表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/68

vsフィルのパーティー①

〜〜〜


「ヘル様。今しがた、フィルの屋敷跡に創城を確認。おそらくオーディンの仕業かと」


とある漆黒に満ちた空間。

そこに生気をともなわない無機質な声が響く。

そしてそれに応える、ヘルと呼ばれた存在の声。


「オーディン。ふふふ。着々とわたしたちと争う準備をしているようね」


蝋燭の置かれたテーブル。

そこに頬杖をし、ヘルは揺れる灯火に顔を照らしながら微笑んだ。

周囲の漆黒に同化した丈の長いドレス。雪のように白い肌に、青の双眸。

その見た目は、神秘的な美しさを醸す。


そんなヘルの足元。

そこには一匹の狼少女がお座りの格好で、「ぐるるる」と唸り声をあげていた。


その唸り。

それに、闇と同化しヘルの視線の先に佇む男は声を響かせる。


「ヘル様。フェンリルのご機嫌。それがあまりよろしくないようで」


「えぇ、そうなの」


頷き、ヘルは続けた。


「なにかを察知した。と、わたしは思っている。うふふふ。一体なにを察知したのでしょうね? 貴方にはわかる? ヨルムンガンド」


「いえ、わかりません。ですが、天狼【フェンリル】がここまで興奮しているということはーーわたしたちにとって、なにか良くないことが起ころうとしているのは確か」


「がるるるッ」


立ち上がり、男に向け疾走するフェンリル。


そして。


男の腕。

そこに噛みつきーー


「わたし。いく」


「しかし、噛み癖は相変わらず。まっ、甘噛みなところは成長の証と言っておきましょうか」


二人は同時に声を発し、フェンリルは殺気をヨルムンガンドは余裕を醸す。

それに、ヘルは一言。


「ヨルムンガンド。フェンリルの理性という名の手綱。それを握っててくれる? その娘がタガを外しちゃったら、"全て"を食べちゃうかもだから」


「承知しました」


ヘルの声。

それに頷き、空間を後にするヨルムンガンド。

自分の腕。

そこに、獣耳をぴくつかせるフェンリルをブラブラとぶら下げながら。


〜〜〜


一晩中、城内を歩きまわったアレン。


そのおかげでアレンのスキルポイントはーー


貯蓄スキルポイント……3530696


「くっ、くそ。勢いで城をつくったはいいものの……どうすればいいんだ、これ?」


翌朝。


朝日にそびえる巨城。

それをアレンは焦燥し、見つめていた。


あの後、中に入りロキとスルトからのラグナロク勧誘交渉を六時間にわたり展開されたアレン。


ヘスティアとブラックドラゴンのお色気妨害。

そしてそれに倣って、柄に合わないお色気交渉をしかけてきたスルト。


「脱がないでよッ、スルト!!」


「ん。別に減るもんじゃないし、いいだろ」


そんな言葉が六時間の間で数十回も響き、その度にアレンはスルトの引き締まった腹筋を見せつけられ赤面。


アカネとヤナギ。

その二人は城内を散策しーー


「ここを学園にしないか? 広さも部屋の数も充分なことだし」


「えぇ。学園長に打診してみますか?」


ひそひそと学園移転計画を模索。


そしてレッドとブルーは、アレンの出した料理(レベル10)で舌鼓を打ちつつ興奮の極地に至っていた。


「や、屋根付きお部屋がたくさんあるですよ!!」


「ここを寝床にしたい」


部屋部屋を駆け巡り、嬉しそうに叫ぶ始末。


そんな騒がしい時間を過ごし、今に至る。

アレン以外の面々は城の中で就寝。

そして未だ夢の中だ。


「ココネとフウカさんに相談したいな。あっ、そういえばもう登校の時間だっけ」


思い出し、アレンは急ぎ城を後にしようとした。

だが、そこに。


「あれ? フィルは?」


「って、フィルの屋敷もないじゃん」


「やられちゃったんだ。道草食い過ぎたね、わたしたち」


フィルのパーティーメンバーである三人。

その三人がアレンの背後に現れた。


その三つの気配。

それにアレンは身体を反転させ、応える。


「フィルのパーティーメンバーですか?」


フィルの名。

それが三人の口から響いたこと。

それでアレンは三人がフィルのパーティーメンバーであることを確信。


「もうパーティーメンバーじゃねぇって」


「だってフィルはもう居ないし」


「うん。でも、フィルの隠し財産だけは欲しいかな?って、なんでお城が?」


城。

それを見つめ、今更ながら驚く面々。


「これにはその深いわけが」


声を響かせつつ、アレンは三人の姿を凝視。


シチフクジン(レベル500)

それを発動しながら。


女の子が二人に、男が一人。


名前はスズメとホタル。そして、ジュン。


スズメ

貯蓄スキルポイント……5696

所有スキル……空中浮遊(レベル10)、弓術(レベル320)



ホタル

貯蓄スキルポイント……4586

所有スキル……昆虫招集(レベル250)


ジュン

貯蓄スキルポイント……6053

所持スキル……気配遮断(レベル10)、双剣術(レベル420)


成程。

中々のスキル持ちだな。


頷き、アレンは三人に問いかける。


「フィルのしたこと。どう思ってますか?」


そのアレンの質問。

それに三人は顔を見合わせ、同時に応えた。


「どう?って、んなことどうでもいいって。奴隷虐めだろ? 金持ちの道楽ってやつだ。あーでも。あいつが居ないとなると金の心配をしねぇとな」


軽装姿で筋肉質なジュン。


「フィルのやったこと? いいんじゃない、別に? わたしにはかんけーないし。奴隷の10や20。あいつに虐め殺されたところで、影響ないっしょ。むしろ、さ。奴隷商人にお金が回って奴隷市場が活発化。それで経済が回ればいいんじゃない? 奴隷商人の金遣い。それってうちら冒険家と比べて半端ないし……ね?」


気怠そうに持論を展開し、茶髪で細身のスズメはくるくると自分の前髪を弄る。


そして。


「どうでもいい、フィルのしたことなんて。奴隷の命なんてあってないようなものだし」


無表情で淡々と声を発し、「ふわぁ」とあくびをする緑髪の小柄なホタル。


更に続けてーー


「で、そのあんたの質問になんの意味があんだ? 意味ねぇだろ、んなこと。だが見たところ……ふんっ。てめぇがフィルをやったみたいだな」


ジュンは声を響かせ、両腰に差した双剣を抜く。

そして同時に発動される気配遮断(レベル10)。


「俺たちの金ヅル。それを消した落とし前つけてもらおうか。なんならてめぇが、新しい金ヅルにでもなるか?」


気配。

それを遮断し、双剣術(レベル420)を発動しアレンに向け疾走するジュン。


それにアレンもまた、力を行使。


「朝の体操には丁度いいか」


捕捉(レベル10)

ジュンの姿を完全捕捉。


武器創造(レベル500)

干将・莫耶を作成。

装備しました。


双剣術(レベル1→500)

双剣術が双剣聖(レベル500)にランクアップ。


刹那。


「えっ?」


アレンの目。

それに完璧に捕捉され、勢いを無くすジュン。

気配遮断。

それが完全に見破られたことによる衝撃。

それにアレンの数歩手前で立ち尽くし、ジュンは戦意を喪失。


「あ、あんたまさか。俺の姿が」


「丸見えなのか? そしてお前は数歩、その場から後退る」


未来予知(レベル500)


それをもってジュンの声と動作の続きを発し、軽く干将・莫耶を振り下ろすアレン。


瞬間。


漆黒と純白。

その二本の巨大な斬撃。

それが三人の間を吹き抜けーー


先日、剣聖(レベル500)により真っ二つになった山を更に四分割。

元はひとつだった巨大な山。

それを四つの塊にし、ようやく消滅したのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ