第10話 笑野はなえーカウンセリング日記より抜粋ー
「友達100人できるかな?」の歌、覚えていますか?
小さい頃、みんなで手をつないで歌ったあの曲。
……あれは、ちょっとした呪いかもしれません。
だって、現実はこうです。
友達100人なんて、無理です!!(断言)
むしろ、「いない自分」も、「いても話せない自分」も、
そのまんまでいいじゃないですか。と思うのです。
はなえです。
こんにちは。
今日は私の体験談をお話しします。
私がカウンセラーになろうと決めたのは
自分もカウンセリングを受けていた時。
今度は、私がこうやって人の心を癒したい
と思ったのです。
しかし、カウンセラーもクライアントも、元を正せば・・
いや、正さなくても・・人間なわけで
すれ違い、勘違いはあるあるです。
ある時、こんなことがありました。
面談室で友達関係の悩みについて話していた時
その人は、優しい声で
「友達なんて、いなくても大丈夫ですよ」
と私に言ってくれたのです。
私はその言葉に、ほっとしたのを覚えています。
自分の“ひとりぼっち感”が、
少しだけ肯定された気がしたのかもしれません。
──ああ、誰かにそう言ってほしかったんだ。
帰り道、涙がこぼれたのを覚えています。
けれど、次のセッションでのこと。
ふとした流れで、先生がこんなことを口にしたのです。
「私も、昔フラッシュバックがひどかったんです。
でも……いつでも電話できる友達がいたので助かりました。」
その瞬間、私、
石になりました。カチンコチンの。
(……え、いるんだ、そういう人。夜中に電話しても怒らない友達。)
「いなくても大丈夫」って言ってくれたのに──
「いる」人の安心感を、さらりと差し出された気がして。
凹みましたよ~。
まるで、目の前にキャンディを置かれたと思ったら、
「これはあげないけどね」と言われたような、そんな気持ち。
共感って、なんだろう?
寄り添うって、なんだろう?
私は、先生を責めたいわけじゃないのです。
でも、
「わかるよ」と言いながら、
その人が持っている“救い”の形が、私にはないものだった時。
その距離感に、少しだけ、心がくじけてしまうのです。
ーはなえのカウンセリング日記ーより抜粋
「共感してもらえた」と感じると、
ほっとしますよね。
でも、たまにそれがズレていたとき、
思った以上に胸が冷えることがあります。
でも大丈夫。
共感って、ズレることもあるし、
うまく伝わらないこともある。
そんな体験をしたあなただからこそ、
誰かの声にそっと耳を傾けられる日がきっと来るのです。
頑張れ はなえ!
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