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異世界少女、放浪記。  作者: げっとは飛躍のせつなさ
第1-8章 菜優、クーデターに巻き込まれる、のおはなし

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42/80

42 - 脱出作戦

 さて、ケルの先導でマリーナの町中を慎重に進む菜優たちですが、街は建物など見る影もなく壊されていて、慎重に進んでみてはいますが、視界を遮るものなど殆どありません。


 一方でケルが隠れることを促すことが殆どない程度には、菜優たちを追う人も多くないようです。時折身を瓦礫の下に潜めながら、ずいずいと進んで行きます。


 やがて、街の門が見えてきました。そこには逃亡者を見逃すまいと、少数のガードが立ちはだかっていました。三人はそれを遠目で確かめると、作戦会議を始めました。


「どうする?あれくらいふっ飛ばして進むのが一番早いと思うのだけれど」


「あかんよ、ケルちゃん。人殺すんはナシやに」


「とは言っても、どうしましょうか。街の惨状と比較して、未だ外隔壁は健在ですし…」


 菜優たちは、街を囲む外隔壁を見上げます。五メートルほどはあるだろう壁を見上げながら、菜優は口をつきました。


「ケルちゃん。私を背負しょっってさ、この壁をぴょーんって感じにさ、飛び越えたり出来やん?」


「…賭けになるわね。やれば出来なくはなさそうだけど、失敗したらあの高さから真っ逆さまよ。それでもあんた、確実にしがみついてられるんでしょうね」


 ケルが菜優を睨むように見やります。菜優はしばらく考えて、「…ごめん、やっぱナシやわ」と答えました。


 暴力的な運動能力を持つケルが居るからこその、いいアイデアと思ったのにな、と菜優はうなだれました。それでも街を脱出しなければならないので、他の方法を考えなければなりません。


「あとは…他の門はどうやろ。ガードさん、おらんかったりせんやろか」


「それこそ望み薄というものでしょう。クーデターが起こっているにもかかわらず、門兵を置いておけるほどに戦力に余裕があるですから、こうして門にとどまっておれるのでしょうし。他の門の状況が違うとは、想像しにくいですな」


 それもそうか、と納得し、やはり肩を落とします。下手に意地を張って他の門を確かめたりして、時間を無駄にすることのない菜優の素直さは、美点とも言えますね。


「海を泳いでくんは?ケルちゃん、行ける?」


「まだあの壁を飛び越えるほうがマシよ。あたし、泳いだことないんだから」


 あの手もダメ、この手もダメ。アイデアをいくつか出しては居ますが、有効な一手がなかなか出てきません。三人がううんと唸りながら考えてはいますが、時間は刻一刻と過ぎゆくばかりです。


「ううむ弱りましたな。やはりケル殿にあそこのガード共を蹴散らして貰うのが一番早いんじゃ…」


「それだけはダメ。最後の最後、奥の手にしたい」


「言っておくけど、あたしもあんな弱っちいのを一方的に蹴散らすのは好かないわ」


「やんな。それに、これ以上の人殺しはごめんやわ」


 そう言った菜優は、門を守るガードたちを見ていました。そう、あのガードたちにもきっと友達がいて、家族が居て、きっと大切に思ってくれている人が居ることでしょう。いくら生き返るのが当たり前の世界だからと言って、わざわざ殺す理由もないでしょう。


 それに菜優は先刻まで、自分が人を殺した事実を受け入れることが出来ずに、懊悩としていました。まだ吹っ切れてもないし、答えも出ていない今、わざわざ罪を増やす理由もないでしょう。


 そうは言いながらも、他の良手が出ていないのも事実です。さもなくば、ケルにガード達を蹴散らしてもらいながら強行突破するより他はないでしょう。


 他の手はないものか、と考えていた菜優は、外隔壁の一部にひびが入っているのを発見しました。他のひびは無いかと壁に沿うように視線を動かしてみますと、壁のところどころが焼けたように黒ずんでいるのがわかりました。


「なぁ、コアトル。壁がところどころ黒ずんでたり、ヒビが入ってたりしてるんやけど、あの辺りだけ爆弾のダメージが大きく入っとるとか、そういうことないかな?」


「ほほう?興味深い事を見つけましたな。どれどれ爆心地からの位置関係は…と」


 菜優の疑問に、コアトルが応えます。体をずずっと地中に埋めて、何かを調べ始めたようです。ややあって、コアトルが地中から出てくるとこう報告をくれました。


「爆心地は街の中心から考えて、やや南東にずれているようですな。南にあるのは海だから論外として…東側をさぐってみる価値はあるかもしれませんな」


 とりあえず、今目の前にいるガード達を蹴散らして進む、以外の手段になりそうなものは見つけました。こうやって街中を歩き回ったり作戦会議をしているうちに、いつまたガード達に襲われるか分かったものではありません。菜優達は見つからないよう慎重に、でもなるだけ素早く、東側の外郭壁を目指しました。


 街の東側にも当然門があって、そこにも当然のようにガード達が待ち構えていました。菜優はそれを認めると、逃げるように死角に隠れました。そして、祈るように外郭壁の様子を見ます。これでダメなら、最悪、東門の強行突破をお願いすることを想定しながら。


 東側の外郭壁は、他のところよりも黒ずんでいるところが多く、局所的に崩れているところもあるようです。菜優とコアトルが出した予想は、そこまで大きく外れても居ないかもしれません。


 菜優は、しめた、と思いました。穴の開いている場所があれは、そこから脱出出来そうです。そこで菜優は、外隔壁に沿ってぐるっと回って、南側には海が広がっていたので北に向かい、壁の様子を調べてみることにしました。

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