014-怒られるのは怖い
ここから会話の鉤括弧は日本語とそれ以外が逆転してます。
これ以上造語を作ると言語作り始めなきゃいけないから仕方ないんだ!
投稿時には言い忘れちゃったぜ(・ω<)テヘペロ!
<side 主人公>
「ジャール! ミラ!」
「えっ」
「やべっ!?」
ヤグの大きな声が響いた。
どうやら帰ってきたらしい。
ジャールとミラというのは二人の名前だろうか?
「何故お前たちがここにいる」
「あの……えっと」
「だって……」
ヤグは二人を威圧的に見下ろした。
どう見ても彼は怒っていて、これは二人が危惧していた通りの展開だ。
子供らは母親から俺の所在を聞いたと言っていたし、その時に注意はされた筈。
だから怒られるのは当たり前と言えば当たり前ではあるのだが、しかし言葉を教わっていた手前、二人が怒られるのを見ているというのも気が引ける話ではあった。
「あー、『あまり怒るのは』……」
ギロリ。とヤグの睨め付けが俺に向けられた。
怖い。彼の怒りは正当だし、それを止めることが正しく無いのも分かる。
しかし俺は二人には恩があるし、できれば今後も言葉を教わりたいと思っているので、やはり助けは出しておきたい。
それに流石に止めたからと言って殺されるとも思えないので、止めるだけなら気楽ではあるのだ。
「……ごめんなさい」
「わたしも、ごめんなさい……」
「ゴメンナサイ」
と言ってもそう簡単には止まりそうに無いので、俺に出来ることは一緒に謝ることだけだ。
俺は頭を下げたが、二人はむくれた様子で答えたのでヤグはまた睨んだが、やがて大きくため息を吐いた。
「どうやってここに来たんだ。ダイエンが……いや、母親に言われているだろう」
「森を通って来た」
「森には入るなと普段から言っている筈だ」
「だって……」
どうやって、と聞いたということは、普通はここへは来られないということだろうか?
ここは村の外れにあるとは言え、普通に地続きで極近距離である。
それが森を通る、つまり迂回しなければ来られず、また迂回すれば来られるということは、村への直接的な道は見張られていたりするのかも知れない。
「それとお前たち、ここで何をしていた」
「……」
「ジャール」
「……コイツに言葉を教えてた」
「イーク!」
そう言ってジャールが俺を指さすと、ヤグは俺をチラリと見たので、俺もジャールの言葉を肯定しておいた。
するとヤグは眉間に深い皺を刻んで、腕を組むと何事かを考え始める。
「……悪いことしてないし」
「そうだよ! 良い人は助けろってお母さんも言ってるもん!」
ジャールはヤグに対して不満そうに呟き、ミラも彼に続いて威勢よく続く。
「だが、この男は魔物だ」
「悪い人じゃないもん!」
「それは……」
二人にとって、俺は危険な人間ではないのだ。
森で初めて出会ってから、俺はこの二人に対して全く敵対的な行動をとっていない。
それどころか、先ほどまで笑いながら言葉を習っていて、半分遊んでいたようなものなのだ。
確かに二人は親の言いつけを破ったのだろうが、今この時の彼らの判断が間違っている訳ではない。
それに悪いと言えば、俺も悪いのだ。
二人が勝手にここへ来たことを知っていながら、好奇心と善意を利用して言葉を教わっていた。
まぁ帰らせようにも言葉が分からないので何と言えば良いのか分からないし、彼らを追い返して下手に印象を悪くするのもマイナスでしかないので、どうしようもなかったと言えばそうなのだが。
ヤグにもそれらのことは分かっているのだろう。だから彼は怒るべきか怒らざるべきか、それを悩んでいるのだ。
「お前たちの親には伝えておく」
「ヤグのおっちゃん!」
「ひどいよ!」
「だが、言葉を教えていたのは良いことだ」
「「え、わっ!?」」
ヤグはそういうと、子供二人の頭を乱暴に撫でた。
二人は驚いてから、満更でもなさそうな表情をしている。
手の平を向けるのはいけないのに、撫でるのは良いのかと思うが、そこは信頼あってこそということなのだろうか?
俺がやったら問題なのだろうなぁ。
「ここへ来たら、まず俺のところへ来い」
「いいの!?」
「どうせ、親の目を盗んで来るのだろう」
「うん!」
「やった!」
いや、「うん」じゃないが。
思ったよりもヤグは酷く怒らず、逆に折れたのは彼の方だったようだ。
察するに、二人はこの手のことをする常習犯なのではないだろうか。
そう言えば俺が二人と初めて出会った時も、親はおらずに二人だけであの地下通路まで来ていたようだった。
普段から森に入るなと言われていながら、あんな所まで入り込んでいる。
いつかこの二人が酷い目に合いそうで、心配になる話だ。
「だが今日はまず、親に謝るんだ」
「「えっ?」」
ヤグはそう言うと、ジャールとミラの首根っこを掴んだ。
「お前はもう少し待っていろ」
そして俺に声をかけると、二人を強制的に歩かせるようにして家の表側へと歩き始める。
「ま、待って! 良いんじゃないのかよ!」
「やだ! 離して!」
「駄目だ」
悪戯っ子どもを親に叱らせようと言う腹らしい。
それ自体は仕様がない話だ。
流石に親御さんの怒りは俺にはどうしようもないし、ちゃんと怒られた方が二人のためにもなるだろう。
「ラウー」
だから俺はヤグに了解とだけ返して、言ってしまう彼らを見送る事にしたのだ。
そう言えば、持ってきてくれると言う昼食はどうなったのだろうか?
メンテで投稿も執筆も出来なかった(´;ω;`)
親の心子知らず。
子供の好奇心は親の心配を軽くブッチしがちですよね。