新たなるクー
△ 新たなクー ▽
あれから負傷したまま草原を抜けた。
クーの再召喚により、多くの危機を乗り越えたが、小型の獣を倒しても、スキルポイントは一切増えなかった。
スキルポイントの増加条件は未だ不明である。
怪我は早めに直さなければ、変に骨が回復してしまう。
早く回復魔法なり、アイテムを得なければならない。
今は岩山と湖、川、森に囲まれた、台地にいる。
岩山の中に、人一人が寝泊まりできるような穴があった。
岩を動かせば扉もしまる。
一日の大半を、療養にあてている。
クーに草や木の実を集めてもらい何とか飢えをしのいでいる。
近くに知的生命体の住んでいる町村もあるようだ。
クーに今度偵察に行ってもらう様にしよう。
この周辺は、地元でも獣が多く現れるようで、唯一見た人間は商人と傭兵の荷車集団だった。
五日たったところで、動けない事には変わりなかった。
今日も、洞窟の中で治療に専念しているところに、洞窟の近くでひと騒があった。
町の人間であろう、子供の集団が、この洞窟の近くを通った際、獣と遭遇したらしい。
外が騒がしかったので、クーを送りだして戦闘にあてた。
小型の狼であり、クー一人でも相打ちできた。
その子供たちがどんな理由でここに来たのか分からないが、かなり感謝してくれた。
まあ、人の役に立ったのならそれでいいや。
クーが居なくなると食事もとれない。
タダ寝るしかなく目をつぶった。
スキルポイント《5》
スキルが増加している?
今日助けた子供と同じ数か?
感謝をされれば増えるのか?
人の村に近づかなければいけないかな?
人と接するのは嫌いだ。
でも、この命をつなぐためには……。
意識が闇へとけていく。
翌日になり、スキルポイントが更に増えていた。
それに伴い、洞窟の前に、野菜などの食べ物が置かれていた。
子供の保護者たちだろうか?
スキルポイント《30》
その中に、『ネクター』があった。
身体的な回復能力がある薬だ。
その薬を飲む。
折れた骨は正常に治っていく。
後は、数日寝れば完治できるだろう。
スキルについて、もう少し研究が必要になりそうだ。
――更に五日が経過
スキルポイントは毎日十ポイントづつ増加している。
食べ物が置かれた時は、更に二十ポイント増加する。
スキルポイント《130》
少しづつでもいい、この世界で基盤を作らなければならない。
何のためにこの世界に来たのかは不明だが、この状況を受け入れる事にしている。
クーによる探索は、少しづつ広げているが、召喚の限界時間が短いせいであまり進んでいるとは言えない。
今日は、お嬢さんを一人悪漢から救った(騒ぎをたてて助けを呼んだだけだけど)。
身なりの良いお嬢さんだったし、その後メイドが来たので貴族か豪商の娘であろう。
その後のスキルポイントの増加量は、ウナギ昇りであった。
毎日二百ポイント近くが増加していく感じだ。
一週間経過したところで、スキルポイント《1530》。
新たなスキルを取得しよう。
【クリーチャー・人型ジョブ選択可能】《500》所得。
スキルポイント《1030》
【戦士系】《500》
【魔術師系】《500》
【狩人系】《500》
【芸術家系】《500》
【技術士系】《500》解放。
【魔術師系】《500》取得。
スキルポイント《530》
【神官】《500》
【呪術師】《500》
【魔導師】《500》
【占術師】《500》解放
【神官】《500》取得。
スキルポイント《30》
【神官レベル2】《1000》解放。
とりあえず傷付いた時の為、回復のできる仲間がほしい。
回復能力のあるクーの召喚が可能になった。
早速、神官クーを召喚して、周辺の町や村に派遣。
けが人の治療にあたらせた。
当然、見習の神官にも劣る回復力ではあるが、人々への貢献という面では非常に感謝されている。
この周辺の町は、国の都より距離があり、優秀な人材があまりいないらしい。
それに、他の国の国境近くであり、また魔素がたまりやすく獣が凶暴化しやすいとのこと。今後魔獣という事にしよう。国境線が引かれるのはそういう所が多いらしい。
一端魔獣を駆逐してからでなければ、侵略できないという意味では、安全なのかもしれないが、年間でも魔獣による被害は相当数あるという。
農作業中に襲われるケースもあり、そういった農家の多くは、魔術による回復が困難であり、教会も少ない事から、多くの治療費がかかる。
基本的には、薬草か自然回復しかない。
そんな中、俺が派遣した神官クーにより、最初は怪しまれたが、小さな農村の支持を得られるようになってきた。