表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/115

昇格試験

 西門からギニンを後にし、雪を掻き分けるようにして歩く。


 北門からゲルへ続く道と同じくらい広いが、何処と無く寂れた印象を受ける道だった。


 大きめの石がちょくちょく転がっているのを見る限り、しばらく整備もまともにされていなかったのではなかろうか。


 ムアに乗って進めば早いのではと思うかもしれないが、肝心のムアは……


「ガウッ! ガウゥッ!」


 振り積もった雪に大はしゃぎだ。


 なので俺も全力ではしゃぐ。


「おらムア、喰らえっ!」


 雪玉をムアにぶつけると、ムアは雪を掛け合う遊びだと理解したようで、大きな尻尾で大量の雪を薙ぎ払ってきやがった。


「ぐわぁ!」


 雪崩となった雪の塊に吹き飛ばされ、これまたフカフカな雪に埋もれる。


「そっちがその気なら…」


 俺がニョキニョキ肩から腕を生やし始めると、ラグニィが割って入って来た。


「何してるんですか! 子供じゃ無いんですよ! 依頼の前に体力使ってどーするんですか!」


 ぷりぷりお怒りのようだ。


 しかし……


「誰かの頭がしゃべってら」


 顔まで雪に埋まって、見えているのが帽子だけでは威厳にかけてしまう。


「なんですってぇぇぇぇ!!」


 それからラグニィも参戦し、30分ほど2人と1匹で雪を投げつけ合った後、俺達はようやく我に返った。


「……まだ依頼始まってすぐですよ」


「うぬ」


「……まだ城壁が見える距離にいるんですよ」


「ガウ」


 すっかり疲れ切ったラグニィは、雪に突っ伏して沈んだ。

 

「はひはほほいひゃはへふ……」


「ならば遅れを取替えそうでは無いか」


「ふぇ?」


 人の形に空いた雪の穴に手を突っ込み、ラグニィを引っ張りあげる。


「プハァッ!

 って、足! 掴んでるの足ですよ!」


「これは失礼」


 ひっくり返って暴れるラグニィをムアに座らせ、俺もその後ろに跨る。


「はい、ベルトをそうちゃーく」


 ムアの霧がラグニィと俺をしっかり捕獲したのをしっかり指差し確認する。


「な、何か嫌な予感がしますよ!?」


「最高の体験になるかもよ?

 さ、ムアさん。 好きなようにやっちゃっておくんなせぇ」


 ムアは全身を力ませると、力強く吠えた。


『ガオォォォォォォン!!!』


「ひぃやぁぁぁぁぁぁぁ!!?」


 咆哮が終わると同時に、強烈な重力を全身に感じる。


 ここ最近運動不足だったムアの全力疾走である。


 弾き飛ばされた雪が落ちるよりも早くムアが駆けるせいで、まるで雪のトンネルを新幹線でくぐっているようだ。


「しぬ、しぬぅ」


 前の席がうるせぇな。


「ほれ、試験監督だろ。 目ぇかっぴらけ!」


「無理ぃぃぃぃ!!」


 ちっちゃい体を更に小さくして俺の胸で震えるラグニィは、この世界の住人の中でも結構損をしている方だろう。


 ムアが霧で雪や塵を防いでくれるので、こんなに安全なジェットコースターは無いと思うのだがどうだろうか。


「そう思わんかね?」


「……むりぃ…」


 ラグニィの蚊の鳴くような声は、流れる雪と共に掻き消された。



●●●●




 バイコーンが縄張りにしている崩れかけた小屋まで来た俺達は、ここからは徒歩で痕跡を探していた。


「あんまりです……」


 背中でぐったりしているラグニィが、怨霊のように囁いてくる。


 やめてください。


「いやいやいや。 ラグニィに遊んでる場合じゃないと言われて改心したからこその判断だよ。

 なぁムア」


「ガウ」


「私見てましたからね。 逆さまの景色の中で、アギトが悪い顔するのを」


「このマスクは元々凶悪な笑顔してるから気の所為じゃない?」


 ラグニィは背負われたまま、器用に俺の太ももを蹴る。


 この小娘、ひっくり返してやろうか。


 しばらく黙々と歩いていると、ラグニィが再び口を開いた。


「……重くないですか」


「大丈夫、ディカの一撃に比べたら羽みたいに軽い」


「比べる基準が違いますし、本人の耳に届いたら殺されますよ」


「黙っててくれたまえ」


「何だか仕返しがしたくなってきました」


 怖いなぁ。


 ムアに括り付けて、黙っていなければ走らせるとでも脅迫しておこうか。


「ありがとうございます。 だいぶよくなりました」


「でもラグニィじゃ歩き辛いんじゃない?

 まてまてまて、そういう意味じゃないからハンマーを置け」


 善意で心配したのに鉄槌で制裁かと思われたが、ラグニィは俺を見て鼻で笑った。


 小娘ぇ……


「私のハンマーは魔法媒体でもあるんです。 

 結界を張るだけですよ」


 ハンマーを通して魔力が溢れ出すと、ラグニィの体をすっぽり覆う球体に纏まる。


 すると不思議な事に、その球体が触れた部分の雪が消えるように溶けてゆくでは無いか。


「すげー、何その魔法」


「これは結界です。 アギトが今やっている熱の結界を外側に作用するようにして張るだけですよ」


 との事なので、さっそくやってみる。


 しかしどうも上手くいかない。


 ラグニィのと違い、少し溶けて固まるだけで余計に歩きにくくなってしまう。


「結界をしっかり張りすぎです。 もっとやんわり、霧散した魔力を丸く留めるようにしてください」


 言われるがままにやってみると、ようやくラグニィの雪溶かし結界の再現が出来た。


 俺はガラスのように張った結界を熱くする事ばかりに集中していたが、ラズニィの結界は魔力を霧状に散らばらせて雪に満遍なく透過させ、一定範囲を溶かす事に専念させて作用させていたのだ。


 これまで俺の魔力の使い方と言えば、何かを動かしたり、水のような実態のある物を再現するばかりであった。


 しかしラグニィのように、魔力の概念を反映させる力を直ぐには消費せず、ジワジワ使う事でこんな事が出来るのか。


 魔力を消費し続けるので定期的に結界を張り直す手間はかかるが、それでも歩きやすくなるに越したことはない。


「ムアは結界……いらないか」


 雪まみれでご機嫌なのを見れば、答えは無くとも分かる。


 それからは、雪に自分達の通った後を残しつつ歩いてゆく。


「この魔法があれば、帰り道も迷う事は無さそうだね」


「そんな事ありませんよ。 雪が少しでも降れば、あっと言う間に身長くらいの深さなら分からなくなってしまいます」


「………」


「口に出さなかっただけ許してあげましょう」


 正解を選んだようだ。


「そういえば、私の弟がよくムアに遊んでもらっているそうですね。 ありがとうございます」


「こちらこそ、何時もムアと遊んでくれてありがとう」


 ならば群れてる子供達の1人に、ラグニィの弟がいるのだろう。


「家では、変な人に絡まれたりしたらアギトでは無くムアを頼れと教えています」


「お前ちょっと根に持ってるだろ」


「気のせいではありませんか?」


 しばらく進んでいると、振り積もった雪が行軍に踏み潰されたようになっている場所があった。


「お、バイコーンの足跡だ。 この量だと20頭くらいだね」


「これだけで分かるんですか?」


「バイコーンの群れは数が大きくなってもあんまり縦長にならないから、横幅で大体の数なら察しがつくわけよ。

 でも雪道でそんな走り方してたら体力無駄に消耗するだろうし、馬鹿だな」


「人間様が動物にイキらないでください。 同じ人種として恥ずかしいです」


「人種?」


 言い方に引っかかりを覚えて聞き返すと、ラグニィはムンとふんぞり返った。


「私は人間とドワーフのハーフです」


「あ、そうなん」


 この小ささにも納得である。


「ちなみにアギトよりも年上ですし、私は銀級なのであなたの先輩でもあります」


「まじか」


「どっちに驚いたんですか?」


「前半」


 無言でハンマーを構えるラグニィをどうどうと宥める。


「で、どうするんですか」


「そりゃもちろんムアに乗って…」


 言いかけた所で、ラグニィの顔が雪のように白くなってきたので止める。


「べ、別にそんな気にしなくていいですよ全然。 私は大丈夫です。

 ギルドの試験監督ですから、対象の冒険者から目を離す訳にはいきません」


 だったら何でもうハンマーで杖ついてるんですかね。


 ……あんまり振り回すのも可哀想か。


「評価項目に、野営能力でプラスになる部分あったりする?」


「……え? あ、ありますよ! とってもお得なのがあります! 今逃してしまえば次は訪れないかもしれません!」


 わぁ、うさんくせぇ。


 けど話を振ったのは俺なので甘んじて受け入れようではないか。


「で、野営の採点ってどこを見るの?」


「それを言ってしまえばカンニングになります。

 アギト自身が素晴らしいと思える寝床を作ってみてください」


 そこは妥協しないんかい。


 取り敢えず真面目に作ってみますか。


 野営に必要なのは安全性と……後なんだ?


 耐久力は普通のテントじゃ求められないだろうし、外敵が来た時用のトラップとか?


 考えるのが面倒になったので、とりあえずツリーハウスにした。


「はい、先生。 どうでしょうか」


「えっと、ちょっと待ってくださいね……」


 ラグニィはいそいそとカンペを取り出すと、読み上げて確認を始めた。


「まずは火がちゃんと消されているかです!」


「先生、まだ本日一回も火を使っておりません」


「む、ならこれは保留にしましょう」


 これはカンニングにはならないのだろうか。


 『火の後始末はしっかりする』と心のメモに書いておく。


「次は……食材の後始末!」


「先生、上から読むのやめましょうか。 今分かる部分を先にチェックしましょう」


「そ、そうですね…」


 多分食事を終えた後から就寝までを順番にチェックするのがマニュアルだったんだろう。


「……あ、こっちのページだ……」


 違うわ、この子天然だ。


 しかも試験監督初っぽいぞ。


 あのマニュアルも誰かの手書きだし。


 せっかくの昇格試験、もっとベテランが付くものだと予想してたら、まさかの新人さんである。


 だが、理由は薄々気が付いている。


 ラグニィ、結構強そうなのだ。


 さっき背負っている時に気が付いたのだが、全身を気が高速で流れていた。


 恐らく酔いを覚まそうとしていたのだろうが、気を高速で巡らせるのはそう簡単に出来る事じゃない。


 気だけでもかなりの使い手らしいし、柄の長いハンマーとかいう独特な得物も、きっとラグニィの能力に合わせて作られた物なのだろう。


 この子が今ギルドが派遣できるそこそこの戦力なのであれば、俺はかなり警戒されている事になる。


 今回の依頼は無事に終えて昇格したいが、俺とムアをどのように見せるかは気を付けた方がいいだろう。


 とりあえず友好的に見せつつ、あまり譲歩はしないとかが理想かな。


 変な依頼押し付けられたくないし。


 それとカイルに関しては下手な事は絶対に言ってはいけない。


 帰ったら口裏を合わせてボロが出ないようにしておこう。


「水は魔法が使えるから……よし、終わりましたよ!」


 どうやらラグニィは採点が終わったらしい。


「どうだった?」


「それは帰ってからのお楽しみです!」


 そうですか。


 じゃあ後はバイコーンの群れを見つけるだけか。


 バイコーン達は常に動き回っているようなので、追いかけるよりは待ち伏せの方が現実的だろう。


 バイコーンの通り道に根を隆起させてブービートラップを大量に作り、後は……


「俺の生肉でも置いとくか」


「ヒィッ!?」


 血の匂いが充満するようにジューシーなのを1つ置いたら完成である。


「さぁ先生、採点は?」


「むむむ無理ですよ!? こんなの項目に書いてません!」


「予想外に対応してこその冒険者でしょう。 銀級の先輩、いいとこ見せてくださいよ」


「そう言われたら仕方ないですね」


 こいつチョロいな。


 ちょこまか動き回ってトラップを確認するラグニィは、まるで小動物のようだ。


「ガウッ!」


 突然ムアが警戒した鳴き声をあげる。


 視線の先を見れば、巨大な何かが雪を巻き上げながらこちらへ向かってきている。


「バイコーンじゃなさそう」


「あれは…っ、いてっ!」


 ラグニィは俺の作ったブービートラップに引っかかって転がっていた。


「お前さん……」


「そんな目で見るのはやめてくださいよ!?

 ちょ、何ですかこれ! 硬すぎませんか!?」


 そりゃあバイコーン用に仕掛けたトラップですから。


 ちょっとやそっとの力じゃちぎれない……


「フンッ」


 ブチ


「え」


 一瞬でちぎられた……?


 よく見たらラグニィちゃん、気を練ってらっしゃる。


「いや、でも気を練った程度じゃ簡単にはちぎれんよな……」


 力任せに引っ張れば、周りの根っこが掘り起こされるだけのはず。


 あのちぎれ方はもっと瞬発的な力の結果だ。


 まるで手刀で叩き切ったような……


「アギト! 来てますよ!」


「はいよ」


 とりあえずそれは後だ。


 地面から植物の槍を無数に生やして、突進して来た巨大な何かを串刺しにする。


「む、外したか」


 軽い手応えに回避を選択。


 姿を先に拝んでおくかと、舞い上がった雪を吹き飛ばす。


 現れたのは、巨大な雪の塊だった。


「なんこれ」


 ゴリラのようなフォルムをしているが、パーツの至る所に雪の塊がくっ付いており、子供が雪遊びで作った残骸のようだ。


「これはスノーゴーレムですよ! ゴーレムと名前についていますが、その実体は精霊の系統です!」


「なら食べられないのか」


「食べる気ですか!?」


 そりゃあ食えそうであれば食うさ。 ロックゴーレムは食べれなかったけど。


「スノーゴーレムは銀級での対応が推奨されています! こいつは私が倒します!」


 言い終わるより早く弾丸のように飛び出して行ったラグニィは、スノーゴーレムとのすれ違いざまにハンマーを掠めるようにして振り抜いた。


 空振りか?と思った瞬間、掠めてえぐれた部分を中心に、スノーゴーレムの肩が大きく陥没する。


「すげぇ」


 しかしラグニィはそのダメージに満足いかなかったようで、首を傾げると今度は胸の前で手を上下に翳した。


 って、あの構えは……まさか波○弾!?


 ラグニィの手と手の間に、輝く気の塊が練り上がる。


「シィィィ……フッ!」


 バックステップしながら放たれた波○弾は、スノーゴーレムの胸に命中すると、爆散して雪の体を粉々に吹き飛ばした。


「すご! カッコよすぎんだろ!」


「ふふん、でしょう?」


 これは素直に賞賛に値する。


 まじでかっこいいし、威力も申し分ない。


「でも私では相性が悪いですね。 ここは引きましょう」


 言われて見てみれば、スノーゴーレムは周囲の雪を掻き集めて再生しているようだ。


「コイツって溶かせば倒せたりしないの?」


「溶かせればいいですけど、相手は精霊ですから魔法への耐性は強いですよ」


 実際、雪を溶かす結界ではスノーゴーレムの雪に力負けして効果は見込めないだろう。


 だからこそ、もっとシンプルなやり方である。


「ま、物は試しだ」


 再び木を生やして、スノーゴーレムを串刺しにする。


「それはさっきやったでしょう」


「こっからよ。 見てなって」


 生やした木に葉を茂らせると、葉の養分を吸い取ってカラカラの枯葉にし、それを大量にスノーゴーレムに振り掛ける。


 そしてスノーゴーレムの魔力が枯葉に及ぶ前に、すかさず魔法を放った。


「『火種』『着火』『燃え広がれ』」


 これで踊る焚き火の完成である。


 湿気ったり魔力で炎を消されないように、枯葉の追加投資も忘れない。


「うわ、うわぁ……」


 必死に逃げ出そうとするスノーゴーレムだが、当然許すはずがない。


「植木も生やしちゃうぞ」


 植木にボヨーンと押し返され、再び囚われるスノーゴーレム。


 体の構造上声が出せないせいか、ドタバタ暴れ回る布団を見ている気分だ。


「ま、バイコーンが来るまでの余興くらいにはなるだろ」


「アギト……人じゃないです……」


「ついさっき同じ人種だって言ってただろ。 ナカーマ」


「一緒にしないでくださいよ!」


 女子に拒絶される俺を他所に、ムアは何を思ったのか突然燃え盛るスノーゴーレムの頭を噛みちぎると、悠々と戻ってきた。


「ちょ、大丈夫? 火傷してない?」


「ガウッ!」


 元気に答えるムアには、怪我どころか毛の焦げも一切見られない。


「良かった……うん? なにこれ」


 ムアが霧に載せて渡してきたのは、氷のように透き通った石だった。


 いや、これは……


「うわぁぁぁ凄い! これスノーゴーレムの魔石ですよ!」


「そんなに凄いの? 中の魔力量はバイコーンの倍程度だけど」


「精霊系の魔石は希少価値が高いんです!

 純粋な魔力から放たれる宝石を超える美しさに、そもそも遭遇も入手も困難なのでコレクターがヨダレを垂らして欲しがる程なんですよー!!」


 ヨダレを垂らしそうな顔してるのはラグニィやんけ。


「そんなに詳しいって事は、ラグニィもコレクターなのか?」


「いやいやいや。 これは冒険者にとっても絶対に必要な知識なんですからね!

 だってこの魔石、売るところで売れば金貨にまでなりますからね!?」


「まじ!?」


 こ、この石ころが1000万……。


「ムア、お手柄だ」


「ガウッ!!」


 ムアを褒め讃えていると、突然ラグニィがしゅんとなった。


「あ、あの……もし宜しければ、少しだけ分前のを頂けたり……」


「ん? そりゃ当たり前よ。 でも倒したの俺とムアだから4分の1でいい?」


 前回ディカに言われたのでちょっと強気に出てみたが、少しやらしい言い方になってしまったか?


「そ、そんなに貰っていいんですか!?」


 おや予想外の反応だ。


「だってラグニィも戦ってたでしょ」


「しかし……あの、目的とか理由があったら聞かせてくださいませんか」


 目的と理由じゃ大分違くないか。


「スノーゴーレムの情報提供と、戦闘に参加して十分な戦力を見せたって所かな。 それと売却額を教えてもらったのがでかい」


 情報は宝だ。


 弱点を教えて貰ってなかったら大量のツタで強引に捻り潰すつもりだったから魔石を手に入れる事は無かっただろうし、運良くムアが気付いていても、ギルドに安い額で魔石を売ってしまっていただろう。


 地球では『知ってたら俺だって』みたいな妄言を吐くアホがチラホラ居たが、知らなければ可能性はゼロに限りなく近しい。


 むしろ得た利益に比べたら、4分の1程度は安いものだ。


「……ふむ、確かに嘘はついていませんね。

 ではご厚意に甘えさせていただきましょう!

 こうなったら、私のツテを全て使って高値で売りさばかなければなりませんね…」


 もう皮算用を始めているラグニィだが、1つ気になった事がある。


「『確かに嘘はついていませんね』って?」


 その言い方ではまるで……


「あ、私の固有能力の1つは、人の嘘を聞き分ける能力です」


 ディカと同じ固有能力を持っているらしかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ