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vsフィルのパーティー②

「ば、化け物か。あんた」


「化け物? 俺は人間だが」


へたり込んだ、ジュン。

その窮鼠のような表情をたたえる男に、アレンは視線を固定。


そして。


「言っておく。俺は男に厳しいぞ」


そう声を発して手のひらをかざし黄金(レベル10)を発動。


瞬間。


きらーんっ


ジュンは黄金の像になってしまう。

その金ピカのジュンを見つめつつ、スズメとホタルに聞こえるように声を響かせるアレン。


「こいつを売ればしばらくは金に困らない。人型の黄金像なんて珍しいからな。まっ、10年もすれば黄金化は解ける。あんたたちがこの男を大切に思ってるのなら……10年間、大事に保管しておいてくれ」


そのアレンの威圧に満ちた声。

それにスズメとホタルは、しかし退かない。


「な、舐めないでもらえる?」


「う、うん。このまま引き下がるわけにはいかない」


空中浮遊(レベル10)と弓術(レベル320)。

それを発動し、宙に浮き空高くからアレンに照準を合わせ、矢を弓に込め引くスズメ。


そしてそれに倣い、ホタルもまた昆虫招集(レベル250)を発動。


虫を引き寄せる光球。

それをかざした手のひらの前に出現させる、ホタル。


刹那。


毒バチと、肉食の蟻。

それが空と地中から大群で押し寄せ、アレンを取り囲む。


だが、アレンの表情は変わらない。


虫たちを見渡しーー


昆虫招集(レベル1→500)

昆虫招集が女王招集(レベル500)にランクアップ。


女王蜂(レベル500)

女王蟻(レベル500)


巨大な蟻と蜂。

その王冠を被った二匹の女王を召喚し、毒蜂と蟻たちを萎縮させる。


虫たちは皆、おろおろとしその場で混乱。


しかし、二匹の女王たちの命令。


"敵はこの男ではなく、あなたたちを召喚した二人の女"


が伝達されるや否や、蜂と蟻たちはホタルとスズメへと敵意を向けた。


「こここ。こんな馬鹿げたことあり得ない」


汗を滲ませ、虫たちに懸命に命をくだすホタル。


「あッ、あなたちの敵はその男!! わたしたちじゃない!!」


だが、虫たちは無視。

蟻は牙を。蜂は針を。

それぞれ振り上げ、ホタルへと一直線。


「ひっ」


顔を青ざめさせ、ホタルは脱兎の如き速さで逃亡。

しかし虫たちはホタルを逃がさない。


凄まじい速さ。

それをもってホタルの周りを囲み、興奮。


「ご、ごめんなさいっ」


その虫の輪。

その真ん中で土下座をし、ホタルは泣きべそをかく。


そしてそれは空に浮かぶスズメもまた例外ではなかった。


「こッ、こないで!!」


叫び、涙目で毒蜂の群れから逃げ回るスズメ。


その姿。

それにアレンは、声をかける。


「スズメなんだから虫ぐらい楽勝だろ!! 名前負けだぞ!!」


「うッ、うるさい!! スズメはスズメでも虫が苦手なスズメも居るの!!」


ぶーんッ


「ひっ、ひぃ」


毒蜂の大群。

それがスズメの前に回り込み、針をぎらつかせる、


「いッ、いやぁ!! 死にたくない!!」


半狂乱になり、手当たり次第に矢を放つスズメ。


そのうちの一本。

それがアレンに向け、飛んでくる。

だがそれを、アレンは親指と人差し指でつまみとめる。


当たったところで無傷。

しかしタダで当たるのはそれはそれでいい気分はしない。

蚊に刺されてもいい気分がしないのと同じ感覚。


「おいッ、そろそろ改心したほうがいいんじゃないか!?」


響く、アレンの声。


「するするッ、改心します!!」


アレンの声に高速で何度も頷く、スズメ。

それに呼応し、ホタルもまた声を張り上げた。


「わたしもしますッ、改心します!! だから助けてぇ!!」


「助けてくださいぃ!!」


二人は泣き叫び、アレンに懇願。


よし、許す。

相変わらず女の子に甘々だな、俺。


自覚し、アレンはスキルを解除。


途端に、女王二匹はその場から霧散。

それに続き、大量の虫たちもスズメとホタルから興味を無くしそっぽを向いて去っていく。


蟻は地中に。

蜂は空の彼方へと。


へなへなと。


ホタルはその場でぐったり。


スズメはふらふらと。


飛び疲れた鳥のように地面へと降り立ち、ホタルと同じようにその場に崩れ落ちる。


「人じゃない。あ、あの力。ににに。人間じゃないに決まってる」


カチカチと歯を鳴らし、スズメはアレンを畏怖。


そんなスズメの眼前。


そこに瞬間移動(レベル500)で現れ、片膝をつきスズメと視線を合わせるアレン。


「い、いやっ。殺さないで」


怯え、スズメはアレンから距離をとろうとする。

しかし、そこはアレン。


「安心してくれ。俺は女の子に滅法甘いから」


ブレずに断言し、アレンはスズメの頭を優しく撫でる。

まるで飼い猫を愛でる飼い主のような手つきで、それこそスズメを安心させるかのように。


「……っ」


逆に怯えてしまう、スズメ。


「大丈夫大丈夫。なにもしないから。女の子には絶対に攻撃しない。それが俺の信条だから」


その言葉通り。

アレンはその場から立ち上がり、ホタルのほうへと瞬間移動。


同じく片膝をつきーー


「大丈夫か? そんな怯えた顔してたら、かわいい顔が台無しだぞ」


「ご、ごめんなさい。すっ、すみません」


生気の失せた表情。

それをたたえ、ぽたぽたと涙をこぼすホタルの涙を指で拭うアレン。


そのアレンの顔。

そこには敵意はない。

あるのは、敵であろうとなんであろうと女の子は大切にするというアレンの揺るがない思いのみ。

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