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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

立ち入り禁止

作者: ななだ

「おばあちゃん!!久しぶり」


「あぁ公ちゃん・・・元気にしてたかい?」

僕は乙坂公介おとさかこうすけ。今日は山奥にあるおばあちゃんの家にお泊りに帰って来た。


「おばあちゃん・・・あの男の子って誰?」

僕の目線の奥にいたのは家の中からこちらを覗いてくる8歳ほどの男の子だった。


「あの子はね、なんでか知らないけどこんな山奥まで何かから逃げて来たらしいんだよ。

 私は動物の何かだと思うんだけど動物じゃない何かって言ってるんだけどね・・・。

 家を聞いても首だけ振って何も言わないんだよ」


「ねぇ君名前は?」

僕はおばあちゃんから離れてその男の子に近づき名前を聞いた。


「僕は・・・ダメ。名前は知らない人に教えたらだめって言われてるから言わない」

男の子は頑なに自分の名前はしゃべらなかった。

彼いわく親から個人情報は言ったらだめだと言われているらしい。


「んーー、それじゃぁどうしてここに来たのかな?」


「えっとね。山の中で友達とかくれんぼしてたんだよ!すごく楽しかったんだよ!」

元気に教えてくれたがどうして来たのかはこの情報だけじゃ全然わからない。


「そのかくれんぼの途中に抜け出してここに来たのかな?」


「うんん。僕はね何か大きなものに見つかってね。はじめは友達に見つかったって思ったから出てみたら変なものに見つかってた」


「変なもの?」

この子が言う変なものとはどんなものだろうか。でもさっきおばあちゃんが言ってたが動物ではないらしい。でも山奥で見るものなんて動物以外にあり得ないと思うんだが・・・


「なんていうのかな、よく覚えてないけど大きかったのは覚えてるよ。あ!あとはあっちの方向から逃げて来たよ。でも逃げるのに必死っでグネグネ走ってたから家は違うだろうけどね」


「ん?あっちって・・・」

男の子が指した方向は以前大規模な大雨で土砂崩れが起こった場所だった。あそこは立ち入り禁止でしかも人が歩いたり走ったりできる場所ではない。なので間違っているはずだ。


「本当にあっちからここまで走って来たの?」


「うん。でもね僕が疲れてもうだめかと思ってた時におばあちゃんに助けてもらったの。でもねでもね、おばあちゃんが来た時には僕の後ろに何にもいなかったんだよ。いたはずなのに・・・」

この子が言うことは本当か嘘なのかはわからない。でも土砂崩れで崖になっているところから来たなんて言われても信憑性がなさすぎる。大人でも無理なんだぞ?子供が逃げることが出来るわけがない。


「おばあちゃん!本当にこの子はあっちから来たの?」


「あーそうだったねぇ。確かそこの木の下でうずくまってたのを見つけたんだったね」

おばあちゃんは崖っぷちにある木の下を見ながら説明してくれた。


「そういえばおばあちゃん避難しなくてもいいの?土砂崩れがこんな近くにあるのに・・・」

おばあちゃんの家から土砂崩れのところまで10mほどしかない。もう一度雨なんて降ってきたらおばあちゃんの家まで崩れてしまうだろう。


「あぁ、大丈夫だよ。それよりも早く中に入ったらどうだい?」

おばあちゃんはどうして大丈夫なのかわからないが心配はなさそうだ。


「あれ、前こんなにものあったっけ」

おばあちゃんの家は以前来たよりも物が増えていた。しかもそれは小さなシャベルばっかだった。


「おばあちゃん?なんでこんなにシャベルあるの?」


「あ、それはね気にしなくてもいいよ。もう使わないだろうしさ」

気にしなくてよいと言われても壁に18個ほどのシャベルが室内にあったら気になってしまう。しかしおばあちゃんは気にしなくてもいいといった。


「もうそろそろかな・・・」

おばあちゃんは小さな声でつぶやくとそのままシャベルを1個持ってどこかに行ってしまった。




「ねぇお兄ちゃん」

いきなり男の子が僕に声をかけて来たのでだいぶ驚いてしまった。


「えっと何かな?」


「えへへ」


「えへへ?」


「」


「?」


「土って美味しいんだよ?お兄さん知ってた?」


「土は美味しい?」


「うん!多分今おばあちゃん土食べに行ったのかもね」


「!!??」

おばあちゃんは確かにシャベルをもって出て行ってしまった。しかし土を食べるなどのことはするわけがない。


「そこのね?土砂崩れあったでしょ?そこに行ってみたらよくわかるかも」


「何をだよ・・・」


「土 の お い し さ   だよ・・・」

男の子は気味が悪い笑いをあげながら僕に話してきた。土が美味しいなど変なことを喋りだすのはおかしすぎる・・・ おい おい おい おい おい おばあちゃんは大丈夫なのか?


「おばあちゃん!!」


「あぁ公ちゃんか・・・元気にしてたかい?」


「何言ってんのおばあちゃん。さっき会ってたじゃないか」


「何言ってるのよ公ちゃんは。公ちゃんなかなか山に顔出さないから夢でも見てたんでしょ?」

おばあちゃんは洗濯物をバスケットに入れている最中だった。出ていく時のシャベルはどこに行ったんだろうか。


「公ちゃんこっちにおいで」

おばあちゃんは土砂崩れが発生して崖の場所に俺を連れだした。やっぱり何かがおかしい。さっきのおばあちゃんはこんな老けていなかった。


「お前・・・ナニモンだよ・・・」


「何言ってるのよ。おばあちゃんはおヴぁああちゃんだよ?」


「おい。お前普通のばあちゃんはどうした。しっかり無事なんだろな」


「さぁね。幸運を祈るよ」

おばあちゃんの偽物らしき人は明らかにおかしすぎる。見た目は完璧な人間なんだがいつものおばあちゃんとは違う。


「ねぇ僕。今日で何日・・・・ってあれ。ここどこだ?」





読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これを敢えて投下した勇気に敬意を表します。 来年ぐらいに読むと、普通に素晴らしいホラーと感じられると思います。 [一言] こういうのは、不謹慎でも、記録として書いておくべきだという派です…
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