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貫(つらぬく)  作者: 浮世離れ
第一章
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星波太陽①

俺は長男だから。

三人兄妹の中で歳が一番上なのだから、一番のしっかり者じゃなきゃいけない。

先頭を切って、兄妹達を守れるような存在でなければいけない。

なのにどうも失敗が多い。

いつも何かがあるとタイミング悪く対応できず、気合を入れて行動すると空回りしてしまう。

もっと努力が必要だ。

よく考え、よく動けが俺のモットーだ。

突き進め俺道。


しかし。


(いや、、もう、、まったく、、なぜ、、なんで。)


俺はこんな時に、携帯電話の充電を切らしてしまっていたのだろう。


きっと中学生、高校生よりも自由が利くのは大学生の俺なのに。

こんな時は俺の出番なのに。

月のメールを確認できぬまま俺は親父の死に直面してしまった。

しかも、事もあろうか第一発見者は俺の弟、大地だ。


「親父・・あぁ星波家よ。なぜこんなに俺ら家族に兄妹に試練を与えるんだ。」


大地はこの日を境に表情に暗い影を落としてしまい、月は毎日悲しみと不安な日々に作り笑いで抵抗をしながら過ごしている。

こんな兄妹の、家族の状態が続いてしまうなんて良い訳がない。

俺も一緒になっていつまでも悲しんでばかりはいられない。


(これからは俺が兄妹の親代わりになれるような存在になるのだ。)


お袋が亡くなった時とは違う。

年齢も精神も成熟している今だからこそ出来る事。

俺は固く決心をする。


親父の死んだ日。

その日はいつもと変わらず3人分の朝食を作り笑顔で出勤していった。

今思い返しても悩んでいるような素振りはなく、笑顔を絶やさない最高の親父だった気がする。

親父が医者であることは知っている。

だが普段から仕事の話を家庭に持ち込まないので、いつも職場でどんな顔をして仕事をしているのか、ましてやその日職場で何があったのかなど想像できるわけがない。


(親父は何故死んだのだろうか、、仕事とは関係なく、もしかしたら事件に巻き込まれたのじゃないだろうか、、)


関係が良好な親子の仲ならば親が自殺するなんて夢にも思わないだろう。

もっと親父と話をしておけばこんな結末にはならなかったのだろうか。

自問自答が続く。

しかし後悔は先には立たない。


「母さんはもう3人の傍をけっして離れたりしない。だから、悲しんだり辛くなったりするな。

それでももし、そんな気持ちになったときは遠慮せず父さんに思いっきり!ぶつけるんだぞ。」


俺は親父の骨身にしみた嬉しい言葉を思い出す。


(全く、、敵わない。出来すぎた親父だ。)


病院以外での人の死に警察はセットだ。

第一発見者である大地に警察は容赦なく質問を投げかけた。

俺はもちろん同席を希望しフォローに入ってすべてを答えた。

大地は表情を変えず、声を出さず、時折俺の質問に頷いたり首を横に振ったりして答えてくれた。大地の表情を目の当たりにした刑事もそれを理解したのか、取り調べの際は俺を一緒に呼んだ。

結局、親父の死は自殺として処理されることになった。

遺書のようなものは発見されなかったが、検視の結果、事情聴取、現場検証により事件性が無いとの見解から決まったとのことだ。

いささか疑問の残る見解に俺は警察や関係者を疑ったりはしたが、それよりも大地、月が心配でならなかった。


事件性が無くなってからの段取りはとても早い。

あっと言う間に葬式へと流れた。

そして葬式の終了後。


「兄さん、余計な気負いしなくてもいいよ。」


大地から早速声をかけられた。


(まったく俺が何を考えているか見透かしてからに、、)


ずっと黙っていたと思ったら、やはり大地らしい発言にとつくづく凄い弟だと感心してしまう。


しかし、いやだからこそ、無理を承知で残った兄妹を家族を守るのだ。


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