おねぇ聖女が凄すぎて、歴史書には残すことができません!8.王との謁見再び
私はエドガー・バルマー。新たな勇者が登場し、死霊使いを討伐したという噂が広まってしまった為、私達は謁見の間にいる。
「ねえ、モニカさん。この格好でいいの?」
アグネスが訪ねているが、王の御前なので綺麗な装いが良いだろう……だが、それは女性用の鎧だ……
「大丈夫、とっても似合ってるわ!」
モニカ殿……勇者や聖女に対する予算はあるとはいえ、それを選択するのはどうかと思うぞ。まあ、こっちは手作りらしいが……
「エドガー、お化粧崩れてない?」
マリア……心配するのはそこか? オフショルダーのパーティドレスを何とかしようと思わないのか……
「国王がお見えになります」
王の登場に続いて、第一王女クララ様と勇者ハインツ殿が入られた。平民出身のハインツ殿は貴族教育も受けていると……マリアの事で泣き言はなしだ……
「そなたが勇者か?」
モニカはアグネスに礼儀を教えているのだろうか?
「はい、私はアグネスと申します」
アグネスは見事なカーテシーを……って、おい! 何を教えてるんだ!
「ふむ、少年勇者か……聡明な目をしておる」
流石は王だ。動じていない……事前に性別は知らされているはずなのに……
「我が王国に勇者が二人も現れるとはめでたい事だ。勇者アグネスよ、ワシに言いたいことはあるかな?」
何か言いにくそうだが、王を待たすのは不敬になる。ここは頷いて促すか……
「あの! 担当替えをお願いします!」
あ……モニカ殿が絶望の表情になってる。魔導書を落とさなかったのは流石だな。
「モニカさんが付きっきりで何もできません! マリア様は自由です! 私もおねぇ様みたいに……」
ちょっと待て、何を言う気だ! モニカ殿、止めろ! 場合によってはマズイ!
「夜の秘事がしたいんです!」
終った……これは完全に終った。ここにいる我々も同罪か……
「すまぬがそれは出来ぬ。最後は何を言っていたのか分からないが、勇者護衛はモニカ・ベルグラーノの仕事なのだ」
◇
なぜ助かった? 王は最後の言葉が聞こえなかったと言っていたが……
「危なかったわね。結界が間に合って本当に良かったわ〜」
結界?! そのお陰でか……マリアには礼を言わないと……
「マリア殿、エドガー殿」
ハインツ殿が来られるなんて珍しいな。しかも我々二人にか……
「クララ様からの伝言です。しっかり教育お願いねとの事です。伝えればわかると……」
バレてる?! マリアも目を見張って震えている……
「読唇術……」
一番恐ろしいのはクララ様だった。