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紅腕の白魔女  作者:
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18/21

ep.18 死なば諸共とは言ったものだな

アーサー「久しぶりですね...兄者...いや、ケイ卿よ。」

ケイ「...。」

アーサー「スカーウ、そっちの2人を頼めるか?」

スカーウ「一人で大丈夫か?」

アーサー「あぁ、問題ねぇ。」


アーサーは腰の剣を抜きながら、ケイに歩み寄る。

ケイはそれに応えるように背中に背負った大剣を抜く。

抜くと言ってもそれはまるで巨大な岩石のような大剣で、今にもちぎれそうな汚いロープで背中に固定してあるだけだ。


アーサー「来い、エクスカリバー!」

ケイ「服従しろ。カリバーン。」


2つの剣がぶつかる衝撃は凄まじく、お互いがお互いを拒絶し合うように魔力がぶつかる。

ケイの一撃は重く、正面で受けたアーサーの足は甲板にバギッとめり込む。


スカーウ「アーサー!」

エーギル「よそ見かぁ?俺を見ろよ。」

スカーウ「?!」


アーサーとケイに視線を奪われた一瞬の隙にエーギルはスカーウをバックハグするように背後から抱きついてきた。

スカーウはエーギルの纏う羽衣のようなふわふわした布を掴み、一本背負いのように投げ飛ばそうとするが、その羽衣はパシャッとまるで水を掴むように、握ることができない。


スカーウ(物質じゃない?いや、魔力でもない。水か!)


エーギル「掴み所のない男だろう?【水泡魔法 水槽】アクアリウム。」


エーギルごと包み込むように四角い立方体の水が溢れ出し、スカーウを飲み込んだ。


スカーウ(水が離れない...窒息狙いか。)

ギャラハッド『スカーウ!耳を塞いで!トリスタン!』

トリスタン『分かってるよ!!』


スカーウの足元の甲板がガシャッと縦横50cm程の穴が開き、そこから細い砲弾のような物が射出された。


エーギル「ん?」


パァッンッ!!!


その鉄の砲弾はスカーウの目の前まで【水泡魔法 水槽】の中を浮上した後、爆音を発しながら破裂した。

その凄まじい衝撃波によりスカーウを閉じ込めていた水は辺りに霧散した。


エーギル「へぇ...やるじゃん。」

スカーウ「トリスタン、助かった。」

シュラソー「ウルァッ!!」


エーギルに向かいシュラソーが飛び込みながら斬撃を放つが、これもまるで水を切るようにダメージが無かった。


シュラソー「どうなってんだコイツぁ...」

スカーウ「恐らくあの魔神は肉体を持たない。」

織姫「肉体を持たない魔人?!」

スカーウ「自身の意識や思考、記憶を魔力に乗せ、その魔力で水を人型の形状にしている。いや、あの水自体もあの魔神の魔力から作られている。魔力が意志を持って動いていると思った方が正しい。」

シュラソー「切っても切れねぇ...って事ぁ、不死身じゃねぇかよ。」

スカーウ「何とかして撒かないと...」


ゴオォォッ!!!


突然巨大な炎が3人目掛けて降り注ぐ。

咄嗟に織姫がヤマオリに守るように指示を出すが、ヤマオリがチリチリと燃え始める。


織姫「ヤマオリ!」

スカーウ「【水創魔法】!」


スカーウが咄嗟に水をかけ事なきを得るが、もう戦闘できるような状態では無い。


スルト「早く済ませたいので、抵抗しないで頂くと助かるのですが...。」

織姫「貴様...ッ!!」

シュラソー「あーあ怒らせちまったなぁ...」

スカーウ「スルトは任せるぞ。エーギルは俺にやらせろ。」

シュラソー「何か倒せる方法を思いついたのか?」

スカーウ「あぁ。」

トリスタン『これを。』


無線が鳴ると、下の甲板から大きな鉄の箱がガコンッと飛び出してきた。ジャコッと蓋が自動で開き、中には新しいシュラソーの武器が入っていた。

長い薙刀のようだが、先端は以前までのような丸い円盤型ではなく、鋭く尖った刃がいくつも連なったような鎖が巻き付けられた鉄板の様なものが付いている。


シュラソー「これは?」

マーリン『私が設計しペリノアが新調してくれた武器さ。【生体動力式刃鎖裁断機 ディスコネクターMarkニ】だ。先端の鎖を高速で回転させその斬撃は対象の装備を削り取る。攻撃を受ければその刃を弾く。上手く使いたまえ。』

シュラソー「ついでに頼んでたコイツの新型はあるか?」

マーリン『驚いた。まさか両方使う気かい?』

シュラソー「コネクターに空きはある。デュアルコネクトも対応済みだ。」

マーリン『どうなっても知らないよ?またハーツ切れなんて起こしても、サルベージはしないからね。』


ガコンッ


次に飛び出して来たのは、既に持っている二刀型の武器に似ている。同じくチェーンソーの様な先端に置きかわっている新型だ。


マーリン『【生体動力式刃鎖裁断機二式 ツインエリミネーターMarkニ】だ。前から出来てはいたが渡すタイミングが無くてね。壊さないでくれよ。』

シュラソー「上出来だ!」


シュラソーは持っていた武器を置き、新しい2つの武器のアダプターを接続すると、【ディスコネクターMarkニ】を背中に担ぎ、【ツインエリミネーターMarkニ】を持ってまっすぐスルトへと走った。


マーリン『聞いてないね...。【Mark-】も壊してる自覚はあるのかな。』


ガギッ!


シュラソー(この炎の剣...実体があるみてェだ。)

スルト(炎が削られている...あの剣の特性か。)

スルト「名前は?」

シュラソー「シュラソーだ!よォく覚えときな!!」

スルト「シンプルな発想、素晴らしい武器ですね。人類の技術もここまで発展しているとは。」

シュラソー「切り刻んでやるよ!!」




アーサー「今までいったいどこにおられたのです?ケイ卿。」

ケイ「くだらん。」

アーサー「つまらない質問、失礼致しました。」

ケイ「たわけが。貴様のその態度だ。」

アーサー「と、言いますと?」

ケイ「まぁいい。猫を被り虎の威を借りているうちはまだ半人前だな。」

アーサー「その虎とは貴方の事ですか?尻尾を巻いて逃げた虎の威をどう借りると?」


ガギィッン!!


巨大な岩石のようなカリバーンとアーサーのエクスカリバーが衝突する。


アーサー(重いッ!!エクスカリバーごと潰されるッ!!)


エクスカリバーの鋒を下げ、受けたカリバーンを横に流した。落ちたカリバーンの切断より粉砕に近い斬撃はアーサーの横の甲板を破壊する。

流す際に下げた鋒を切り上げるようにケイを攻撃するが、ケイはカリバーンを瞬時に手放し、素早い踏み込みでアーサーの腹部にアッパーを入れる。


ケイ「カリバーンに集中し過ぎだ。」

アーサー「っぐ!」


そのまま後ろに倒れそうになるが、アーサーはケイの胸ぐらを掴んだ。


ケイ(踏ん張っただと?)

アーサー「得物に集中する癖はお互い様ですよ!!」


倒れなかった事に驚いたが、すぐにエクスカリバーを警戒したケイだったが、アーサーは掴んだ胸ぐらを勢いよく引き寄せケイの顔面目掛けて頭突きをした。


ケイ「少しは楽しめそうだ。」

アーサー「今は遊びの御相手をしている程余裕が無いので。」

ケイ「失望させるなよ、カリバーン。【瓦解】。」


ケイがカリバーンを振り上げたのを見ると、アーサーは素早く身構えた。どのような攻撃にも最高速度で反応しいなせるように。だが、カリバーンの一振はアーサーが想像していたものとは違った。

その一振はまるで空間を砕くような、カリバーンの攻撃の残像に触れた空間から崩れていくような、視覚で得られる情報ではその斬撃に光すら吸い込まれて行くが、肌で感じるのはその波が衝撃波となって迫り来る状況だった。


ゴオォォォォォッ!!!


巨大な空間を崩す波が【キャメロット】の船上を削り取った。幸いにも操縦席側には触れなかったが、エクスカリバーで【瓦解】を受けたアーサーは今まで感じたことの無い、存在しない圧力により凄まじい力で弾き飛ばされた。


バゴォッン!!!


突き出した船室の壁にアーサーは叩き付けられた。

先日の壁は魔獣の攻撃にも耐えられるように頑丈に出来ているが、それでも打ち付けられた衝撃は人の形で凹みを作るほどだ。


アーサー「...。」


スカーウ「アーサー!」

マーリン『マズイね。』

トリスタン『ギャラハッド!早くサルベージを!』


アーサー「...要らねぇ...ッ!」


シュラソー「無茶すんな!」

アーサー「無茶なんかじゃねぇよ...っ痛ぇな...。」


アーサーはエクスカリバーを杖のように突き立てゆっくり起き上がる。


アーサー「円卓を率いる(モン)が...この程度でくたばるかよ...。 それに俺が引いたら誰がケイ卿の相手すんだよ!」


ケイ「であらば、その意に応えるのが次期王である我の勤めだ。全身全霊を持って貴様を葬ろう。」


ケイはカリバーンを天に掲げ丸を描いた。丸は暗く周囲の光を取り込みおぞましい鏡のようだ。カリバーンに追従するその鏡をアーサーの方へ向ける。

対するアーサーもエクスカリバーで丸を描き、光り輝くその鏡をケイへと向ける。


ケイ「王からの寵愛だ。受け取るがいい。」

アーサー「回答は分かるでしょう?」


ケイ「【円卓ニ崩壊ヲ】collapse on the roundッ!」

アーサー「【円卓ニ王冠ヲ】crown on the roundッ!」


ゴッ


2つの剣から円柱状の魔力が放たれる。

2つの魔力がぶつかった直後、【キャメロット】の船上にて大爆発が起こる。

【キャメロット】は依然サテライトから離れるため加速を続けている為、黒煙は流されるようにすぐに晴れる。

大技を放った直後の隙にアーサーはケイに一直線に走る。

ケイもそれを目視し、アーサーの斬込みを警戒すべくカリバーンを盾にする。

しかしアーサーはエクスカリバーを振る構えをせず、エクスカリバーを投げ捨てカリバーンのポンメル側(刃とは逆のグリップの端)のグリップとケイの左腕を掴む。


アーサー「マーリン!!」


アーサーは決意の固まった瞳で操縦席を睨みつける。


マーリン(正気か?)


マーリンは一瞬躊躇うが、アーサーの目を見て、決断する。


マーリン『全く、君という男は...。』


マーリンは思いきり操縦盤のボタンを叩く。

するとアーサーとケイの足元の甲板が上に観音開きするようにバカッと開いた。本来は飛行兵器や飛行型の魔獣を迎撃する為のミサイルを発射する為の扉だ。

アーサーとケイの2人は高速で巡航する【キャメロット】の外へと打ち出される。


ケイ「死なば諸共とは言ったものだな。【鏡界魔法 映ニ世界】コノヨウツシ。」

アーサー(カリバーン由来じゃない魔法?!だが...!)


ケイは魔法を唱えると自身の足元に、鏡を作ると、その鏡を足場にし【キャメロット】へと飛び戻ろうとする。しかしアーサーはそのケイの両足を両手で掴み、氷の大地へと全力で叩き下ろした。


アーサー「物理的に即位させてるみたいですね!」

ケイ「貴様ッ...!」


ズドォンッ!!


2人が【キャメロット】から落ちるが、追われている為止まることは出来ず、叩き付けられ砕けた地面はどんどん遠くなりやがて見えなくなってしまった。


Q.スルトの事をどう思いますか?

エーギル「男に興味はない。」

Q.エーギルの事をどう思いますか?

スルト「不真面目。」

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