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Crafter  作者: 絶英
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絆は固かったと思える日(2)

何も感覚がない。俺は死んだんだ……。

 たった一人の世界。真っ白な世界だった。

夢だろうか、だがVRMMOに夢なんてあるのか? 俺は疑った。

俺は誰かを見つけるため、走り回った。現実世界のように一人はいやだった。もうこりごりだ……。

現実世界での俺は、一人だった。元々あまり話すのが得意ではない俺は高校入学から誰かに声を掛けることもできず一人ぼっちだった。休み時間は、居心地の悪さ故毎日屋上にいた。元々あまり明るい方ではない俺は、クラスで孤立していた。高校2年になりVRMMOと出会った。やりたくもないバイトをして金を貯めそれを買った。逃げ場を作ったのかもしれない。でも、学校よりは居心地が良かった。これで俺は一人じゃないと思ったのに……。

 死にたくない。やっと見つけたのに。死にたくない……。

 ――死にたくない。


 バッと目が覚めると、目の前には見覚えのある天井が広がっていた。白ブロックを主体とし、その他の色ブロックで装飾してある。精密な装飾ではないものの、どこか面白みがあるその天井――ギルドホームの天井だった。

 視界にある俺のHPバーは点滅している。残り0.5割だった。空腹度は半分で自然回復は

しない。空腹度は、食料を食べることにより回復しこれがMAXか9割ないと自然回復しないのだ。またこのゲームは他の人が他の人のHPを回復することが出来ないのだ。つまり、は回復は自分で行うのだ。

「死んで……ないのか……?」

 俺は自分の手を見つめながら言った。

 周りを見渡すと4人が俺を囲むようにいた。

「死んでないよ」

 Shiroがそう言う。俺はもう一度全員の顔を見直す。もう一度あえて良かった、そう思った。

「ごめんね。遅くなっちゃって」

 Shiroは俯いて言う。

「そんな、良いんだ。シロは来てくれたんだから」

 それだけで、俺は嬉しかった。Shiroが心を開いてくれた。みんなが心を開いてくれた。それが、嬉しかった。

「そういえば、何で俺生きてんの?」

「ルビー装備がダメージを最大限緩和してたんだ。現に敵の弓攻撃では殆どHP減ってないでしょ?」

「言われてみれば確かに……」

 俺は納得する。確かに大ダメージを与えられたのは近接系の敵だけだった。弓矢でのダメージ食らったかな?

「とりあえず分かった。後、暗黒軍は?」

俺がここにいるということは敵を殲滅したのか? それとも……。嫌な予感しかしない。

「第一次防衛戦は突破されたんだよ!」

 Shiroは微笑みながら言ってくる。そこ微笑むとこじゃないよ!? むしろ悲しむとこだよ?

「……で、今暗黒軍はギルドホームに向かって侵攻中ということか?」

 俺は恐る恐る問うた。

「その通り!」

 いやいや、そこ微笑むとこじゃないから! 盛大なツッコミを入れたくなってしまう。

「わ、分かった。とりあえずここで防ぐぞ。今時間は――9時半か。残り30分何とかしのぐぞ!」

「「「「おおおおおお!!!」」」」


 その後俺たちは、ギルドホーム目がけて侵攻してくる暗黒軍を片っ端から倒した。2人一組の合計2組を作り疲れたら交代、疲れたら交代を繰り返した。もう1人はギルドホームの屋根から弓で援護射撃をした。まぁ援護射撃はShiroがやってくれた。

 街の建物の所々は燃えていた。暗黒軍の略奪行為だろうと思われた。そんな悲惨な状態の街を見ながらもとにかく敵を斬り続けた。

 ――そして。

「敵が退いていく……」

 そんな声が聞こえてくるが疲れのせいか誰かなんて判別できない。視界が汗で滲む。

「時間は――10時……!」

 嬉しさのあまり歓喜の声を上げた。勝利をもぎ取った嬉しさがこみ上げてきたのだ。地面に腰を下ろしそして寝転がった。

「やったね、ユウ君」

 いつのまにか、地上におりてきていたShiroが俺を見下ろす。

「あぁ。でも、流石に疲れたよ。ちょっとよく風が当たる所に行かないか?」

「うん、じゃぁギルドホームの屋根だね」

 かなり即答だった。もうちょっとしっかり場所を考えてほしいものだ。

「わ、分かった」

 俺と、Shiroは屋根に上り腰を下ろす。

「今日は来てくれてありがとう……」

 俺は少しもじもじしながらも言う。結構恥ずかしい物だ。

「私も、遅くなってごめんね」

「良いよ、別に。結果来てくれたんだから」

 俺は、Shiroを見つめる。戦争中は全く気が回らなかったが、こうしてみると顔が変化したShiroは美人であった。変化前の容姿とは全く別で、髪は長く漆黒だ。ロングヘアというやつである。目もくりくりとしており、透き通って綺麗である。スタイル抜群なのが装備の上からでもわかってしまう。

「私……あんまり自分の容姿が好きじゃないから……」

 こんなに美人なのにそれは言うのか! 俺みたいな超平凡なルックスみたいなやつに謝れ!

「べ、別に綺麗だよ……」

 気恥ずかしくなってしまい頭を掻く。

「あ、ありがとう……?」

 少し疑問形で返してくるShiro。

「まぁとりあえずさ、今日はありがとう。シロがいなかったら俺、確実に死んでた」

「私も、ありがとう。待っててくれて……」

 と、そこで少し眠気に襲われる。疲れが出ているのだろうか……。

「じゃぁ、そろそろ解散しないとだね。でもひとつ言わせて」

「何?」

「明日からもよろしくお願いします!」

 Shiroは満面の笑みで言った。

「よろしくな、シロ!」

 その瞬間、俺たちの絆は固かったんだと思った。


後々補足話と掲示板話を執筆したいと思います。

(少し説明不足なので)

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