表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステゴロソウルイーターの冒険譚  作者: 鳥野啓次
第一章 ある男の転生
9/120

009-九死に一生の出会い

 魔物なのか、と聞かれて、俺は答えに詰まった。

 そも魔物という存在が何なのかが分からないので、その質問には答えようがないのである。

 なので俺としては、首を捻る以外にはどうしようもない。


「うーん……」

「『分からないか。では人間なのか?』」

「『村長?』」

イーク(はい)アバ(いいえ)


 しかし人間であるのかと問われれば、条件付きでイエスと答えられる。

 見た目と精神は人間だが、身体機能が人間ではないからだ。

 例えば人間がある日突然に化け物の姿になったとして、その人物は人間ではないと言えるだろうか?


 その答えは恐らく、『人間としての精神が残っているなら人間であると言える』となるだろう。

 何故なら『化け物が人の心を持った』のではなく、『人が化け物になった』という連続性がそこにはあるからだ。

 つまり俺はまだ、人間である。Q.E.D.


「『ふーむ、面白い』」


 村長は唸るようにそう言って、絶句する男の横でニヤリと笑った。


「『この男はどうやら人間らしい』」

「『確かに人間の形はしていやすが……この色で?』」

「『分からんが、少なくとも自分ではそう思っているという事だ』」

「イーク!」


 この村長は頭が回るし、恐らく好奇心旺盛だ。

 多分マインドスポーツとかやらせたら強くなるだろう。

 彼はひとしきり自分の顎を撫でた後、「『よし』」と一つ頷いた。


「『ヤグ』」

「『はい』」


 村長の声に、今まで喋らなかった方の男が返事を返した。

 どうやらそれが男の名前であるらしい。

 他の村人よりも少し色黒で、髪色が黒い。


 そして顔つきは精悍で、かなりのマッチョな男である。


「『お前のところでこいつを働かせてみろ』」

「『分かりました』」


 どうやら俺は、このヤグという男に世話になることになり、一先ずの死を乗り越えたようだ。



 ◇◇◇◇◇◇



 縄を解かれて外に出ると、すでに夕暮れ時で空が赤く染まっていた。

 この星でも、日の入りではそのような景色になるらしい。

 見ていると不思議と安心するのは、見知ったものを目にしたという郷愁だろうか?


 いや、単純に命の危機を逃れたと言うのが大きいのだろう。


「よかった……」


 もしも殺されることになって、あの剣で切られていたらと思うとゾッとする。

 今の俺は体を硬くする事ができるが、それで防げるのかというと、全く自信がない。

 何せ女性ですら俺をぶっ飛ばす腕力を持っている村だ。それより遥かに逞しい男が振るう凶刃は、いったいどれほどの威力があるのか想像もつかない。


「『それでは、あとは任せたぞ、ヤグ』」

「『はい』」


 頭を下げるヤグにそう言い残して村長たちが立ち去ると、ヤグは俺に向き直った。


「『ついて来い』」


 そしてポツリとそれだけを言うと、彼はさっさと歩いていってしまう。

 無表情で、何を考えているのかいまいち分からない。

 しかし俺としては彼に従う以外にないので、大人しくついていく事しか出来ないのではあるが。


「『仕事は明日からだ』」

「仕事?」

「『シゴト? ……何と言ったかは知らんが、今日することはない。これから行くのは寝床だ』」


 もう日が暮れるからという事だろう。

 見た目からして彼の仕事はかなりの肉体労働だ。

 夜になれば明かりがなくなり、まともに働くことはできなくなってしまう。


 しかしこの星ではこの時間になってもそれほど暗くはなっていないようだし、まだまだ活動はできそうなものだが……と考えて、ふと気づいた。

 そういえば今の俺は、暗くても周囲が見えるようになっていたのだ。


「うーん、改めて思うと便利だな」


 周囲の家屋の形もよく見えている。

 行き交う村人が俺を見ているのも、彼らがいい顔をしていないのも。


「……まぁそうだよなあ」


 彼らの認識的には、俺は雑魚い魔物とやらである。

 「殺さないの?」なんて言葉をしょっちゅうかけられるくらいには敵対している存在なのだ。

 今だって多分そう思われているだろう。


 全くどうして俺はこんな目に遭っているのか。

 こんな事なら人のいる場所なんて探さなければよかっただろうか?


「いや、うーん、でもなぁ……」


 しかし考えようによっては、死なずに人間とのファーストコンタクトを済ませられたとも言える。

 この敵対的な感覚がこの村だけのものでないのなら、他の村や街で捕まっていたら即刻処分されていたと言うことも十分にあり得るからだ。

 そう考えると、理解のある村長と出会えた俺は幸運だったと思わなくもない。


 とはいえ、痛かったり怖かったりしたばかりなので、そこまですんなりと受け入れるのも難しい話だ。


「はぁ……まぁ、ラッキーだったと思っておくか」


 大きなため息をついてそう口にすると、ヤグがチラリとこちらを見て睨んで来た。

 怖い!

 これからこの人の世話になるかと思うと、ちょっぴり涙が出そうだ。


 つまらなかった人生に戻りたいと思ったのは、これが初めてかも知れない。

えっ、言葉の通じない中で頭のいいキャラとコミュニケーションを?

でき……ヤダ! 小生ヤダ!

書くの難しいからヤダ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 文面からだと現状は拾われた労働奴隷に近いの印象。村人らが主人公を今後どう思い、どう扱うか……ちょっとキナ臭くなってきた(深読み)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ