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風紀委員長②

「なにか言ったらどうなの?」


「いやいや。俺はなにも」


両手を前に出し、フウカを静止するアレン。


「ふんっ。なら、さっさと生徒指導室にーー」


来なさい。


そう、フウカが言い終えようと思った瞬間。

目に見えぬ力。それが働きフウカの足がもつれる。


そして。


もみっ


「!?」


アレンの両手。

そこに倒れ込み、アレンの手のひらにフウカの胸が触れてしまう。


「なッ、なにやってんの!?」


「い、いや俺はなにも」


「……っ」


フウカは赤面し姿勢を正そうとするも、ラッキースケベは猛威を振るう。


「きゃっ」


また足がもつれ、今度はアレンに寄りかかって倒れてしまうフウカ。

しかも向き合うようにして。


フウカがアレンを押し倒した格好。

それにより、フウカの胸がこれでもかとばかりアレンの顔面に押しつけられてしまう。


むにっ


「こ、こここ。このッ、変態!!」


「い、息ができない。でも幸せです」


フウカの胸。

それに埋もれ、アレンは幸福そうな表情を晒す。


慌ててその二人に近づき、あたふたするココネ。


「う、羨ましい……そそそ。そうじゃなくてッ、二人とも大丈夫!?」


本音を飲み込み、ココネはなんとか二人を引き離そうとする。

だが、ラッキースケベは止まらない。


「わわわ。わたしも足がもつれーー」


「ちょっ、あんたまで転ぶの!?」


胸を押しつけたまま焦る、フウカ。


「幸せダブルパンチ」


などと訳の分からないことを呟く、アレン。


そして案の定。

ココネもまた盛大に転び、追い討ちをかけてしまう。


フウカとココネはもつれあい、互いに赤面。

そして、アレンは昇天間近。


アレンの顔面。

そこにはココネのお尻が押しつけられ、下半身にはフウカの胸が密着している。


その光景。

それに拍手を送る、男子たち。

そして女子たちは「自分たちもああなりたかった」という風に、羨ましそうな表情を浮かべていた。


「な、なにがどうなっているの? 動いたら下品なことばかり起こるんだけど」


「う、うん。えっちな風さんにいじめられたときのことを思い出すよ」


「えっちな風さん?」


「うん。け、今朝もこんなことがーー」


「な、なら。下手に動かないほうがいいかもね」


「だ、だね」


頷き合う、二人。


このままだと窒息死する、アレン。

それも幸せだが、まだ死ぬわけにはいかない。


ラッキースケベ(レベル30)解除。


「あ、あの。そろそろ退いてくれませんか?」


アレンはなんとか声を発する。

それにココネとフウカは怯える。


「またなにか起こっちゃうよ」


ぐりぐり。


「そ、そうよ」


むにっむにっ。


「だ、大丈夫。大丈夫。てか、このままだと俺。死ぬ。そ、そそそ。それも幸せだけど」


必死に二人を諭す、アレン。


それにようやくーー


「し、慎重に慎重に」


「ゆ、ゆっくり。ゆっくり」


警戒しながら、アレンから身を起こすフウカとココネ。

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