見聞共有
〜〜〜
「よし。これで無血開城だ」
煌びやかな玉座。
そこに座り、アレンはロッカスの王冠を被る。
そしてそのアレンの太もも。
その上には幼女と化したロッカスが座っていた。
ちょこんと。
まるで借りてきた猫のように。
そんなアレンの真正面。
そこには、五人の女将軍とブラックドラゴンが佇んでいる。
「アレンくん。似合ってるよ、その王冠」
「そうか。そうだろう、そうだろう。流石、俺って感じだな」
「流石アレンくんって感じだね。お祝いに……コレで顔。挟んであげよっか?」
ぼいんっ
アレンの眼前。
そこに色っぽく移動し、いつものように胸を揺らすブラックドラゴン。自分の手で。上下に。
案の定。
「はぁ、全く。ブラックドラゴンさんは男心をよく理解しておられる。あっ、そうだ。自由と平等になったことだしおっぱい品評会でも開こうかな。審査員は勿論、俺一人」
いつものようにアレンは己の欲に飲まれる。
「ブラックドラゴンさんは既にSSS級確定。女将軍の皆さんも……ふむふむ。見たところ、S級〜SSS級はくだらない一品をお持ちで」
透視(レベル100)
それを発動し、居並ぶ女将軍たちを査定していくアレン。
「ライライ」
「は、はいなの」
片膝をついたまま。ライライは顔だけをあげる。
健康的な褐色。黒髪の頭に生えた小さな一本の角。
口元からは八重歯がのぞき、とても可愛い。
「めちゃくちゃかわいいな。これからの成長。それに期待を込めてのSSS級!!」
「わ、わぁい。うれしいの」
アレンの品評。
それに棒読みで喜びを露わにする、ライライ。
そして。
ウンディーネ。
リーフ。
加えて、ダーク、ライト。
その四人にもアレンは目配せ。
「ふむふむ。俺の品評。それは女の子ってだけでS級確定だからな。よって全員ッ、SSS級!!」
胸の大きさ。
そんなものアレンには関係ない。
女の子。
たったそれだけでSSS級が確定してしまうガバガバ査定。
それがアレンの品評会なのだ。
「う、うれしいな」
「わーい。わーいっ」
「お、女の子ってだけでSSS級?」
「お、女で生まれてよかったぁ」
ウンディーネ。リーフ。ダークとライト。
その四人はそれぞれ、アレンの品評に「女」であることに喜びを表現。
それにアレンは更に続ける。
「よーしっ。こうなったら」
気分を高揚させた、アレン。
放置された瀕死のアランとブリザーク。
その二人にアレンは手のひらをかざす。
そして。
「巨乳美女になれ」
性別変更(レベル1000)
体型変更(レベル1000)
有無を言わさず力を行使。
桃色の光。
それが二人の男将軍を包みーー
数秒後。
「うっ。お、俺たちはまだ生きているのか?」
「死んで……ない?」
アランとブラザーク。
その二人は赤髪と蒼髪が麗しい巨乳美女に早変わりしてしまう。
「ははは。これで七人の女の子が俺の嫁になった」
満足げに頷く、アレン。
そんなアレンにロッカスは身震い。
こ、この男。ほんとになんでもできるのじゃ。
最強? いや、そんな言葉に収まる次元の男ではないのじゃ。
「ん? ロッカス。どうしたんだ?」
「い、いやなんでもない」
「ふーん、そっか。あっ、そうだ」
なにかを思い出し。
「ロッカス。王都を俯瞰できるバルコニーにいくぞ」
そう声を発し、アレンはロッカスを抱きかかえ立ち上がる。
だがロッカスは嫌な予感を覚え、拒否。
「い、いやじゃ。我はお昼寝がしたいのじゃ」
「お昼寝?」
「そ、そうじゃ。よよよ、幼女だからの」
「いきなりお昼寝なんて言われてもな」
「ね、寝る子は育つと言うじゃろ?」
「うーん。確かにそうだが」
「じゃろ? ば、バルコニーより寝室に。我は成長期をなのじゃ」
だが、そこはアレン。
「いや、待てよ。おい、ロッカス。見た目がアレだから騙されそうになったぞ。おまえ……元はおっさんなんだから成長期もクソもねぇだろ」
「バレたのじゃ」
「ったく。油断も隙もあったもんじゃねぇな」
バチンッ
「いッ、いたいのじゃ!! 尻が壊れるのじゃ!!」
そうやってバルコニーに向かっていく、アレンとロッカス。
その姿。
それを面々は笑顔と畏怖(七将軍の面々)をもって見送ることしかできなかった。
〜〜〜
王城。
その王都に面したバルコニーに、ロッカスとアレンは現れる。
吹き抜ける風。
それに二人は髪を揺らし、その顔に対照的な表情をたたえながら。
「おい、ロッカス」
「し、尻がいたいのじゃ。き、きさまぁ……事あるごとに尻を叩きよって。かれこれ100発はいかれたぞ」
真っ赤に腫れた小さなお尻。
それをさすり、恨み節のロッカス。
そんなロッカスにアレンは応える。
「95発目くらいから数えてないからな。まっ、100発も110発もそんなに変わらないだろ」
ひょいっ
声を響かせ、再びロッカスを脇に抱えるアレン。
そして。
「にしても。幼女はやっぱりかわいいな」
つぶらな瞳。
透き通った幼子特有のもちっとした肌。
そしてなにより。
「屈辱じゃ。仮にもフラツカイザの王であった我がこのような姿に。ぐぬぬぬ。こ、これでは権威もクソもないではないか」
見た目に合わない口調。
それがアレンの心をくすぐる。
「それより、ロッカス」
「ん?」
「さっきの言葉。覚えてる? ほら、玉座の間で」
「さっきの言葉じゃと? うーむ……お、覚えておらぬ」
"「い、今この瞬間よりッ、この国は自由!! そして平等じゃ!! 牢に幽閉されおる政治犯ッ、そやつらもすべて解放する!!」"
口笛を吹き、誤魔化そうとするロッカス。
「まっ、俺が覚えているから問題ないけど」
ばちんッ
「ひぇっ!?」
「思い出した?」
ばちんッ
「しッ、尻を叩くでない!! 主の尻叩きはめちゃくちゃいたいのじゃ!!」
「これでも手加減してるんだぞ。レベルでいったら10ぐらいだな」
尻叩き(レベル10)
「どうだ? レベル100も試してみるか?」
振り上げられる、アレンの手。
それが金色に輝く。
尻叩き(レベル100)
「いやじゃッ、いやじゃ!!」
泣き叫び、じたばたともがくロッカス。
「しッ、尻叩きで終わる人生など我は望んでおらぬ!!」
「そうか。なら、さっさと思い出してくれ」
「おおお。思い出したのじゃ!!」
血相。
それを変え、ロッカスは叫ぶ。
「これよりこの国は自由ッ、そして平等なのじゃ!!」
「そうそう。って、一人で叫んでも仕方ないだろ」
声を発し、力を行使するアレン。
招集(レベル100)
対象……フラツカイザ全国民
「よしこれで全国民が眼下に集まる。そこでもう一度今言ったことを大声で宣言してくれ」
「こ」
「こ?」
「この姿でか?」
「当たり前だろ。あんたの王としての威厳を無くすことも目的だからな……よいしょっと」
「なっ、なにをするのじゃ!?」
「なにって肩車だけど?」
ロッカスを肩車し、更に眼下を見渡しやすくするアレン。
そしてそれはロッカスが衆目に晒されやすくする意味もあった。
わらわらと集まる全国民。
そこで更にアレンは力を行使。
視力上昇(レベル1000)ーーフラツカイザ全国民の視力を100倍にする。
聴力上昇(レベル1000)ーーフラツカイザ全国民の聴力を100倍にする。
視線固定(レベル100)ーー全国民の視線をロッカスに固定。
「よしこれで老若男女全員があんたの姿と宣言を見て聞くことができる」
「ふぇぇ。ば、化け物なのじゃこの男」
「うーん、全国民じゃ物足りないな。全世界の人間ともロッカスの晴れ姿(幼女)と宣言を共有しないと……見聞共有(レベル1000)発動っと」
「!?!?」
見聞共有(レベル1000)ーーアレンの見たこと聞いたこと。これ全てが世界の人間と共有される。




