表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

プロローグ

なんとなくネタ気分で書いてみた。


楽しんでいただければと思います。

いきなりだが、俺の幼馴染は勇者だ。


別に俺は中二病にかかっているわけでもなければ、夢の中にいるわけでもない。


俺が今住んでいる場所は、冒険王国アドベンという名の国だ。


この国は名前の通り、多くの冒険者たちが住んでいる国なのだ。


冒険者というものを説明する前に、魔族というものを説明する必要があるだろう。


魔族。それは多くの人が知っているであろう種族で、普通の人が聞いたのならばおそらくオークのような化け物を想像するであろう呪われた忌まわしき種族。


そんなものがこの世界には存在しているのだ。


俺がこの世界をこんな世界、などと言うのには理由がある。


俺は、転生者なのだ。


前世では料理が趣味の男子大学生で、死因は交通事故。所謂テンプレな死に方、というやつだった。


だが、テンプレでないことが一つだけある。転生者なら特典もらってチートな戦いを繰り広げるものだが、俺は俺を異世界に転生させた神でさえ見ていないのだ。


それなのに、俺はチートとまではいかないが、それなりに便利な能力をなぜか持っている。


それは、無限の空間を所持していて、やろうと思えば他の空間にも繋げられるもの、簡単に言えば四〇元ポケットにどこ〇もドアの機能を加えた物だ。


そこまで使える物なのか?と思うかもしれないが、これが中々に使える能力なのだ。


使い方については、後々説明することにしよう。


俺の事情はここまでにしておいて、この世界では魔族と人間の仲が悪く、魔族と人間五百年間争いを続けてきたのだ。


その戦争に出て行って魔族と戦うのが冒険者である。


こう言うと冒険者はただの兵士みたいに聞こえるかもしれないが、冒険者というものは意外と気楽なもので、一つの街につき一つずつ配置されているギルドという場所で名前と住所を登録して千セリカ支払えば冒険者カードというものをもらえて、もう正式な冒険者になれる。


冒険者カードというのは絶対に割れないカードで、そこには自分のレベルやステータスが記されているもので、身分を証明するものとして使われている。


ちなみにセリカというのはアドベンの貨幣で、二百セリカでリンゴが一つ買えるくらいの価値がある。


つまり、リンゴ五個で冒険者になれる、ということだ。


それに、冒険者も必ず戦争に駆り出されるわけではない。冒険者の中でも魔族との戦いに呼ばれるのはほんの一握りの実力者たちだけだし、冒険者でも全く戦わずに暮らしている者もいる。


かく言う俺もそんな冒険者たちの一人で、昔は仲間と一緒にダンジョンに入って稼ぎまくっていたが、親が死んだのをきっかけに戦うのをやめて料理屋だった親の後を継いだ。

まあその後に前世で食べた物を再現したおかげで美味しいと評判になってかなりの人気店になったので後悔はしていないが。


ダンジョンというのは、魔族の住む大陸である魔族大陸と人間の住む大陸である人類大陸の間の海峡に橋みたいな感じで架かっている物で、冒険者たちはそこに入って中に出てくる魔物と戦ってレベルを上げたり魔物の死体から肉やら皮やらを剝ぎ取って鎧などの武器の材料にしたりするのだ。


そんな冒険者たちの中でも特別な才能を持っていて、魔法でも剣術でも圧倒的な才能と実力を持つ者、それこそが「勇者」という冒険者の進化形のような者たちである。


勇者は人間大陸内に七人、魔族大陸内に八人いて、そのうちの一人が俺の幼馴染というわけだ。


勇者な俺の幼馴染は、それはもう絵に描いたような完璧人間だ。ものすごいイケメンでありながら性格も良く、正義感も人一倍強いという主人公属性のみでできているような奴だ。


今日は、俺の料理屋にその幼馴染が訪ねてくる予定なのだ。


幼馴染と俺とは小さい頃から一緒に育ってきて、幼馴染は今俺と同じ十九歳だ。


勇者が来るということと幼馴染に自分の料理を振る舞うという二つのことによって俺のモチベーションは上昇しまくって、只今最高潮だ。


そんなことを考えていたら、休日ということで休みとしている俺の店のチャイムがなった。


「おーい、エツー。」


外から聞こえてくるイケメンボイスを聞いてテンションを上げながらも俺は店の扉を開けて言う。


「いらっしゃいませー。」


俺の視界の中に艶のある黒髪と深紅の目、それに整い過ぎているともいえるほどの顔が入ってくる。

腕に金色の腕輪をつけているこのイケメンが、俺の幼馴染のリツである。


「おいおい、今日は休業日なんだろ?友人に敬語なんて使うなよ、むず痒い。」


「フッ。それを狙っていたのだよ。」


「何気に性格悪いな、お前…」


何気ない言葉を交わしながら俺はリツを店の中の畳の敷いてある座敷に案内する。


「おおー!結構広いんだな!従業員はどれくらい雇ってるんだ?」


「大体十五人くらいだな。」


質問に答えながらも俺は厨房に入って調理を始める。


「調理って何分くらいかかるー?」


「んー、大体五十分くらいで料理は出来上がるから、それまで仮眠でも取ってろよ。目の下に隈があったぞ?健康管理はちゃんとしろよー。」


「やっぱばれてたか…。まあいいや。それじゃあお言葉に甘えて。」


会話を終了させてから俺は料理を始める。


俺は魚肉のすり身にヤマイモを混ぜてよく練った白く柔らかい物体と魚肉のすり身を棒に巻き付けて焼いたもの、サトイモ科のとある植物を加工してプニプニにした物などを取り出す。


ちなみにこれらの物体ははんぺん、ちくわ、こんにゃくである。


ここまで言えばわかるだろう。今日作るのはおでんである。


この世界では当然こんにゃくなどは作られていないので自家製だ。


自家製のこんにゃくは高級感がするものの、大量生産ができないのが難点であるが。


「フンフンフフン~♪」


鼻歌を歌いながら餅巾着と大根を無駄に大きい冷蔵庫から取り出してくる。


察しているだろうが、餅巾着はもちろん自家製だ。


この世界では大根はどこでも作られているので簡単に手に入るのだが。


大体の材料を取り出し終わった後に、俺は昆布とかつお節でだしをとって、自分で開発した醬油やみりんで汁に味付けをする。


味付けが終わってから、俺は食材の下ごしらえをしながら材料の投入を始める。


大根や卵、こんにゃくなど煮えにくい物から先に鍋の中に入れていく。


そこから少しづつ具を鍋の中に入れていって、四十五分くらい経った時に最後のはんぺんを鍋の中に入れて温め、ついにおでんの完成だ。


「おーい、リツー。飯ができたぞー。」


普段ならすぐに返事を返して食器を運ぶのを手伝ってくれたりするのだが、今回は呼びかけても返事がない。


よっぽど疲れているんだろうと思ってもう少し寝かせてあげたいと思いながらもせっかくのおでんが冷めては困るので心を鬼にして俺はリツを起こしに行く。


「おーい、リツー。そろそろ起きろー。疲れているのはわかるが、飯を冷ますのは許さ…」


そこまで言いかけて俺はフリーズする。


「すぅ…。すぅ…。すぅ…。」


「何やこれ…」


思わず関西弁でツッコミを入れてしまった俺の前には、黒髪で整い過ぎている美貌を持った美少女が眠っていたのだ。

主人公の名前はエツで、勇者の名前はリツです。苗字はない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ