対だ。俺だけでもこの船から降りるぞ。」

スカーウ「アーサーの死を無駄にするのか?」

シュラソー「お前まで...」

ギャラハッド『もう限界...!2人とも!早く!』

スカーウ「シュラソー、後で話がある。今は逃げるぞ。」

シュラソー「っそっ!!」

足元の甲板が開き、2人は貨物室へと避難する。

それと同時に船体は前方から氷海の底へと向け潜航を開始する。


スルト「逃がしませんよ!!」


ゴーストワイバーンに掴まって【キャメロット】を追うが、間一髪、完全に海中に潜ることができた。


エーギル「俺なら追えるが?」

スルト「構いません。彼女らは【魔導書】グリモワールを持っています。無闇に追えば【轟雷魔法】で返り討ちにあいます。それより、アーサーの方へ向かいましょう。」

エーギル「ケイが相手してんだから大丈夫だろ。ニュクスに何て報告すんだ?」

スルト「様を付けなさい。」

スルト「様を付けなさい。」

エーギル「様ニュクス。」


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