エリス③
「そそそ。そのッ、命だけは助けてください!!」
地に額をこすり、アレンに懇願するミリィ。
その姿。
それは悪事がバレた子どもそのもの。
そのミリィに、アレンは一言。
「かわいい女の子が土下座なんてしちゃダメだ。俺の心が苦しくなる」
「さ、流石。世界の理を変える程のお方。その心の広さも世界級ですね」
アレンの許し。
それを受け、ミリィは体育座り。
そして、じっとアレンを見上げ頬を赤らめるミリィ。
「へ、へぇ。よく見れば中々の逸材。中身も外面も完璧な人なんてそうは居ないですよ」
「ありがとな。ミリィって言ったっけ? 貴女もめちゃくちゃかわいいな。どうしてこう。俺の前に現れる異性はみんな美女美少女揃いなんだ。身がもたんぞ」
「あ、あのアレンさん」
「ん?」
「ミリィのこと。その、一回だけ抱っこしてくれませんか? そしたら、ミリィ。めちゃくちゃ嬉しいです」
「喜んで」
膝をつき、アレンはミリィの小さな身体を抱き上げる。
それに歓喜する、ミリィ。
「アレンさんっ。あああ。ありがとうございます!!
このミリィっ、一生の宝物にします!!」
そんなミリィとアレンの元へと、三人は歩み寄る。
そして。
「ほんと。あんたって女の子には優しいわね。甘いというかなんていうか。時には厳しくすることも大切よ」
「そうだよっ、アレンくん。相手が女の子ってだけの理由で隙を見せてたら、いつか足元を掬われちゃうよ?」
フウカとココネはアレンに対し、忠告。
その忠告。
それをアレンは真摯に受け止める。
「わかっている、わかっているんだ。でもなぁ」
胸元のミリィ。
その小さな少女の温かみ。
それに、困った風にアレンは続けた。
「かわいい女の子に厳しくできる男なんてごく僅かだぞ? 世の男全員に聞いたわけじゃないけど、おそらく95%は俺と同じだと思う」
一人頷き、納得するアレン。
「そこらへんは男も女も変わらないと思うんだが……どうだ? ココネ」
「えっ。そ、その」
「かっこいい男の前じゃ女の子だって正気じゃいられないよな?」
かっこいい男。
その言葉に、目の前のアレンを被せてしまうココネ。
赤面し、アレンから視線を逸らしーー
「う、うん。アレンくんの言う通りだよ。か、かっこいいアレ…‥.ち、違う。かっこいい男の子の前じゃ、しょ、正気じゃいられないよ」
アレンを男の子と言い換え、ココネはもじもじ。
しかしフウカははっきりとアレンへと声を返す。
「なら、わたしはその5%に入る人種かしら? 前にも言ったけど、あなたは自分を買い被りすぎなの。屁理屈ばかりこねてたらいつか痛い目を見るわよ」
「は、はい。すみません、フウカさん」
「アレンくーんっ。レイラはアレンくんにだけ優しいから安心してね。ほらっ、これが証拠だよ」
ぎゅっ
アレンの背中。
そこに抱きつき、レイラは胸を押しつける。
「ほらほらっ、アレンくん。レイラの優しさを目一杯、全身で感じてね」
「れ、レイラぁ!! くっ、フウカさんに説教をされた手前、負けるわけにはーー」
「それ♡」
むにっ
「やっぱ無理。かわいい女の子には勝てるわけがない」
「はぁ……ったく。あなたらしいって言ったらあなたらしいわ。まっ。今更性分を治せっていっても無理な話よね。うん」
「レイラちゃんだけずるいっ」
ぎゅっ
「こッ、ココネ!?」
「アレンくんっ。れ、レイラちゃんだけがかわいい女の子じゃないんだよっ、えいっ♡」
むにっ
「もう完全敗北でいいです、俺。ごめんなさい、フウカさん」
「別に謝らないでいいわよ。あなたはソレが一番お似合いなんだから」
達観し、アレンに抱きつくレイラとココネを一瞥するフウカ。
っと、そこに。
「アレンくん」
エリスの声。
それが響き、アレンの意思がエリスへと向けられる。
「な、なにか?」
「うん。これを見て」
アレンの視線。
それを受け水晶玉を差し出す、エリス。
「この水晶玉は貴方の潜在能力を測ることができるの。どう? 触って見ない?」
「俺の潜在能力?」
「えぇ。直接、君が触ってくれたほうが嬉しいな。こっちに引き込むにあたって……わたし、もっとアレンくんのこと知りたいの」
遠目で観察するだけでは得られないアレンの素質。
それを見たいとエリスは思っていた。
「まっ、触るだけなら」
「金色に光れば最強の素質です。それ以外でも、色によってあなたの素質が明らかになります」
説明する、ミリィ。
それに頷き、アレンは水晶玉に触れる。
刹那。
圧倒的な七色の光。
それが水晶玉から放たれ、夕焼け空に巨大な虹を形成。
そして数秒後。
ぱりんっ
と音を立て、粉々に砕け散る水晶玉。
そして粉末になり、さらさらと風に流され水晶玉は消滅してしまった。
「「す、すごい」」
エリスとミリィ。
その二人は同時に呟き、頬を紅潮。
それにアレンは慌ててスキルを発動。
「す、すみません。今すぐ直します」
スキル……修復(レベル1→500)
修復が復元にランクアップ。
復元(レベル500)を発動。
粉末になり消滅した、水晶玉。
それが完璧なカタチをもって、エリスの手のひらの上に復元される。




