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13 ロジェの推察

 森を抜けて街道を歩いていると、後ろから馬車が近付いて来る音が聞こえた。


「ロジェ。乗っていくかい?」


 馴染みの御者らしく、後ろ姿だけでロジェだとわかったらしく声を掛けてきた。


「ああ。娘が一緒だからな。乗せて貰うぞ」


 馬車に乗り込んでリーズに抱っこされていると、魔法を使った疲れからか僕もリーズもウトウトしていた。


「リーズ、着いたぞ」


 その声で僕も半分目を覚ました。


 馬車を降りて門番に許可証を見せて町の中に入る。


「何だ。森に返すとか言いながらまた連れてきちまったのか」


 リーズに抱かれた僕を見て門番が笑いながら話しかけてきた。


「まあな。やっぱりリーズから離れなかったよ。まだ小さいからもう少し家で世話してやるさ」


「ハハッ。こんなに小さいんじゃ森に離すとすぐに魔獣に食われちまいそうだからな。…あれ? この子の尻尾って2つだったっけ?」


 門番に不思議がられて僕は慌てて尻尾を隠した。


 リーズも門番から僕を隠すようにしてくれる。


「気のせいだろ。それじゃ、またな」 


 ロジェは門番を軽く受け流すと、そのまま家へと向かう。


 門番はまだ何か言いたげだったが、次の人の対応に追われてそれ以上は何も言わなかった。

 

 何事もなく無事に帰って来た僕達をパメラが出迎えてくれた。


「お帰りなさい。どうやら怪我もなく帰って来れたのね。…あら? シリル。その尻尾はどうしたの?」


 パメラは目ざとく僕の2つになった尻尾を指さした。


「魔法の訓練をしてたらいつの間にか尻尾が二本になってたんだ」


 僕はゆらゆらと二本の尻尾を得意げに揺らして見せる。


「まぁ、そうなの。……。シリルが出かけた時より少し大きくなっているようだけど、気のせいかしら?」 


 パメラに言われて僕は自分の姿を見下ろしてみるが、自分ではよくわからない。


「そうかなぁ? 変わっていないように見えるけどなぁ」


 パメラはじっと僕の姿を見ていたが、やがて思いついたように口を開いた。


「シリル。ちょっと人の姿になってみて」


 何故パメラがそんな事を言い出したのかわからないまま僕はリーズの腕から床に下りると人型になってみせた。


 一瞬で狐から人の姿へと変わったが、妙に違和感を覚えた。


 あれ? 目線が違うみたいだ。


 まさか?


 本当に大きくなってる。


 僕は座り込んだままの状態から立ち上がってみるとちゃんと立てて歩けるようだ。


 よたよたと歩く僕をパメラは身悶えしながら抱き上げた。


「やだ、可愛い。前より一層可愛くなっちゃったわ。一体何があったの?」


 ギュッと抱きしめられて頬ずりをされる。


「あー、あー」


 クッ!


 相変わらず喋れないのは変わらないか。


 いつになったら喋れるようになるんだ?


 いい加減離して欲しくてパメラを手でペシペシ叩くが赤ん坊の体では大した力は入らない。


「シリル。前から聞きたかったんだが、どうしてシリルは人型になっても尻尾と獣耳が生えて来ないんだ?」


 ロジェに言われて僕は自分の頭を触ってみるが、確かに何もない。


 父さん達には尻尾と獣耳が生えていたのにどうして僕だけ生えないんだろう?


 僕はロジェと会話をするために狐の姿に戻った。


「父さん達にはちゃんと人型になったときに獣耳と尻尾が生えていたよ。兄さん達だってそうだったのにどうして僕だけ尻尾と獣耳が生えてこないんだろう…」


 ガックリと項垂れる僕に更にロジェが尋ねてくる。


「シリルのお兄さん達は魔法をどのくらい使えたんだい?」


 ロジェの質問の意図がわからないまま、僕は兄さん達が使えた魔法を思い起こすが、僕と同じでまだ魔法は使えなかったはずだ。


「兄さん達はまだ魔法を使えなかったよ」


 それを聞いてロジェは考え込むように腕組みをした。


 僕はロジェが何を考えているのかわからないまま、ロジェの返事を待った。


「シリル。これは俺の考えだが、シリルとお兄さん達とでは成長の仕方が違うんじゃないのかな?」


 成長の仕方が違う?


 何が違うんだろう?


「君のお兄さん達は普通の獣人と同じ成長をするが、シリルの場合は使える魔法の種類を増やす事で成長しているんじゃないかな?」


 え? それって、つまり…。


「僕が使える魔法をどんどん増やしていくと、体もどんどん成長するって事?」


 僕が聞き返すとロジェはゆっくりと頷いた。


「多分そうじゃないかと思っている。現に今日、シリルが使える魔法を増やすと尻尾が2つになったし、こうして人型になった時も体が成長しているからね」


 それを聞いて僕は俄然、やる気が出てきた。


「ロジェ。僕、やるよ。もっともっと使える魔法を増やしてどんどん体を大きくして早く父さん達の所に帰るんだ」


 勢い込む僕をロジェはなだめるように諭して来た。


「シリル。やる気が出たのはいいが、一気に覚えようとしても駄目だ。魔力には限界があるからね。下手に魔力枯渇を起こすと場合によっては死んでしまう場合もある。ここは地道に訓練するしかないんだよ」


 ロジェに諭されて僕はちょっと反省した。


 ここで下手に魔力枯渇を起こして死んでしまっては元も子もない。


「わかった、ロジェ。焦らないようにするよ。これからも魔法の指導をよろしくね」


 僕達の話が終わったのを見計らってパメラが明るい声で言った。


「それじゃ、美味しい物もどんどん食べないとね。さあさあ、手を洗ってらっしゃい。ご飯にしましょう」


 パメラに急かされ、僕らは手を洗う為に洗面所へと向かった。


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