ep.14 板上の駒よ。今こそ堕ちる時だ。
雷の轟音で飛び起きたペリノアであった。
バタンッ!!
力強く扉を開け現れたのはアーサーだ。
アーサー「やっぱりか。」
スカーウ「急げ、この魔力...。」
アーサー「あぁ、分かってる記憶を消す魔法か。」
キング「いや、少し違う。此度は全てを消し去り、新たに記憶を植え付ける。言わば記憶の改変。」
アーサー「何が目的だ!」
キング「全ては人類の未来の為だ。」
スカーウ「人類の未来の為だと?」
キング「あぁ。」
アーサー「ふざけた事抜かしてんじゃねぇよ。」
キング「むしろ、絶滅を早めて居るのはお前達の方だ。」
アーサー「は?」
キング「人類が未来永劫この星に住まうには、魔人との協力は必要不可欠だ。それをお前達は...。」
アーサー「何言ってんだよ。」
キング「お前達はあの御方が何を成されようとしているのか想像も付かないだろう。」
アーサー「あの御方?」
キング「魔人を束ねる崇高な支配者、【紅の魔術師】スカーレット・ウィッチだ。」
アーサー「魔人には変わりねぇよ。人類を絶滅させるためにセコセコ動いてる奴らに手を貸して、未来が保証される訳ねぇだろ!!」
キング「今のままでは絶滅するだろうな。」
アーサー「じゃあなんで...
キング「人類の進化だ。お前達も見てきただろう?」
スカーウ「人類の進化?」
キング「我々、魔導師のアトリエは機導と魔法、2つの力の共存、循環と調和を成し遂げ人類を新たな段階へと進化させる。」
スカーウ「もういい。老いぼれの妄言に耳を貸してる暇は無い。」
キング「理解を得ないなら致し方ない。」
キングが巨大な辞書を取り出し、目の前に浮かせるとパラパラとめくり始めた。
アーサー「行くぞスカーウ、最優先はキングの背後のあの本だ。」
スカーウ「あぁ。」
キング「【轟雷魔法 滅雷】ケラヴノス!!」
ババリバリバリバリッ!!!
スカーウ「【岩石魔法 護壁】ゴレアペトゥラ。」
スカーウは右手を前に突き出すと、体の周りに周回する岩の破片をいくつも作り出し、雷撃を岩に吸収させた。
アーサーは剣を斜めに体の前に構え、一直線に走ってきた雷撃を弾き上げた。
キング「【轟雷魔法 払雷】ブロンテス!!」
王室中に充満した雷が一気にキングに集中する。
アーサー「気を付けろ!今の魔法、攻撃で散らした雷を回収する攻撃だ、キングに近付き過ぎるとかわせないぞ!」
アーサーが接近し、斬りかかるが雷が分厚い壁の様になり、キングに触れることが出来ない。
スカーウ「下がれ!【氷結魔法 貫尖柱】ヒョウダツラ!」
手のひらから尖った氷を打ち出した。が、雷の壁は氷をゴリゴリと削り取った。
キング「また最初から、【轟雷魔法 滅雷】ケラヴノス!!」
スカーウ「アーサー!後ろに!」
スカーウは岩壁を作り出すが、アーサーを同時に守る際、生成が間に合わず雷撃に右肩を撃ち抜かれる。
スカーウ「ッツ!!」
アーサー「大丈夫か?!」
スカーウ「構うな!!」
キング「【轟雷魔法 錬雷】キュプロクス。」
キングが両手を目の前で回すと、雷が練り上げられていく。
キング「【轟雷魔法 払雷】ブロンテス。」
練り上げた雷に更に回収した雷が集まる。
キング「【轟雷魔法 縛雷】ヘカトンケイレス!」
スカーウ「まずいな。」
雷が地面から腕のように生え、アーサーとスカーウの足を掴んで離さない。
アーサー「スカーウ!!」
スカーウはアーサーの合図でアーサーの足元の雷の腕を魔法で処理しようとするが、先程雷撃で撃ち抜かれたせいで腕が上がらない。
スカーウ「くっそ...!!」
キング「板上の駒よ。今こそ堕ちる時だ。【極雷魔法 神雷】ゼウス。」
視界が真っ白になり、光の次に轟音が響いた。
その音はサテライト中に響き渡り、まるで雷が落ちたような衝撃だった。サテライト内に住む人間は遠い昔から雨を知らず、もちろん雷などの概念もない。彼らにとって初めて見るそれは神が怒り撃ち落とした警告音、神鳴りだ。
城の上層階は轟音と共に崩れた。
しばらくして時間が経ち、崩れる音も収まった時、
ガララッ
岩の塊を内側から崩しアーサーが立ち上がる。
スカーウは直撃の瞬間、自身の後方の防御を諦めた。アーサーを背後に前方に左腕を突き出し、側撃の可能性のある両面だけを岩で防く事でタイムロスを大幅に削減、また左腕で雷を受けることで一か八かの過充電を行った。
もちろん左腕はプスンッと音を立て内部でショートしているようだ。普通に動かす分には問題ないが、しばらくオプションパーツは使えない。
アーサー「大丈夫か?」
スカーウ「問題ない。」
キング「まさか生きているとは。」
アーサー「国民を巻き込むつもりか?」
キング「必要な犠牲だ。【轟雷魔法 滅雷】ケラヴノス。」
ズバリリッ!!!
打ち出された電撃をアーサーは真っ二つに切り払った。
アーサー「いい加減にしろよ。人類の進化?人類の未来の為?今の人類もまともに守れねぇ奴に、人類の未来を案じる資格はねぇ!!行くぞ、エクスカリバー。」
握った拳からユラユラと魔力が立ち上る。その魔力はアーサーの剣を包み輝く。
スカーウ「見ろラモラック。これがお前が見捨てた今を生きる人間の、人間の未来を背負う男だ。」




