通信教育
『【速報】6〜18歳の学生を対象に『通信教育』を実施』
…通信教育?と疑問に思った俺は、そのページを開く。
『吸血鬼対策本部は、6〜18歳の学生を対象に通信教育を行う。内容は、防衛班による対策本の内容に加え、吸血鬼の生態、次にどの地域へ行くかの行動予測などをリモート形式で講義する予定である。詳細は後日説明があるとの事。』
教育をして、何になるのだろうか。対策をして、どう変わるのだろうか。
行動予測をして、何を変えられるのだろうか。
教育をしたとしても、吸血鬼が過去の知識を凌駕する程に成長してしまったら?
対策をしても、動画の様に吸血鬼が腕を一振りすれば?
行動予測が仮にできたとしても、吸血鬼が気紛れを起こして目的地を変えたら?
穴を考えだしたら幾らでもあるが、ひとまず、レジュメを読んで寝る事にした。
愚痴ばかり零したものの、改めてじっくりレジュメを読み込むと、実に良く書かれている。
知識も内容こそ一般的だが、要所要所で図付きでわかりやすいようになっている。
生態についても、俺と違って実際に吸血鬼と会話はしていない筈だが、きっちり『人間が吸血鬼になった』と断定されている。
こんな本より具体的な対策をしろ!と思っていた俺でも魅入る程の大作だった。
とは言っても、やはり見ない人が見ないのは変わらないし、俺がこの本に魅入ったのは吸血鬼に只事ならぬ関心があったからで、一般的に見ればまだまだ「ただ分厚いだけの本」なのかもしれない。
それでも、本部に希望がある、というだけマシだが。
そんな中、電話が掛かってきた。明からだった。