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追放されし少女⑤

こうして始まった、ハーレム監視生活という名の事実上の軟禁。


「では確認するわ」


アカネが黒板の前に立ち、チョークを鳴らす。


「第一条。アレンは許可なく移動禁止」


今更な話だが、アレンは静かに従う。


「え、でもそれって歩くのも禁止?」


「そう。スキルポイントが貯まるから禁止」


「呼吸は? 呼吸でもスキルポイントが溜まるんだが」


「今のところ合法。窒息しちゃうでしょ、あんた。あっ、でもあんたなら呼吸しなくても呼吸できちゃうかもね。やっぱり、禁止」


「基準が曖昧すぎだろ」


 無慈悲にも、黒板には箇条書きが増えていく。


・無断スキル使用禁止

・女の子に近づくときは半径二メートルルール

・発言前に発言内容をアカネさんに相談

・ドヤ顔禁止


「四つ目おかしくない?」


「主観的に一番被害が出てる」


アカネは即答だった。


「そもそも」


フウカが腕を組み、深刻な顔で言う。


「どうして“胸のことで困ってる”女の子が、こんな短期間で来るのよ」


「えっと」


アレンは目を逸らす。


「紙を世界中に貼ったから?」


「どれだけ行動力あるのよ!!」


「一歩歩くたびにポイント貯まるから、つい」


「ついで済ませるな!!」


 全員からツッコミが飛ぶ。


「え、えっと」


居心地悪そうに、フィオナが小さく手を挙げた。


「わ、わたし。やっぱり帰った方が」


「ダメ」


フウカとアカネの声が重なる。


「えっ」


「あなたは今、問題の中心人物よ」


「そ、そんな」


 フィオナは完全に涙目だ。


「だ、大丈夫だフィオナ!」


 慌ててフォローに入るアレン。


「俺は女の子を泣かせる男じゃない!」


「今まさに泣きそうになってる原因はあなたよ」


サーシャの冷静な一言が刺さる。


「でもさ」


ココネがぱっと明るく手を叩く。


「フィオナちゃんが来たのは偶然じゃないと思うんだ」


「どういうこと?」


「アレンくんの力って」


 ちらっとアレンを見る。


「困ってる人を引き寄せちゃうんじゃない? ほら、今までもたくさんの」


「「確かに」」


全員が納得する。

実際、スキルポイントが+5されたのが何よりの証拠だった。


「つまり」


 サーシャが結論づける。


「これからも、同じような女の子が」


「来る?」


「来るわね」


「しかも増える」


「だよね」


アレン、静かに天を仰ぐ。


「俺、世界の公衆トイレか何か?」


「自覚はあったのね」


その時。


《スキルポイント+1》


「今、誰か動いた?」


全員が静止する。


「アレン?」


「いや。俺じゃない」


「じゃあ」


視線が、フィオナに集まる。


「えっ!? わ、わたし!?」


「一歩。前に出たわね」


「ひぃっ!」


《スキルポイント+1》


「……」


沈黙。

アレンは、ゆっくりとフィオナを見る。


「フィオナ」


「は、はい」


「貴女が俺の近くにいると」


「いると?」


「歩かなくても、強くなるみたいだ」


「えぇ!?」


「最悪じゃない」


フウカが頭を抱える。


「決まりね」


アカネがパン、と手を打った。


「フィオナは一時保護」


「い、一時保護!?」


「アレンから目を離さない係」


「え、無理です! 怖いです!」


「安心しなさい」


アカネは微笑む。


「怖いのは、これからよ」


「ひどい!!」


アレンは苦笑しながら、ぽつりと言った。


「なあ」


「なに?」


「俺、ただ平和に学園生活したかっただけなんだけど」


「それは諦めなさい」


「即答!?」


全員、うなずく。


「あなたがいる限り」


フウカがため息混じりに言った。


「この学園は、平和にならない」


「ですよねー」


《スキルポイント+1》


「今のため息で?」


「たぶん。もう、俺でもよくわからん」


「もうやだこの人」


こうして。


トラブル体質の万能チート男と、それを管理するヒロインたち。

そして新たに加わった困り系、貧乳ヒロイン・フィオナ。


日常はさらに騒がしく、ハーレムはさらに過密になり、アレンのスキルポイントは今日も、勝手に増えていくのだった。

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