表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

ナツノオワリ。

夏も終わりに近づいていたある日のこと……。 

俺は彼女の家のベランダで彼女の(ゆい)と線香花火をしていた。

「ねぇねぇ、線香花火で勝負しようよ!先に落ちたら負けね!いい?」


「子供の頃よくやったなぁ、唯も子供の頃やってた?」


「んーとねぇ…、やったことあると思う!今思うと子供の時って花火やりたーい!ってよくお母さんとかに言ってたのに大人になったら花火とか売ってるの見かけてもな~んとも思わなくなっちゃった……。なんでだろね?笑」


「大人になると毎日色々なことが目まぐるしく起こってるからじゃないかな?」

「なにそれぇ笑いみふー笑」


そう言って笑う唯のことが大好きだし心の底から愛してる。唯と付き合ってもう5年の月日が過ぎていた…。  


5年目の記念日に俺は唯にプロポーズをし、彼女は「待たせすぎだぞっ!笑」ってちょっぴり冗談まじりに怒っていたけど、「不束者ですがよろしくお願いします笑」と、俺のプロポーズをOKしてくれた。


そう…、この線香花火が終わって明日を迎えれば、僕らは恋人という関係から夫婦になるんだ。


「あっ…!なーんだもう落ちちゃったぁ、ショックぅ…、勝負は私の負けかぁ……。」


残念そうな表情をしている唯。「最後の1本だよ。唯がやりなよ」

「えっ!いいの?!じゃあさ!一緒に持とうよ!一緒に持てば2人分の運で最後まで落ちないかもよ?」


そう言って唯は最後の1本の線香花火を持つ手を俺に差し出し、「手をゆっくり重ねてね」と言った。


ゆっくりと手を重ね、火をつける。バチバチと音を立てたと思ったらすぐに火種が落ちてしまった。


「あーあ、落ちちゃったかぁ……。ざんねんっ、片付けて寝よっか!」

「そうだな。明日の結婚式の準備は終わったのか?」


「もちのろんだよ!」ニコニコと笑顔を見せた。彼女のウェディングドレス姿を想像してニヤニヤしてしまった。


「なーにぃ?ニヤニヤしちゃってぇ、変なこと想像してますな?」

「んなわけあるか!さぁさぁ寝るよ!」


ニヤニヤを誤魔化すように布団に入り目をつむる。

「結婚式、楽しみだねっ。」ニコニコしながらそうつぶやく唯。


「幸せになろうな。」と返した。


まさに幸せの絶頂そのものだった。


このときの俺はまだ知るよしもない。あんなことが起こるなんて…。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ