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ステゴロソウルイーターの冒険譚  作者: 鳥野啓次
第二章 森の賊
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034-夜襲

<Side デルミス>


 気がつけば、とっぷりと日が暮れて夜になっていた。

 俺は勉強やら夕食やらでアルルゥとほとんどずっと一緒にいたせいか、時間が過ぎるのが妙に早く感じる。

 と言っても時間は普段通りに流れていたはずなので、楽しい時間は早く過ぎ去るという現象に過ぎないのだろうが。


「じゃあ今日の勉強は、このくらいにしておきましょうか」


 アルルゥが終わりを告げたことで今日の勉強も終わりを迎えた。

 それならば、アルルゥや他の団員が寝入ったら俺も逃げ出す頃合いだろうか───などと考えていると、ふとアルルゥが可愛らしく首を傾げて見せる。


「そういえば、何だか今日はみんな忙しそうだったんですよね。明日大物を狩りに行くとかで、ちょっと儲かるかもしれないらしいんです」

「ヘェ」

「あ、今日教えた相槌、もう使いこなしてるんですね。偉いです!」


 俺が相槌を打つと、アルルゥは俺の牢の中にまで手を伸ばして、俺の頭を撫で始めた。

 彼女が俺を褒めるのはいつものことであるが、だんだんそれがオーバーになっていっている気がする。

 悪い気はしないが、彼女からの子供扱いが加速している気がするのは何なのだろうか。


 俺はそんなに庇護欲が湧くような見た目はしていないと思うのだが……。


「それで、えーと、明日はみんながどんな獲物を狩ってくるか、気になりません?」

「ハイ、少シ」

「ですよね! それに、私たちとと取引してる闇商の人が来るのが4日後くらいなので、デルミスさんはもうちょっといても大丈夫だと思うんですよ」

「ナルホド」


 アルルゥは少し早口で、俺を引き止めるようなことを言った。

 俺に逃げろと言っておきながら、彼女がそんなことを口にするのは少々意外だ。

 しかしまぁ、甘い彼女のことなので、別れが惜しくなったとかそんな理由だろうとは予想がつく。


 俺としては彼女が願うのであればもう少しいてもいいとも思うが、ただこの鎖で締め付けられて殆ど動けない状態というのは、少々苦痛ではある。

 「とても苦痛」ではない。少々だ。

 何故なら俺の今生の肉体は不思議と疲弊しないので、つまりそれは肉体に疲労や苦痛が残らないと言うことなのだ。


 常に健康であり、暗闇も見通せる。

 通常の人類にとってのストレスになる要素が欠如しがちであると言ってもいいし、そのせいか俺の性格も少々楽観的になっている気さえする。

 つまり現在の俺は、非常にストレス耐性が強い生物になっているのだ。


 まぁそれでも暇が多いのは大変だが、最悪寝てしまえば良いという話でもあるし、耐えられないほどではない。


「分カッタ、3、(ニチ)

「え、ほんとですか? じゃあ私、もっとデルミスさんに言葉を教えられますね!」


 こんなことで恩返しになるかはわからないが、俺が彼女といられる時間はとても短いのだ。

 だから彼女が喜んでいるのなら、今はそれで良しとしよう。

 何、後3日もあれば、何か一つくらいは贈り物も思いつくだろう。


 思いつかなかったとしても、せめてそれまでここにいる程度のことはしてあげたい。


「きゃああああああああ!」


 しかし俺の考えは、そんなことは許されないとでも言うように、アジトに一つの悲鳴が響き渡った。


「え、何!?」


 団員の誰かの悲鳴であることは疑いようがない。

 しかしいかに賊とはいえ、彼女らも女性だ。何か嫌いなものでも見れば、悲鳴の一つもあげるものだろう。

 呑気にそのようなことを考えていた俺は、恐ろしく平和ボケしていたのだ。


「ン?」

「誰!」


 悲鳴の聞こえた方角から、複数の男が駆け込んでくるのが目に入る。

 誰も彼もが剣を持っていて、手当たり次第にテントに駆け込んでいるではないか。

 バルダメリア盗賊団に男はいないし、ましてあのような物々しい真似をする味方にする連中など、いる訳がない。


 つまりあの男たちは、盗賊団を襲いに来た他の賊なのだ。


「襲撃!? みんな、敵よ!! 『光よ(ラカラ)』!」


 アルルゥは俺ほどはっきりと見えてはいないはずだが、それでも俺よりも早くそのことに気がついていたらしい。

 彼女は右手を高く上げ、その先に眩い光の玉を生み出した。

 光球は周囲を一気に照らし、それによって彼女の目にもアジトの現状が映り込んでくる。


「いたぞ! そいつを殺せ!」


 そして同時に、光はアルルゥの所在をも敵に明らかにしたのだ。

 襲撃者たちはアルルゥの出した目印に向けて、脇目も振らず一直線に集まって来る。

 その数、10はくだらない。


 しかしその一方で、アジトにいるはずの盗賊団は誰1人として現れない。


「『クソッ!』」


 俺はそのことに気づくと『力』つかって鎖を引っ張り、木牢を壊しにかかった。

 だがそれよりも早く、襲撃者はアルルゥの元へと到達し、彼女へ向けてその手に持った(ファルシオン)を振り上げる。


「オラァ!」

「『硬盾(エルカー)』! 何で!? みんなは!?」

「チィ!」


 左手で不可視の盾を出し、襲撃者の攻撃を受け止めながら、アルルゥは驚愕していた。

 それは俺も同じことで、しかしだからと言って足を止めている時間はない。

 敵はアルルゥの出した光に向けて、一斉に殺到してきているのだから。


 何もかも、意味がわからない。ひどく恐ろしい。

 しかし今は考えるよりも、怯えるよりも、アルルゥを守らなければならない。


「『うおおおぉぉぉ!』」


 俺は引き裂くように木牢を破壊して、アルルゥに襲いかかる敵へと掴みかかるようにして飛びかかった。

 相手が武器を持っていることへの恐怖など、あまりの必死さに、一時(いっとき)俺は忘れてしまっていた。

頭の中ではストーリーが出来上がってるんだけど、いざ書いてみるとなかなか話が進まない不思議。

キャラが増えると描写が必要なことも増えるから、そのせいかな?

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― 新着の感想 ―
[良い点] バブみが加速している…いいぞもっとゲフンゲフン [気になる点] ついに対人戦闘回。人間の魂はどんな味かな? [一言] もしかして相手はお頭たちの不在を知っていたのかな? 襲いに来たのに見…
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