救世(ぐぜ)
△ 救世 ▽
嫁ぐ当日、ボロボロの髪や、服装を整えたルカが広場にいた。
元々かなり美しい女性であったが、少し身なりを整えただけで、その輝きは一気に眩いモノになった。山賊風情に与えるのはもったいないものだ。
現在スキルポイントは《65500》
【虚空門】《10000》取得
《対象者の一部を転移させる魔術》
スキルポイント《55500》
【狩人系】《500》取得
スキルポイント《35000》
【狩人】《500》
【罠師】《500》
【投擲士】《500》解放。
【狩人】レベル1から5取得
スキルポイント《39500》
【狩人レベル5】《16000》
【弓兵】《16000》
【狩猟生活】《1000》
【素材剥ぎ取り】《1000》解放。
【瞑想】《10000》
《安静状態だと、マナの回復力が増加》
【共感覚】《10000》取得
《使役しているモノと一体化。その能力と特徴を自分の力に上乗せして使用可能。使役しているモノは、術者の能力と特徴を一部上乗せできる。また、視覚だけでは無く、各感覚の共有化および、術者が決めた任意の声音で会話ができる》
【狩猟生活】《1000》
《命中率二割増加、気配を断つ》
【素材剥ぎ取り】《1000》
《倒した相手の素材を上手に剥ぎ取る》
スキルポイント《17500》
初めてだろう、人の願いを叶えるのは。
【投擲士】1から4取得。
スキルポイント《0》
【投擲士レベル5】《8000》
【靴作成可能】《10000》取得。
準備は整った。
久しぶりの娑婆の空気を吸いに行くか。
取りあえず【投擲士】は今回とは関係ないのだ。
そんなこんなで、数時間様子を見ているとガルム様降臨したようだ。
赤みのかかった髪を、オールバックにした。
筋肉隆々の男である。どこか野生の獣の様な雰囲気がただよう。
上半身はほぼ裸の格好で、背中にはバスタードソード。
結構イケメンなのが悔しい。
「がっはははー。今年の女は最高だろうが、おい!」
部下らしき男を二十人ほど連れてきている。
「よ、ようこそおいでくださいました」
そう言って、ペコペコしている村長を無視して、お目当てのルカへ近づいていく。
「ほう、体つきも俺好みじゃないか、もう少しいいものを食えば更に楽しめそうだな、おい!」
いやらしい笑みを浮かべて、ルカの顎を上げて、顔をまじまじと見ている。
ルカは抵抗するでもなく、目を見据える。
「……」
「気も強そうじゃねえか。なお気に入ったぞ、おい!」
舌なめずりをしている。
まあ、ルカがそれで良いなら、このまま放っておくことにしようと感じていたが、少し震えているのは見て取れた。強がっているのか。
それに、それ以上に表へ出なければならない理由もできた。
「この暴れ者!お姉ちゃんから離れろ!」
少女がいつもより粗暴な口調になっている。
村人たちは驚き、また静止しようと少女を止める。
「なかなか威勢のいい餓鬼だな、おい!」
「ルナ!おやめなさい!」
初めて、ルカが焦りの表情を浮かべた。
それを見て、ガルムはにやける。
「未練はない方がいいよな。俺だけの事しか考えられなくしてやるよ。おい!」
バスタードソードをガルムは抜き取る。
ルカは青ざめる。
その表情を楽しみながら、ルナへ近づく。
村人たちはルナから離れる。
誰一人手を差し伸べない。
その、ルナはガルムを親の仇の様ににらむ。
一歩も引かない。
「もう少し成長すれば、いい塩梅になりそうで、もったいないがな。おい!」
バスタードソードを上段に構え。
振り下ろす。
その風圧で、村人が少しバランスを崩してしまうほどの威力だった。
埃が舞い上がる。
「ル……ナ?」
すでにルカは、目に生気がなく、頬に一筋の涙を浮かべている。
「おいおい、体まで消えちまったのかよ。おい!」
ガルムは、ルカを見やる。
そこには抜け殻がいた。
こんなにも美しい抜け殻があるのかと思うほど、不謹慎にも神々(こうごう)しかった。
ガルムはそれを見て、満足げに笑う。
「俺が壊すまで、壊れんなよ、もったいないぜ。なあ、おい!」
ルカに近づこうとする。
しかし、ほどなく、その歩みは止まる。
「死体も見ずに満足しているあたりで、汝は賊にしても三流だ」
ガルムには変わった格好の男が、自分の正面の民家の屋根にいるのが見えただろう。
黒の袍、白の袴。黒く紅い鼻緒の下駄。
狐の面。傍らには、先ほど骨まで砕いたはずの少女が抱えられていた。
そして、それは黒煙が、空気に溶け込むように消える。
背後から気配を感じる。
少女は、ゆっくり降ろされて、地面に足をつける。
「テメーは、誰なんだ!おい!」
「誰でも良かろう。我は、ただこの童が助けを求めたから来たまでだ」
そして、自分に起こった事を上手く理解できていない少女は、呆けていたが、その言葉で俺の正体に感づいたようだった。
「お社様?」
「誰だか知らねーが、俺に喧嘩を売った事を、後悔させてやるぞ。おい!」
そういうと、後ろの子分たちも、それぞれの武器を抜く。
「お前ら暴れ……ろ?」
【虚空門】
俺の左手には、脈動感のある肉塊が血を噴きながらのっている。
「な、んだと……」
ガルムの左胸部は、空間が開いたように黒くなっている。
血が滴り、体が崩れ落ちる。
「汚い心臓だな……」
その心臓を足元にすて、踏みつぶす。
彼の部下や村民も唖然としている。
少女の前でやる事では無かったなと、少し反省する。
右手を天に向かい上げ、肩の高さまで前におろす。
「撃滅せよ」
その一言と伴に、気配を消していた《ハンタークー》が民家の屋根から弓を討る。
大量の矢が部下に向かって飛んでいく。
《ハンタークー》の攻撃力はあまり高くはない。
致命傷にはならないが、徐々に生命力を削っている。
【虚空門】
次に指揮をとっていそうな男の心臓を転移させる。
ぐらりと体を崩す。
周りの部下は、恐怖と、自分に降り注ぐ矢により、徐々に混乱状態になってくる。
防御力のある輩でも、手数で攻めれはば押しつぶす事は可能だ。
【虚空門】
今日、三人目の殺人を犯す。
肉ダルマの様な、体の大きな亜人とのハーフだろう。
内臓をごっそり転移させて、絶命させる。
矢の勢いはとどまる事が無く。
徐々に矢による負傷者と死者がでてきた。
逃げの体制に入ったところで、その矢から逃れる事はできない。
障害物を【転移門】で出現させて、行き止まりにする。
程なくして、賊はすべて、その命を散らした。
矢の雨がやみ、静寂が戻った。




