アレンVS軍事大国③
「おッ、王よ!! たった今我が城の門が破られ敵が城内に侵入!! その数ッ、およそ数千!! なお雪崩のように敵が押し寄せている為ッ、まだまだ数は増える模様!!」
響く一人の兵士の声。
それにしかし、ロッカスは動じない。
「狼狽えるな、愚か者め」
「しッ、しかし!! このままでは王の身も危ないッ、はやくお逃げください!!」
「えぇいッ、うるさい!!」
「「……っ」」
煌びやかな玉座。
そこから勢いよく立ち上がり、眼下で焦燥する兵士たちを一喝するロッカス。
そしてその目を血走らせ、ロッカスは更に言葉を続けた。
「我の前。そこで耳障りに喚くな!! 逃げる? そのようなことができると思うのか!? 我がそのような腰抜けだと思っておるのか!!」
「も、申し訳ございません」
ロッカスの勢い。
それに発言した兵士はその身を小刻みに震わせながら、謝罪。
そして兵士たちに、ロッカスは指示を出す。
「後数分持ちこたえろ。さすれば、各地に展開した我が精鋭がこの場に集結する。そうすれば、戦局は一変するのだからな!!」
フラツカイザの精鋭。
その数、7人。
皆、一人一人が最強という呼び声が高い存在。
「か、かしこまりました」
ロッカスの命。
それを受け、兵士は立ち上がる。
そして一礼をしその場から立ち去ろうとした。
だが、そこに。
「停戦条件。それは自由と平等」
響く、アレンの声。
途端に勢いを無くし、戦意を喪失してしまう兵士。
皆、さっと横に退きアレンの前を開けてしまう。
だが、ロッカスは鼻で笑う。
「ふんっ。自由と平等だと? そんなもの我が国には必要のない概念。自由と平等が無かったからこそ……この国はここまで大きくなることができたのだ」
玉座に座り--
「時にお前は何者だ? 名を述べよ」
己の視線の先に現れたアレンへと問いかける、ロッカス。
そのロッカスの問い。
それにアレンは応えた。
「俺はアレンと言います。隣国からやってました」
お辞儀をし、更に続けるアレン。
「今日は、女の子を弄んだ落とし前。それをつけてもらう為にここにやってきました」
ロッカスの姿。
それを見据え、アレンははっきりと言い放つ。
だが、ロッカスは笑う。
「隣国? あぁ、あの弱小国のことか。アレン? 聞いたことのない名だ」
「……」
アレンの瞳。
そこに宿る静かな闘志。
「それに女子を弄んだ落とし前だと? お主の言っているのは人の女子のことか? それとも……人形のことを言っているのか?」
「おい」
「なんだ。不敬者」
「今、なんて言った?」
「貴様。誰に口を聞いておる」
「今、なんてほざいた?」
みしっ
アレンを中心にし広がる、蜘蛛の巣状のひび割れ。
それがアレンの意思を体現するかのように刻まれていく。
それにしかし、ロッカスは拍手。
「なんという力、素晴らしい。人の身でありながらその力。実に素晴らしい」
声を響かせ、手のひらをかざすロッカス。
そして。
「だが、しかし。不敬の罪は償ってもらうぞ」
自らの双眸。
そこに漆黒を瞬かせ、ロッカスは己の力を行使。
絶対王政(レベル1000)
……自らの国に踏み入れた者。これ全てを忠誠させる。
支配(レベル500)
…….忠誠した相手。それを支配下におきどんな命令でも実行させる。
刹那。
空間が歪み、場に居た兵士たちは自我を失う。
「そいつの首をはねろ」
「「仰せのままに」」
目から光を無くし、アレンを取り囲む兵士たち。
皆、剣を構えアレンに殺気を向ける。
瞬間。
「透明化解除」
解かれる、透明化。
そして響く無数の声。
「アレン殿。敵方には停戦の意思なし」
「一気に攻め滅ぼすのです」
「はなから交渉の余地などなかった」
「「おぉぉぉ!!」」
アレンの背後。
そこで姿を消し様子を伺っていた軍団が姿を現し、臨戦態勢に突入。
「アレン殿ッ、突撃命令を!!」
「容赦など不要!!」
「さぁっ、アレン殿!!」
そしてそれに混じり--
「アレンくんっ、わたしも準備万端だよ」
同じく姿を消していたブラックドラゴンも姿を現し、戦闘態勢に移行。
漆黒の焔をたぎらせ、殺意を撒き散らす。
最後に、アレンは問う。
「最後だ。停戦の意思は?」
「ふんっ。幻影の兵たちになにができる!! 停戦? 今更怖気づきよってッ、ははは!!」
「作戦名、突撃」
ゴゴゴ……
響く地鳴り。
揺れる大地。
数億の軍勢。
それがアレンの命に従い、突撃を開始。
たった一人の王。
それにめがけ、情けも容赦もなく。
「見せかけの幻影。恐るるに値せぬ」
余裕をかます、ロッカス。
そしてそんなロッカスの目の前。
そこに現れる、七人の精鋭たち。
曰く。
「王よ、お呼びで」
「王様。わたくしになにか用でしょうか?」
「びりびりなのっ」
「いきなりの招集はおやめになってください」
「まだ心の準備ができてないのです」
「いきなりすぎ」
「だよね。こっちの都合も考えてほしいって」
炎将軍アラン。
水将軍ウンディーネ。
雷将軍ライライ。
氷将軍ブリザーク。
草将軍リーフ。
闇将軍ダーク。
光将軍ライト。
その七人が現れ、そして一瞬で。
「女の子以外は排除」
響く、アレンの追加命令。
そして。
「邪魔だ」
「どけッ、雑魚共!!」
「道を開けろ!!」
「アレン殿の命により女以外は邪魔だ!!」
軍団たちの怒声と共に、女将軍以外は枯葉のように弾き飛ばされてしまう。




