オーディン③
星屑の輝き。
それに、面々は恍惚あるいは畏怖の表情を浮かべアレンを見つめる。
そんな皆の視線。
それを受け、アレンはしかし自分の強さに感心するのみ。
「なるほど。レベルを1000にあげたら、ここまで強くなれるのか。ってことは、武器創造をレベル1000にあげたらどんな武器ができるんだ? うーん……色々なスキルをレベル1000にしたくなってきたぞ」
っと、そこに。
「わぁっ。アレンくん、ますますスゴくなっちゃったね」
「ふふふっ。わたしと初めて会った時より100倍は強くなっちゃったね、アレンくん」
ヘスティアとブラックドラゴン。
その二人は、アレンのすぐそばに転移し例の如く左右から抱きつく。
むにぃっ
あ、相変わらずめちゃくちゃ気持ちいい。
だっ、だが!!
俺はみんなの婚約者ッ、一時の胸の柔らかさに屈するわけにはーーッ
「ほらほらアレンくんっ」
「もうアレンくんとわたしは婚約者同士なんだからっ」
むにぃっ
く、屈するわけには。
むにっ
くくくっ、屈するわけには。
「ほらほらぁっ、甘噛みも追加だぞ?」
「あっ、わたしはアレンくんの右耳いただいちゃおっかな?」
はむっ
「じゃあ、わたしは左耳」
はむっ
はむはむっ
あのさ。
逆に屈しない男なんているの?
これで屈しない男なんて男じゃないだろ。
開き直り、ヘスティアとブラックドラゴンにされるがままになるアレン。
「あ、あのお二人さん。もっと強めでお願いします。近頃、その。刺激が足らなかったもので」
鼻血を垂らし、アレンはリクエスト。
その欲望丸出しのアレン。
それに二人は、目の色を変え応えた。
「いいよっ。これで、どう?」
ぎゅぅっ
「うふっ。これでどうかしら?」
かみっ
「さ、最高。いや最高を超えた境地」
星を砕いた者とは思えない台詞。
それを響かせ、アレンはその場に膝をつきそうになる。
そんなアレンの脳内。
そこに届く、オーディンの声。
「聞こえるか、アレン」
「お、オーディンさん?」
「さんづけはよせ。我とお主は既に対等。いや、アレン。お主のほうが我の上を行っている」
「そんな上だなんて。その。オーディンさんが女の子である時点で俺と少なくとも対等です。レディーファースト。それが俺の信条なので」
「良いぞ、実に良い。数千、数万、数十万、数百万。我との婚姻を望む存在がおったが……我より強く。そして、我を立てる存在はアレン。お主以外に居なかった」
柔らかなオーディンの声音。
それにアレンの心は鷲掴み。
「して、アレン」
「は、はい」
「その凄まじき力。それがあればこの世界。いや、この宇宙を支配することもできる。主はその力。なにに使うつもりだ?」
「オーディンさんみたいな美人な女性や女の子たちときゃっきゃっうふふふな生活を楽しみたいと思ってます。なので、支配とかそんな怖いことに興味なんてありませんよ」
言い切り。
「だから。その。女の子の笑顔を守る為にこの力を使えたらそれでいいんです。勿論。女の子の笑顔が溢れる世界というのは平和じゃなくちゃいけないんですけどね」
自身の思い。
それをオーディンに伝え、笑顔で周囲の女の子たちに視線を巡らせていくアレン。
うーんっ、幸せだな俺。
こんなに女の子に囲まれて。
そのアレンの姿。
それにオーディンもまた、笑う。
帽子のつばを抑えーー
「スルト」
「はい」
「それに、ロキ」
「はーい」
「奴は一人で一大勢力。どこの組織に入らずとも、一人でこの世界の平和を保つことのできる存在」
視線の先のアレン。
それを見つめ、オーディンは結論づける。
「わたしもそう思います」
「うん、ぼくもそう思うよ。アレンという名の抑止力。彼がこの世界に存在する限り、世界は安泰。たとえ奴等が混沌をもたらそうとしても……瞬殺だろうね、きっと」
そんな神々の満場一致。
それを知ってか知らずか、アレンはヘスティアとブラックドラゴンに弄ばれ続けていた。
「アレンくんっ。この前みたいにキスしようよ」
「あっ、ずるーっい。わたしもアレンくん成分を補充したいな」
瞬間。
「ブラックドラゴン。この前のアレンくんへのキス時間。貴女、わたしより数分長かったわよ。反省してるの?」
ヘスティアは、ブラックドラゴンへと不満を露わにする。
それに対し、ブラックドラゴンは余裕の笑み。
そして。
「ふふふっ。それは人間とドラゴンの習性の違い。ドラゴン族であるわたしはね、しっかりコレをねじ込んで中でこねくりまわすことをキスっていうのよ」
自身の舌。
それをぺろっと出しーー
「キスの前に頬を舐める。これもね、ドラゴン族流の前戯なの」
そう呟き、アレンの頬を一舐めし恍惚とするブラックドラゴン。
アレンはますます、興奮。
「ど、ドラゴン族最高。人にはない積極性がそこにはある」
「むっ。アレンくん、アレンくん。人間にも積極性、あるからね」
ぺろぺろっ
耳をしゃぶり、ヘスティアはアレンの首筋を唇を這わせる。
それにアレンは前言撤回。
「ごッ、ごめんなさい!! ににに、人間さまにも積極性がありましたぁ!!」
そんなハートマークが飛び交う三人の光景。
それを、アカネとヤナギは見慣れた光景のように見つめるのみ。
「いくら強くなっても素がアレン。女の子に優しくされるだけで骨抜きにされる最強。って言ったところだな」
「はい、その通り。はじめて会った時からソレだけは変わっていません」
「ここはひとつ。わたしも混ざってやろうかな?」
「ダメだと思います。アカネ先生が混ざってしまったら、アレンくんは取り返しがつかなくなると思います。それこそ、鼻血で失血死に」
「だろうな。はははっ、ここは大人しく引き下がっておこう」
「はい。わたしも引き下がりますので」
互いに頷き合い、微笑みながらその場から立ち去っていくアカネとヤナギ。
それに倣い、オーディンたちもまた踵を返す。
「ゆくぞ、スルト。ロキ」
「仰せのままに」
「了解です」
指笛。
それを吹き、黄金の馬を自らの元へと呼び寄せるオーディン。
そしてその背に跨り、オーディンはアレンを一瞥。
「あの男の婚約者となれたこと。それが最大の収穫。我らの敵にならなかっただけでも、良しとせねばな」
頬を赤らめ、薬指の指を見つめるオーディン。
その表情。
それは、強き者に惹かれる戦乙女のソレ。
「あっ、オーディンさん。顔が赤いよ。熱でもあるの?」
「ロキ。いずれ貴様にもわかるときがくる。そうさな。後、500年くらいか」
「500年? うーんっ。そうなると1万500歳か。そんなに変わらない気がするんだけど」
「ロキ。オーディンさまがそう仰っているのだから、そのと通りだ」
「かく言う、スルトも。指輪見つめて嬉しそうだね」
「あぁ、嬉しいぞ。婚約指輪なんてはめること一生ないと思っていたからな」
オーディンと同じく仄かに頬を赤らめる、スルト。
それにロキは呟く。
「うーん。ぼくも女の子になれば、オーディンさんとスルトの気持ち。わかるようになるのかな?」
己の胸中で。
少しだけ、二人を羨ましそうに見つめながら。
そんな面々を見送り、アレンは力を行使。
よし、これから頑張らないとな。
武器創造(レベル500→1000)
武器創造が鍛治神(レベル1000)にランクアップ。
剣聖(レベル500→1000)
剣聖が剣神(レベル1000)にランクアップ。
エクスカリバー(レベル1000)を創造。
それに握り、アレンは先ほどの拳神(レベル1000)と同じく空に向かって軽く剣を振う。
よし、生命体が居ない星はっと。
おっ、あったあった。
瞬間。
目に見えぬ巨大な斬撃。
それが100光年先までの星々を全て真っ二つにし、空を虹色に染め上げたのであった。
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