( ^ω^)異世界転生には保安検査と入国審査が必要なようです。
《異世界保安検査場》
( ^ω^)「ふぅー、意外と死んでから転生まで時間かかったなぁ」
( ^ω^)「しっかし、遂に異世界かぁ……神様にチートスキルも貰ったし、第二の人生いっちょやったりますか!」
((( ^ω^)「おっと、その前に保安検査と入国審査だな」
(・∀・ )「はい、じゃあ次の方。こちらのゲートにお願いします」
( ^ω^)「はい」
((( ^ω^)
((((( ^ω^)
(((((((;^ω^) ブー!!ブー!!
(;^ω^)「えっ!?なんで何も持ってないんだけど!?」
⊂(・∀・ )「ちょっとお身体失礼しますね」
(・∀・ )「あー。お客さん、チートスキル持ってきちゃったんですか」
(;^ω^)「え、ダメなん?」
(・∀・ )「最近ね、この世界の秩序が変わりましてね。所有できるスキルが結構厳しく制限されたんですよ」
(;^ω^)「えぇー?聞いてないけど」
(・∀・ )「数年前まではねー結構自由だったんですけどね。流石にチートスキル持った人が増えすぎてねぇ……ほら、彼らって結構ムチャクチャするでしょ」
( ^ω^)「まぁ、チートってそういうもんですからね」
( ^ω^)「例えば、どんなスキルがアウトなんですか?」
(・∀・ )「とりあえず『レベル』『ランク』『スキル』『ステータス』って言葉が入ってたら即アウトですね」
(・∀・ )「あと概念系、召喚系もダメ。人間以外の獣や魔物とコミュニケーション取るのもダメ」
(・∀・ )「令嬢、聖女、勇者、魔王、農家になるのもダメです」
( ^ω^)「制限っつーか全面禁止じゃね?」
(・∀・ )「ゲームじゃないんで」
( ^ω^)「元も子もない」
(・∀・ )「TOEICや漢検とかのスキルなら所有可能ですよ?」
( ^ω^)「異世界で何の役に立つのそいつら?」
(・∀・ )「まぁ、ぶっちゃけ元の世界で身につけた技能なら所有できます」
( ^ω^)「元大学生バイトの俺に技能なんてあると思うか?」
(・∀・ )「その位の年齢ならば持っている人は持っているでしょう」
( ^ω^)「そんな厳しい言葉聞きたくねぇんだよ!」
( ^ω^)「何の為に異世界に来たと思ってんだ!」
(・∀・ )「さぁ。とりあえず、『全ステータスLv999』『無尽蔵の魔力』『透視スキル』『透明化スキル』『催眠スキル』。全部没収しますね」
(・∀・ )「……」
( ^ω^)「……」
(・∀・ )「アナタみたいな人間が沢山来るから、こうやって規制されるんですよ」
( ^ω^)「俺はまだ何もしていないし、何をするとも言っていないからセーフ」
( ・∀・)つ「……まぁ、そうですね。それでは、スキルは全て抹消しましたので、お通り下さい。次は入国審査です」
( ^ω^)「疑わしきは罰せずって良い言葉ですね」
( ・∀・)「あ、そうだ。チートスキルは消えましたけど、まだアナタにはスキルが残ってましたよ?」
(^ω^ )「え?まじで?何?」
( ・∀・)「ITパスポート」
(^ω^ )「まじで何の役に立つんだよ」
《異世界入国審査》
( ^ω^)「異世界なのに入国審査とかいう違和感には疑問を持ってはいけないのだ」
('A`)「はい。こんにちはー」
( ^ω^)「こんにちは」
('A`)「えー、この度はどういった経路でこの異世界までやって来ましたか?」
('A`)「事故や事件、病死など、簡単な言葉で結構ですので」
( ^ω^)「トラックです」
('A`)「分かりました。異世界に来た目的は?」
( ^ω^)「スローライフでも送ろうかなって」
('A`)「アナタのスキルじゃ働かないと食べていけないですよ」
( ^ω^)「現実を叩きつけるな」
( ^ω^)「まぁでも、冒険者として働くのも悪くないかな」
('A`)「あぁ……一応、冒険者希望の方に言っているんですけど、それ止めたほうが良いですよ」
(;^ω^)「なんでよ?男は冒険者、女は令嬢が異世界転生の華でしょ?」
(;^ω^)「あ、もう令嬢にはなれないのか」
('A`)「いや、冒険者って危険ですよ。常に死と隣り合わせの職業ですから」
( ^ω^)「そうなの?」
('A`)「そりゃあ、魔獣とか賊と戦うわけですし……元軍人とかであれば、それなりに適応できるかもしれないですけど」
( ^ω^)「でもこの世界魔法使えるじゃん?」
('A`)「才能のない人間は、魔法なんて専門学校行かないと使えるようになりませんて」
('A`)「個人的には中の上くらいの市民の子どもに生まれて、幼少期は勉強を頑張り、魔法学校に入学して、コネを作って、卒業後は魔導師か大商人、もしくは官僚に成るのが良いと思います」
( ^ω^)「現実と変わんねぇ」
('A`)「効率を優先すれば、おのずとこうなります」
( ^ω^)「それもそうか……まぁ、チートはなくとも、元の世界で培った経験がある分、他の奴らよりは有利に立ち回れるか」
('A`)「そうですよ。上手くやれば、チートなんて使わなくてもスローライフは送れますから」
( ^ω^)「商人とか官僚ってスローライフと対極にあると思わない?」
('A`)「でも金がないとスローライフなんてできませんよ。余裕なんて持てる者の特権です」
('A`)「アナタの転生先には、頑張れば報われる、良いのを用意しますよ」
( ^ω^)「そんなうまい話はないってことですね……」
( ^ω^)「分かりました……!心機一転、頑張ります!」
('A`)「その意気ですよ!それでは、アナタの転生先は……絶海の孤島に住むオーク部族、ロゴボ・ンドロボンゴ族の上級戦士・グェバロの息子になりますね!頑張って下さい!」
(;^ω^)「待て待て待て待てェッ!!」
('A`)「なんでしょう?」
(;^ω^)「絶海の孤島?オーク部族?」
(;^ω^)「ロゴボ・ンドロボンゴ族!?」
(;゜ω゜)「そしてグェバロって誰じゃお前!!?」
('A`)「はい。『大海洋』のほぼ中央に位置し、全大陸から数千キロ離れた孤島、ロゴボ島に暮らす獣人亜科オーク族オーク属のオーク。彼らは自らを『島の守り人』という意味を持つ、ロゴボ・ンドロボンゴ族を称しております。」
('A`)「彼らはあらゆる文明から隔絶され、狩猟採集生活を送るオーク、その身分は上級戦士と下級戦士に別れ、狩りの強さによって決まります。ただし、その頂点に『王』が居ることは、他の文明と変わりません。グェバロは、足の速さが特長の……」
( ^ω^)「分かった。もういい」
( ^ω^)「色々と言いたいことはあるが……そんな絶海の孤島の部族で、どうやって魔導学院に通えと?」
('A`)「頑張ればなんとかなりますよ。まずはボート作りですかね」
( ^ω^)「頑張れって無責任な言葉だよね」
('A`)「なんです、転生先が気に入らないんですか?」
(;^ω^)「まぁオーク族だし……それに、戦士って結局死と隣り合わせじゃん。嫌だよ普通に」
('A`)「親ガチャ発言に人種差別・職業に対する偏見ですか……時代はポリティカル・コレクトネス。発言には十分気をつけた方がよろしいかと」
( ^ω^)「何も言えなくなる最強魔法発動しないで」
( ^ω^)「つーか、異世界にも政治的公正なんて概念あるの?」
('A`)「そりゃあ、アナタの世界よりももっと多様な人種が存在してますもん。それだけ差別や偏見には厳しいですよ」
( ^ω^)「なんか、価値観が現代的であればあるほど魅力が無くなっていくんだけど」
('A`)「でも大丈夫。アナタの転生先は、絶海の孤島に住むオークなんて倫理もへったくれもない野蛮人ですから。刺激的な毎日が送れますよ」
( ^ω^)「差別を批判する人って自分が犯した差別に無頓着だよね」
( ^ω^)「つーか、さっきから異世界転生に対する期待値が地に墜ちているんだけど。もうちょっと楽しい世界を想像してたのに」
('A`)「知りませんよ。そういう異世界なんですから、仕方ないでしょう」
('A`)「というか、自分が行く異世界と転生先くらい出発前に把握しといて下さいよ。こんな最後の最後でゴネられても困りますよ」
( ^ω^)「どうやって把握するんだよ」
('A`)「仲介業者の方から何も聞いていないんですか?」
( ^ω^)「ブローカー?」
('A`)「俗に言う神様です」
( ^ω^)「お前ら神様のことブローカーって呼んでんのか」
('A`)「まぁ、彼らのやっている内容が内容ですし」
('A`)「一般的には、神様から転生先に関する説明が転生者になされて、その内容に転生者同意した場合に、異世界行きが確定するんですよ」
('A`)「……しかし、まれにチートスキルという甘い言葉で釣って、人気のない異世界に有無を言わさず転生させる邪神が居る……とも聞いています」
( ^ω^)「【悲報】俺、邪神に詐欺られる」
( ^ω^)「つーか何のメリットがあってそんなことするんだよ」
('A`)「神様は、沢山ある世界の均衡を保つのが仕事ですからね。通常は、ある世界から出ていく魂と、その世界に入ってくる魂の量は一定なんですけど、人気のない世界は、入ってくる魂よりも出ていく魂の量が多くて……」
('A`)「そういう場合、神様が積極的に介入します」
( ^ω^)「今明かされる異世界転生の真実」
('A`)「それじゃあ真実も知ったことですし、転生しますか」
(;^ω^)「え?やだよ、俺オークになんかなりたくねぇよ!」
('A`)「もうね、ここ数年の異世界はレッドオーシャンなんです!なりたい命に転生できる人なんて殆どいません!」
('A`)「ロゴボ・ンドロボンゴ族!もう内定してます!」
(;^ω^)「い、いやだ!俺は異世界であんなコトこんなコトしたんだ!!」
('A`)「名前ももう決まってますから!」
( ^ω^)「勝手に決めんな!」
('A`)「名前以上に勝手に決まるモノなんてねぇよ!」
('A`)「アナタの名前は『ヤルオ』です!」
( ^ω^)「お?風向き変わってきたな」




