戦場の匂い
△ 血の匂いと消えた腐敗臭 ▽
まだまだ、マナの補充は完了していないか……。
酔いも回復していない、しかし、今がチャンスであろう。
先ほど薬屋から拝借したソーマを更に三本程飲み干す。
酔いによる弱体化が更に進行する。15%の能力低下。
力が出なくなってきたな。
不味いな。
【転移門】
【武術家】20体召喚
【共感覚】発動
しかし、ここを逃すわけにはいかない。
急ぎ突撃を仕掛ける。
相手の動きも俊敏になってきた。
今までは、一撃で沈める事が出来た相手も、数回攻撃を加えなければ沈められない。
撃破ペースは弱まる、安全策をとって、二から三体一での戦いにした。
あまり分散させないように戦う。
正面を各個体に襲撃させる。敵も一点に集まりつつあることから、俺とリーダーはその側面を攻撃する。
我々rは、陣を乱さず統率された行動をとり続ける。
ペースは鈍ったとしても、数百体は15分程で片づけた。
本能的な行動が主体であるベルセルクは、動きは俊敏だが、行動パターンが制限される。
更に10分を過ぎた所で、主だった攻撃も止んできた。
既にこちらも、通常の個体が15体ほど消滅させられている。
「はぁはぁ、後は、局地的な殲滅か……。しかし、逃がさないように各箇所にクーを配置しようと思っていたが、それはできそうにないな」
リーダーが受けた攻撃も、痛覚を共有している事から受けてしまう、生命値以上の攻撃を受けている気分になりながら、それを我慢して、イレギュラーな動きをしているベルセルクを、各個撃破していく。途中でリーダーが消滅したが、その後一体再召喚し、再度の共感覚で、再び撃破を続行する。索敵能力がないので、取りこぼしはあるだろうが、しょうがない。
今度は、索敵能力を身に付けなければと思いながら、自分の感覚で敵の匂いを嗅ぎつける。
しかし、何かおかしな感覚がする。
苦労したとはいえ、実は、俺だけで町を制圧できるとは考えていなかった。
数をごっそり減らしてから、周辺の神に助力を乞うつもりだった。
しかし、制圧は完了しそうだ。
ただ、何か違和感がある。
建物に隠れて、少しの間でも息を整え【瞑想】する。
その間に考える。
何が違和感となっているのだろう。
狂人化したとはいえ、この戦力で最初の門を破壊できたのか?
何故、数十分でこの町を制圧できたのか?
魔力を戻すため、一呼吸を行う。
そこで違和感の正体に気が付く。
「なぜ、血の匂いはしても、臭くない?誰が死体を回収したのか?」
ベルセルクにそれができたのか?
それとも統率者がいた?
そういえば、クーを最初送った時には、死体が山の様に転がっていたが……。
確かに何度か時間切れで、町の様子が分からなかった時がある。
感染症拡大を防ぐため焼却した?
本当にそうか?
突然町の北側から大きな爆発音が響きわたる。
強烈な閃光と、熱風が肌をチリチリと燃やす。
「ガル!うガルうううぅううっ!」
大きな咆哮が、町全体を包み込む。
召喚していた個体が、リーダーを抜いて全員消滅したのが分かった。




