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アレン勢力①

 女の子たちの欲しい物。

 それを全て配り終え、アレンは帰路についていた。


 悪しき女の子たちは全員改心。

 そしてアレンの創造した豪華な屋敷で皆、くつろいでいる。


「お呼びがあればいつでも馳せ参じる」


 そんな誓いをアレンと交わして。


 〜〜〜


 時は既に夕刻。

 夕焼けに染まった山道を、アレンは下っている。

 オーディンと、スルト。

 そしてロキといっしょに。


「ふぅ、気分爽快だぜ。たくさんの女の子の笑顔。それを見れただけで、俺は幸せだ」


 幸福そうなアレン。


「悪しき女の子でも女の子は女の子。俺にかかれば全員マイスイートハニー。うんうん。いいことをしたあとは気分がいい」


 アレンは自画自賛をし、自分のしたことにとても満足。

 オーディンはそんなアレンにかける。


「アレン」


「あっ、はい」


「主は理解しているのか?」


「へ? なにがですか?」


 オーディンの問いかけ。

 それにアレンは腑抜けた返事をする。


 思いあたるフシ。

 それが全くない、アレン。

 そんなアレンに、オーディンは続けて声をかけた。


「今までお主が手駒にしたモノたちの数と戦力。それはもはや、この世界の全ての軍事力を合わせても余りある。加えて、アレン。お主自身の力はーー」


「全てを超越。なろう思えば創造主にでも破壊神にでもなれるよね」


 オーディンの言葉の続き。

 それを話し、子どもっぽく笑うロキ。

 そのロキの笑いに、アレンは応える。


「うーん……女の子にチヤホヤされる方がいいかな。創造主とか破壊神とか。女の子に怖がられそうなものになりたくありません」


「相変わらずブレないな」


 スルトの声。


「そこがブレたら俺じゃないですし。ははは」


 笑い飛ばし、アレンは空を見上げる。

 そして自分に目覚めた力に改めて感謝を表明。


「この力が目覚めてほんとに感謝です。誰が与えてくれたのかわからないですけど……あっ、そもそも人じゃない可能性もありますね。そしたらどうやって感謝したらいいんだ?」


「感謝(レベル1000)とか?」


 ロキの提案。


「そうか。その手があった」


「んー。感謝(レベル1000)ってどんな感謝なんだ?」


 アレンとスルトの声。


「うーん……一言で気持ちが伝わる感謝かな」


「そもそもスキルは不要ではないか? 感謝。それは心を込めれば自ずとレベル1000になるのだからな」


 達観したオーディンの意見。

 それに面々は同時に頷く。


「うん、その通り。素晴らしいです、オーディンさん」


「褒めることでもなかろう」


 照れくさそうに笑い、先に進むオーディン。


 そのオーディンの後。

 それをアレンたちは笑顔で追う。


 そして。


「内も外も知的で美しい。非の打ち所がないオーディンさん。むしろ完璧すぎて畏れ多いんだが?」


 そう内心で呟くアレンであった。


 〜〜〜


 そして、翌日。

 朝日が差し込む、学園長室。

 そこにアレンと学園長がテーブルを挟み、向かい合って座っていた。


「アレン。君は今日をもってこの学園の特別名誉学生だ。授業は全て免除。卒業まで自由に過ごして構わない」


「えっ、授業が免除?」


「あぁ。君の力があれば授業など受けなくとも平気だろ。どんな科目。どんな実技でも」


「ま、まぁ確かに」


 対面に座る、学園長。

 その顔を見つめながら、アレンは頷く。


「でも学園には通ってもいいですか?」


「あぁ、構わない。自由にやってくれ」


 アレンの言葉。

 それに学園長は頷き、立ち上がる。


 その学園長の背。

 それを見つめ、アレンは更に問いかけた。


「その、学園長」


「ん? なんだ?」


「その。これはひとつの提案なんですけど」


「なんだ?」


「ここはひとつ俺が--」


 その先のアレンの言葉。

 それに学園長は目を見開き、驚く。


 しかしすぐに頷き、「ふむ。君ならできるだろう。わかった。好きにやるといい」そう声を響かせアレンの提案に同意したのであった。


 〜〜〜


 時刻は10時。

 全校生徒は突如として集会ホールに集められていた。

 重大な報告があると放送で知らされて。


 ざわざわと騒がしいホール内。


 そしてそこには、フウカとココネ。

 加えてレイラも居る。


「ねぇ、フウカさん」


「なに?」


「アレンくんはどこに居るのかな?」


「さぁね。朝一番に学園長に呼ばれて教室から出て行ったことしか知らないわ」


「だよね。うーん……どこに行っちゃったのかな?」


「まっ。あいつのことだから心配しなくてもいいんじゃない? その。いい意味でめちゃくちゃだし」


 ココネとフウカ。

 その二人はいつものように他愛もない会話を交わす。

 そんな二人の声。

 そこに、レイラも加わる。


「もぅ、アレンくんったら。レイラの朝の日課を蔑ろにしてどこに行っちゃったのかな?」


「「朝の日課?」」


「うん。アレンくんのかっこいい顔にレイラのコレをぎゅっとする日課。これをしないとレイラの調子がおかしくなっちゃうの」


 ぼいんっぼいんっ


 自らの胸。

 それをちいさくジャンプして揺らし、周りの男子を釘付けにするレイラ。


 そのレイラの姿。


 それにフウカは眉間に皺を寄せ--


 だが、そこに。


「よっ、みんな」


「みなさん。おはようございます」


「レイラさん。アレンくんの前以外では自重してくださいね」


「おっす。相変わらず賑やかだね」


「……っ」


 アカネとヤナギ。

 ヘスティア。そして、サーシャとサーシャに抱っこされたソフィが姿を現す。


「はい、ヘスティア先生」


「はい。レイラさん」


「その言い方だと……レイラ、アレンくんの前では自重しなくてもいいんですか?」


「えぇ。先生も自重できなくなっちゃうので」


「「うふふふ」」


 お互いに微笑み、どこか冷たい空気を醸すレイラとヘスティア。


 その二人に雰囲気。

 それを気にせず、アカネとヤナギは声を響かせる。


「にしても。重大な報告ってなんだ?」


「全校生徒と先生。それを集めるぐらいの報告……検討もつかないですね。サーシャ先生は心当たりがおありですか?」


 ヤナギの問いかけ。

 それにサーシャは応えた。


「アレンくんがこの場に居ないことを考えると、うん。絡んでる可能性大」


 サーシャの予想。

 ソフィはそれに静かに頷く。

 声を発さず、壇上を見つめたまま。


 そして、そのサーシャの言葉通りに事態は進む。


「あっ、アレンくんだ」


「どうしてあいつが壇上に? それに、学園長もいっしょに居るじゃない」


 壇上に現れた、アレンと学園長。

 途端。女子たちの黄色い声援とアレンに興奮する生徒たちの声。それがホール内に充満する。


「静粛に」


 学園長の声。

 それにホールは静まり、それを確認しアレンが前に踏み出す。


 そのアレンの表情。

 そこには並々ならぬ決意と覚悟が滲んでいた。


 そして--


「俺は今日よりこの学園の長ッ、名前はアレン!! みなさんどうぞよろしくお願いします!!」


 こだまするアレンの声。


 そしてそれは、【女の子の笑顔=世界平和】を旗印とする新興勢力(アレン勢力)のはじまりにすぎなかった。

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