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アンドロイドと化した妻のパスワードが分からない

作者: 衣谷強
掲載日:2023/12/14

『第5回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』参加作品です。


キーワードはパスワード。

夫婦ものです。

どうぞお楽しみください。

「ご、ごめん! 上司に大仕事が終わった祝いだって言われたら断れなくて……」

「パスワードが違います」

「ご馳走作ってくれるって約束、忘れてた訳じゃないんだ! ただ上司の行動が読めなくて……!」

「パスワードが違います」


 俺は無表情で機械的に答える妻に、ひたすら頭を下げていた。

 悪いのは俺だ。

 大きな仕事が終わる今日まで残業続きだった俺に、


「頑張ったね! 今夜はご馳走作っちゃう!」


 と張り切ってくれていた妻の夕食より、上司の飲みの誘いを優先したからだ。

 上司が大仕事の後、必ず飲みに連れて行ってくれるのを忘れていた俺が悪い。

 そして家に帰ったら妻はアンドロイドと化していた。


「お帰りなさいませ。現在家事以外の機能はロックされています。パスワードを音声で入力してください」


 玄関で無表情でそう言う妻に、俺は血の気が引いた。

 元劇団員の妻は、これまでにも時々こういう遊びをしていた。

 『傲慢だけど召使の事が大好きな女王様』をやられた時は、新たな性癖に目覚めそうになった。

 だが今回のは遊びじゃないだろう。

 パスワードっていうのは謝罪の言葉だと思うんだけど……。


「本当にごめん! 今度必ず埋め合わせをするから!」

「パスワードが違います」

「次は何があっても約束を守る!」

「パスワードが違います」


 うう、どうすれば……。

 はっ!

 まさか、あれか!?

 多くの勇者が挑んだというあの言葉……!

 しかしあれは……。

 ……いや、悪いのは俺なんだ。

 言わなくては……!


「あ、あのさ」

「はい」

「……あ、愛してる……!」

「……! ぱ、パスワードが、ち、ちが……」


 え!?

 これでもないのか!?

 ……絶望だ……。

 顔真っ赤にして、これは更に怒らせたか……!?


「……それ、ずるい……」

「え?」


 だ、抱きついてきた……?


「アンドロイドモード解除。通常モードに移行します」


 妻はそう言うと、俺の腕の中でにっこりと笑顔を見せてくれた。




「本当ごめんな。こんなにご馳走作ってくれたのに」

「いいよ。冷蔵庫に入れて、明日の朝食べよ」

「ありがとな。で、さっきのパスワード、何が正解だったんだ? その、あ……、あれは想定してなかったんだろ?」

「そ、それは、その……、し、仕事も大事だけどお前はもっと大事だよ的な事を言ってくれたら……」

「ご、ごめん、不安にさせて……」

「ううん。あの言葉の方がもっと嬉しかったから」


 こうして無事妻の機嫌は直り、


「……ねぇ、もう一回言って?」

「え」


 新たな危機が訪れるのであった……。

読了ありがとうございます。


妻は「仕事と私とどっちが大事よ」という気分でいました。

どちらも大事なのは分かっていますが、気分が晴れないので、苦肉の策でアンドロイドのフリをしました。

まぁ愛ですよ。愛。


12/15追記

四月咲 香月様からイラストをいただきました!


AIイラスト パスワードが違います

挿絵(By みてみん)


美しい……!

これは旦那も平謝り。


次回キーワードは『たまご』。

よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 奥様、ユーモアがあるし可愛いしで最高の妻じゃないですか! こんな奥さんをほったらかした夫はギルティ!! 罪滅ぼしに「愛してる」くらい何度でもいいたまえ!! [一言] 面白かったです(*´▽…
[良い点] ぐわーっ! キュン死した! _(:3」∠)_
[良い点] か、かわいい〜〜〜!!!! 動揺してる奥様かわいいです〜!!! 必死にパスワードを解除しようとして上回ってくる旦那様もかわいいです!遊び心があって楽しいご夫婦ですね!
感想一覧
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