VSヨルムンガンド②
そのアレンとブラックドラゴンの姿。
それに気づく、レッドとブルー。
「き、きてくれたのですか」
「ぶ、ブラックドラゴン様も」
切羽詰まった二人の声。
それを聞き、アレンとブラックドラゴンもまた声を響かせた。
「二人共ッ、後数分待っててくれ!!」
「レッドとブルー。アレンくんなら数分もかからないと思うからもう少し我慢しててね」
そんな二人の声。
それにしかし、ヨルムンガンドとフェンリルの余裕は崩れない。
「数分、ですか。随分と舐められたものですね」
「ガルルルッ、にんげんのぶんざいで」
しかしそんな二人の余裕。
それは案の定、一瞬で消え去る。
瞬間移動(レベル500)
拳神(レベル1000)
魔聖(レベル500→1000)
魔聖が魔神(レベル1000)にランクアップ。
「さっきは数分って言ったな? 悪い。数秒の間違いだった」
刹那。
二人の眼前。
そこに現れる、人知と神さえも超えた存在ーーアレン。
そして同時に行使される、シチフクジン(レベル500)。
ヨルムンガンド
貯蓄スキルポイント……156990
保有スキル……悪蛇召喚(レベル500)、幻覚付与(レベル480)、不死身(レベル10)
フェンリル
貯蓄スキルポイント……8096
保有スキル……概念飲食(レベル500)
しかし、アレンは全く動じない。
「ヨルムンガンドにフェンリル。あんたたちも俺から見れば、ただのそこらへんに転がる石ころに過ぎない」
「い、言ってくれますね。たかだか人間風情の分際で」
呟き、アレンに幻覚を付与しようとするヨルムンガンド。
己の瞳。
そこに闇色の眼光を宿しーー
自らの手足。
それが引きちぎれるという幻覚。
それをかけ、ヨルムンガンドは幻痛でアレンを屈服させようとした。
レッドとブルー。
その二人にもそうしたように。
だが、アレンは呟く。
「幻覚耐性(レベル500)。その程度の幻覚ならこれで充分だ」
ヨルムンガンドの幻覚。
それを瞬きひとつで打ち消し、
「スキル削除(レベル10)。あんたの不死身スキルを削除する」
そう呟き、ヨルムンガンドを普通の命ある者へと変換するアレン。
「これであんたは不死身じゃなくなった。今のあんたの存在。それは俺の吐息ひとつでどうとでもなる」
しかし、それを信じないヨルムンガンド。
「不死身ではない? このわたしが? さっきから訳のわからないことを……いいでしょう。これよりあなたに、ヨルムンガンドであるわたしの力をお見せましょう」
「いいだろう、見せてみろ」
吐息。
それを堪え、アレンはヨルムンガンドにワザと隙を与える。
数歩後退し。
「最後のチャンスだ。自信家なあんたに現実を見せてやる」
そう声を響かせ、アレンはヨルムンガンドを挑発。
そのアレンの挑発。
それに、あくまでこちらが上という態度で望むヨルムンガンド。
両手を広げ。
「その台詞。そっくりそのままお返ししますよ。悪蛇召喚(レベル500)!!」
ヨルムンガンドは叫び、スキルを発動。
刹那。
ヨルムンガンドの背後。
そこに聳えるアレンの創った城。
それが崩壊し、ヨルムンガンドにより召喚されるヤマタノオロチ(レベル500)。
巨大な八つの首。
それを天高くかかげ、世界に顕現するかつて東洋を蹂躙した悪蛇。
それぞれの首は、八大属性を操りーー
「その力は文明を滅ぼす。首が八本だから、八つの文明を滅ぼしたという伝説がある」
アレンは懇切丁寧にヤマタノオロチの説明をする。
シチフクジン(レベル500)。
その力をもって。
そんなアレンの余裕の雰囲気。
腕組みをし、「まっ。今の俺からすれば子トカゲをあやすレベルの存在」そう声を漏らす、人間。
それに、ヨルムンガンドは命を下す。
後ろを仰ぎ見、自らの召喚したヤマタノオロチに対し声高らかにして。
「あの人間を滅ぼせ」
それに呼応し、ヤマタノオロチは一斉に口を開く。
そして。
それぞれの属性を現す、火、水、風、氷、水、地、雷、草の巨大な光球。
それをたった一人の人間ーーアレンに対し放とうとする、ヤマタノオロチ。
その、八つの文明を滅ぼす攻撃。
それが今まさに、アレンに向け撃ち放たれた。
その八色の光の中。
「アレンくん。助太刀はいるかな?」
自らも八つの巨大な漆黒球体を宙に浮かせ、声を響かせるブラックドラゴン。
「あのくらいなら相殺ぐらいはできちゃうよ。どうしよっか?」
「ブラックドラゴンさん」
「はーい」
「その。ジャンプしてもらってもいいですか?」
「こうかな?」
ぼいんっぼいんっ
「応援はそれだけで充分ッ、相変わらずブラックドラゴンさんのたわわなお胸は素晴らしい!!」
「あら♡ 嬉しい♡」
「よしっ、と。テンションもあがったところで」
アレンの眼前。
そこに迫った、八つの光球。
それをーー
ターゲット固定(レベル10)
対象……アレン
吸収(レベル1→レベル1000)
吸収がブラックホール(レベル1000)にランクアップ。
変換(レベル1→1000)
変換が能力値変換(レベル1000)にランクアップ。
その三つのスキルを発動し、両手を広げて受け止めるアレン。
瞬間。
アレンの属性値。
それらが全て∞になってしまう。
そしてそれが意味すること。
それは即ち。
全属性耐性(∞)
全属性攻撃(∞)
全属性魔法(∞)
八色のオーラ。
それを纏い、ヤマタノオロチを見据えたアレン。
そのアレンの眼光と威圧。
それに、本来ならば存在し得ない天敵の面影を被せるヤマタノオロチ。
勢いを無くし、ヤマタノオロチは目から敵意を失せさせた。
「勝てるはずがない」
そんな表情をそれぞれの顔にたたえながら。
そんなヤマタノオロチに、アレンは手のひらをかざす。
蛇神(レベル1000)
「俺に従え、ヤマタノオロチ」
それに、流石のヨルムンガンドも後退り。
汗を滲ませーー
「お、オーディン以外にあんな存在が居るとはね。は、はやくヘル様にご報告を」
そう胸中で呟き、アレンに気づかれない内に転移を発動しようとするヨルムンガンド。
だが、それを許すアレンではない。
「おい」
「!?」
三度、ヨルムンガンドの眼前に現れーー
「俺と仲の良い女の子を虐めた輩は許さない。そして安心した。その輩が女の子ではなく、男だったことに」
そう吐き捨て、全属性の力。
それを纏った八色の拳。
それを拳神(レベル1000)の力で、ヨルムンガンドの下顎に下から上に叩き込むアレン。
瞬間。
ヨルムンガンドは光速を超えた速度で空へと打ち上げられる。
そして大気圏を突破し宇宙の果てまで到達し、そのまま存在ごと消滅。
「が……がるるる」
怖気づく、フェンリル。
「ふぅ、すっきりした」
「わぁっ、流石アレンくん。すごーい」
ぼいんっぼいんっ
胸を揺らし、アレンに賛辞を送るブラックドラゴン。
それにアレンは応えた。
「ブラックドラゴンさんの素晴らしい応援のおかげです。って、あの二人は大丈夫かな?」
「あ、あれ? 目があるです」
「ん? もうどこも痛くない?」
幻覚と幻痛。
それが消滅し、元の状態に戻ったレッドとブルー。
それを見据え、アレンは頷く。
「よし、万事解決。後はこのヤマタノオロチと」
「わおーんっ」
「あのフェンリルだな」
ヤマタノオロチ。
それに手のひらをかざし、アレンは力を行使。
擬人化(レベル1→1000)
擬人化→美少女化(レベル500)→巨乳美女化(レベル1000)にランクアップ。
途端。
「……」
ヤマタノオロチはアレン好みの巨乳美女になり、生まれたての赤子のようにその場にへたり込んだのであった。




