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紅腕の白魔女  作者:
12/16

ep.12 恩に着る

スカーウ「それにしても、たった7人か。」

ギャラハッド「元は11人いたんだよ。何人か死んだり抜けたり...。第2特殊は結成時の条約で11人より増やせないし減らせないの。だから席だけ余っちゃってさ。」

織姫「そもそも第2特殊機導隊は第1特殊機導隊の脱退メンバーで組まれた部隊なの。」

マーリン『必要とあらばまた君の部屋に資料を送ろう。』

ギャラハッド(マーリンの資料ハラスメントだ!)

スカーウ「助かる。」

ギャラハッド(読むの?!ホントに読むの?!いい人過ぎない?!)

アーサー「お喋りはそこまでだ。会議を始めるぞ。」

ラモラック「それにしてもどうしてこのタイミングで?」

アーサー「まずはこの動画を見て欲しい。」


アーサーの背後のモニターに映し出されたのはあの巨大な卵だ。


トリスタン「コレは...?!」

ラモラック「これが魔獣?!」

織姫「こんなに巨大な魔獣が居るなんて...」

ペリノア「こいつぁ...とんでもねぇな...」

アーサー「コレは俺達が"昨日"の調査任務で遭遇した魔獣だ。」

ペリノア「昨日?!」

ギャラハッド「えぇ?!私達は行くよって言ったじゃん?!」

ペリノア「んな話聞いちゃいねぇぞ!」

トリスタン「右に同じです。」

アーサー「時系列順に説明しよう。まず俺達は昨日、俺達の代わりに会議に出席してくれたシュラソーの代わりに第2機導軍の調査任務に同行した。そしてコイツに出くわした。」

ペリノア「話が見えねぇぞ??」

アーサー「この巨大な卵を大量の魔獣と1人の魔人が護衛していた。」

マーリン『魔人?』

アーサー「あぁ。炎を使う魔人だ。俺達はソイツに上手く逃げられた訳だ。スカーウは腕を失い、第2機導軍は壊滅。それが昨日起こった事だ。」

トリスタン「何度も言いますが、我々はその件について何も聞いていませんが。」

アーサー「問題はそこだ。俺達が調査任務に出たところから、サテライト内の人間の記憶がごっそり抜け落ちている。」

スカーウ「俺達が調査任務を開始した直後、俺とアーサーは突発的な頭痛を感じた。それと同時にサテライト側に巨大な魔力の反応を感じた。」

マーリン『記憶を消す魔法か。』

アーサー「その説が有力だ。でも、そうなるとひとつ引っかかるところがある。」

トリスタン「なぜ記憶を消す魔法を...」

アーサー「そのことについて、スカーウと話してみたが、この卵と魔人の存在を隠す為に記憶操作の魔法を使ったと思う。」

スカーウ「断定するにはまだ早いが、今のところはその線が怪しい。」

アーサー「そして、ここに来るまでに俺達は軍に尾行されていた。」

トリスタン「軍が尾行?」

アーサー「これで分かると思うが、軍の上層部に魔人陣営が居る。」

ペリノア「サテライト内部に敵か!」

アーサー「だからこそこの円卓にて情報を共有しようと思う。この会議室には第2特殊しか入る事が出来ない。それにここに保存された資料は軍には共有されない。みんなには情報を掴み次第円卓に来てもらいたい。もちろん今回のように会議を頻繁に開けば軍に気付かれるかもしれないから資料を保存しに来るだけでもいい。」

スカーウ「俺達は昨日の戦闘データと映像記録、それからアーサーとの考察をここに残す。何か思い当たる物があれば遠慮なく言ってくれ。」

織姫「それとは関係ない事なんだけど...」

アーサー「どうした?」

織姫「東のサテライト、まだ使えそうだったよ。」

ギャラハッド「本当?!」

織姫「かなり規模は小さくしたよ?しばらく留守にしてたのはその作業があったからね。それで、第2機導軍の残ったメンバーをそこに移動させるのはどうかな?」

アーサー「確かに、それならこのサテライト内で匿うよりリスクは少なくなるか。ギャラハッド、頼めるか?」

ギャラハッド「ガッテン承知!」

アーサー「それと、スカーウはその腕を何とかしないとな...。」

マーリン『おっと、その件だがもう済んでるよ。持ってきたまえシュラソー君。』


マーリンの掛け声と共に入ってきたのは黒いスーツ姿にサングラス、とても似合わない服装のシュラソーだ。

そして何かを持っている。

無言のままスカーウの前に来ると持っていた物を差し出した。スカーウはその持っていた物にかかっていた布をするりと取る。


スカーウ「これはッ!!」


何と形は違えどもすぐに分かるスカーウの腕だ。


マーリン『次から次にアイデアが思い浮かんでね。すぐに作ってしまったよ。』


美しく光を反射するその腕は白がメインで所々に赤い配線や装甲塗装が見られる。


スカーウ「恩に着る。」

マーリン『おっと、そのまま付けて貰って構わないよ。』


スカーウがその腕を近付けると、自動で配線と接合パーツが伸び腕に接続するとボルトが自動で締まる。

そのまま感覚がリンクすると試しにグッパッと手を握る。


スカーウ「素晴らしい出来だ。」

マーリン『しかし前のように長年使える物じゃないからね。これからは適度に手入れするんだよ。』

アーサー「慣らしの相手ならいつでもするぜ。」

スカーウ「上等だ。次は勝つ。」

ペリノア「パーツの追加と手入れは俺に任せな!」

織姫「じゃあ私とギャラハッドは第2機導軍を東のサテライトに連れて行くからまた2、3日したら戻るよ。」

アーサー「あぁ、助かる。シュラソーは着いて行かないのか?」

シュラソー「俺は残るね。まだやる事があるからよォ。」

アーサー「そうか、じゃあ今回の会議はこれで終了だな。そんじゃ解散!」


ーそれから数時間後、第2特殊機導軍兵舎の訓練室にてー


ガッギッギンッ!!


アーサーとスカーウが物凄い斬り合いをしている。

スカーウは新しい腕に装備されたオプションパーツ、おそらくレーザー兵器の一種であろう短めのエネルギーブレードを腕の手首から出している。


アーサー「遅いッ!」


ガギッ!!


スカーウ「お前の攻撃は正確過ぎる。だからこそ誘いやすい。」


アーサーの剣の振りを新しい腕で掴み防ぐと無防備な横腹に容赦のない蹴りを入れる。


ゴッ!!


脇腹を蹴ったとは思えない感触と音。


アーサー「残念だが、誘うのが得意なのはお前だけじゃねぇぞ。」


コートの中に縦に隠された剣の鞘で脇腹の攻撃を防いでいた。

剣の掴みが緩くなった隙に引き抜き、バックステップで一度体制を立て直そうとした時、


スカーウ「まだ甘い。」


何とスカーウの新しい腕がガシュッと音をたてて伸びたのだ。

そのまま胸ぐらを掴み一気に引き寄せる。

引き寄せられたアーサーは再びスカーウの首元目掛けて剣を振ろうとするが、スカーウの腕からミニガンがガチャンッと展開された。


アーサー「引き分けだな。」

スカーウ「そういう事にしておいてやる。」

シュラソー「お前、本当に強ぇな。」

スカーウ「サテライトの外で育てばこれくらい普通だ。」

シュラソー「そうじゃねぇよ。そもそも伸縮ピストンフレームもオプションパーツのミニガンも使った事ねぇだろ。初めてとは思えねェ挙動だ。」

アーサー「なんて言うか、戦闘中のアイデアを産む速度が早いな。小技の入れるタイミングが完璧だ。」

スカーウ「その時にできる最高の選択肢を選んだまでだ。それを可能とするこの腕がなかなか素晴らしい。ただひとつ物申すと、オプションパーツの展開までのラグが少しある。ミニガンを出すまでが早ければ掴みかかる必要もなかった。」

ペリノア「あー、フレームもオプションパーツも山盛りだからしょうがねぇか。よく使うパーツを優先的にちょいと微調整するぜ!」

マーリン『むしろ驚くね。ここまで機能を追加しておいて一度もジャムらずに運用、それどころが神経伝達のラグが少し程度で済むなんて、君はいったい何者なんだい?』

スカーウ「人の事が言えないな。新たな腕の話をしてからたった数刻でこの腕を仕上げたお前に同じ言葉を返したい。」

マーリン『私はただのエンジニアさ。』

シュラソー「次は俺とやろうぜ!」

スカーウ「お前の武器は傷が付きやすいから断る。」

シュラソー「なら素手でやろうぜ!」

スカーウ「練習にならないだろ...」

アモ「それなら俺とやろう。」

スカーウ「お前はあの時の...」

アーサー「織姫と東のサテライトに行かなかったのか?」

アモ「あぁ。俺はお前らと戦うさ。正直昨日の一件の黒幕で何があったかなんて、俺には何も分からねぇ。でも、俺がもっと強ければ結果は変わっただろうし、お前らがその黒幕と戦うって言うなら俺も戦う。仇討ちぐらいさせてくれ。」

ペリノア「アツいヤツは大歓迎だぜ!!」

スカーウ「アモ。対戦を頼もう。」

アモ「容赦はしねぇぜ!」


両者が広い訓練室の真ん中に立ち、他メンバーは離れた隅にあるシールドの裏で観戦する。


マーリン『これは見物だね。』

アーサー「一般軍人だ。あまり攻めすぎた寸止めはするなよ。」


アモ「舐められたもんだぜ。そんじゃ、行くぞ!!」


アモがスカーウに向かって走り出す。


スカーウ(アモの装備は両腕が機導、目立ったオプションパーツの武器はなく、手にはサブマシンガンの様な武器、遠距離攻撃も出来るが走り出したという事はおそらく腕に何か隠しているな。)


スカーウは最初ミニガンを構えたが、すぐにエネルギーブレードに切り替えて走り出した。


ペリノア「打たねぇのか?!」

アーサー「いや、最善手だ。」(アモが走り出したのは近接の方が理にかなった立ち回りをするからだろう。ミニガンで迎撃するより、こちらも近接で次のアクションを潰した方が安全だ。)


スカーウが斬り掛かろうとした時、何とアモがサブマシンガンを投げつけた。


スカーウ「?!」


ガギンッ!


咄嗟にエネルギーブレードでサブマシンガンを弾いたが、初撃で遅れをとった。

アモは手の平をスカーウに突き出した。


スカーウ(近接にはまだ距離がある。発射物が来るな。)


スカーウは腕を前に立て顔と心臓をカバーする。

しかし予想とは裏腹に殺傷能力の低い攻撃が来た。

手の平から発射されたそれは銃器ではなく濃いガス、煙幕だ。


スカーウ(見えないな、ここは少し卑怯だが、魔力を見れば位置は分かる。)


スカーウの感覚ではすぐ目の前から右側に移動するアモが見えていた。


ガギッ!!


エネルギーブレードを振るが何と相手の腕に防がれた。しかしダメージはありあと数回斬りつければ切断は可能だ。

そのまま続けて追撃しようとした時、


ズドッ!


横から飛んできたのは何とサブマシンガンだ。

スカーウはすぐに距離を取り状況を確認するが、離れたところをサブマシンガンが追撃する。


ズダダダダダダッ!!


スカーウはエネルギーブレードを仕舞うと、腕の装甲がバチバチと電撃を放ちながら展開した。


バヂィッ!!


電撃の球体がスカーウを覆うと、弾丸はその球体によって空中で停止した。


チャリリンッ


弾丸が全て地面に落ちた後、サブマシンガンの正体を知る。

あのサブマシンガンはアモの周囲を旋回していた。まるで意志を持ち追従する空中飛行ユニットの様に。


マーリン『おっと、電磁フィールドか。奇しくも似た者同士だね。』

アーサー「無線ファンネルみたいだな。」

マーリン『どうりで近接タイプな訳だ。自身の周りを旋回させるにはかなりのハーツを消費する。旋回範囲を狭める事でハーツの消費を抑え、近接的な立ち回りをする事で無線ファンネルの欠点である命中率をカバー、考えた戦術だ。それに一般軍人の支給品サブマシンガンでもそれなりに戦える。』


スカーウは一度深く息を吐くと、近接戦闘の構えを取り、電磁フィールドを常に展開し続けた。


アモ(ファンネル対策か。だが、煙幕を使えばまたさっきみたいな不意打ちが刺さる!)


アモは自身の足元に煙幕を発射させた。

サテライト内での犯罪者の制圧に長けた戦術。

アモが磨き続けた戦術。

しかし、それが通用するのはあくまで普通の人間だけである。


ゴオッ!!!


突如発生した強風に煙幕は一瞬で消し飛ばされる。


アモ「マジかよ...ッ!!」


スカーウ「【疾風魔法 神風】!」


スカーウの右手で収束された風はサブマシンガン目掛けてとてつもないスピードで放たれた。

吹き飛ばされたサブマシンガンはアモのオプションパーツの電磁浮遊フィールドの接続範囲外まで消し飛ばされた。


アモ「まずいっ!!」


サブマシンガンに目を取られたアモまでスカーウは一瞬で距離を詰める。


アモ「まだだ!!」


スカーウの左アッパーを掴みクルリと回し華麗な一本背負いを見せる。

しかし手応えがない。すぐに確認すると、スカーウは既に腕を肩から外していた。


アモ「機導を捨てた?!」


スカーウは相手の膝の裏を蹴り地面に膝まづかせると肩を後ろに引き馬乗りになる。


スカーウ「勝負ありだ。」

アモ「まだだって言ってんだろ!この状況の対策ぐらいしてんだよ!」


吹き飛ばされたサブマシンガンに手を伸ばすと、サブマシンガンはまっすぐアモの方角まで飛んでくる。


ペリノア「マグネットキャッチャーか!!」


すぐにアモの手まで戻ってきたサブマシンガンをスカーウに向けたが、アモは引き金を引かなかった。


スカーウ「勝負ありだろ?」


銃口には氷が纏わり着いていた。疾風魔法を放った時に氷結魔法も飛ばしていたのだ。このまま撃てば銃身が爆発していた。致命的なダメージにはならないが、サブマシンガンを失えば決定的なダメージを稼ぐ事が出来なくなる。


アモ「完敗だ。」


アーサー「やるじゃねぇか。」

アモ「なかなか惜しかったんじゃねぇか?」

アーサー「いや、そうとも言えないな。」

アモ「いや、かなり追い込んだ方だろ!」

シュラソー「スカーウの腕を取ったことはアドバンテージにはならねェぞ?」

アモ「どういう事ですか?」

シュラソー「お前が電磁浮遊フィールドを見せた時、スカーウは既にお前のサブマシンガンに狙いを変えていた。サブマシンガンを吹き飛ばした時、既にお前の攻撃する手段を奪っていた。その時もお前はサブマシンガンがまだ使える、不意打ちで勝てると思っていただろ?この時点で劣勢な状況に気付いて無かったんだよ。お前は腕を取った時点でサブマシンガンを防ぐ手段を奪ったと思っていただろうが、スカーウは腕をわざと取らせて隙を奪った。そもそもサブマシンガンを飛ばした時に細工しなくても、マウントを取った時点で魔法で制圧出来ていた。」

アモ「隊長ってそこまで考えれたんですか...?」

シュラソー「次は俺とやりてェのか?」

スカーウ「戦術は良かった。だが、相手の変化に対応出来ていない。おそらく今まで負けより勝ちが多かったんだろう。押された時の対処法をもっと磨くといい。」

アーサー「だが、体術もかなりいい。悪くなかったぞ。」

マーリン『御所望とあらば手を加えよう。いっその事ちゃんとしたファンネルを新調してあげようかい?』

アモ「いえ、その、一般軍人にそこまでして頂かなくとも...」

アーサー「そういえば...今って何席空いてんだ?」

ペリノア「円卓か?」

マーリン『4席だね。』

アーサー「そんじゃ残り1席だな。」

アモ「?」

シュラソー「異動申請は俺だけでいいよなァ?」

アーサー「そうだな。アモは既に戦死したって報告してるし。」

アモ「あ、あの...」

マーリン『隊服は私と織姫で何とかしよう。2、3日後になるが構わないね?寸法はまた送って置いてくれ。』

アモ「俺は一般軍人だぞ?」

アーサー「俺達と戦うんだろ?第2特殊ならお前も円卓に座れ。」

スカーウ「あいつは言い出したら聞かない。諦めろ。」


少し困った顔をしていたが、少し目を瞑った後、表情を引き締めた。


アモ「これから世話になります。」

アーサー「公衆の面前じゃねぇし、堅苦しいのはいいって!これからよろしくな!アモ!」

シュラソーがアーサーから第2機導軍の全滅を聞かされた時、実はかなりヘコんでました。それはもうかなり。

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