それぞれの罪と罰
トントン、、
理事長室に三度目のノックが響く。
「どうぞ。」
森は変わらないトーンでノックの主に声をかける。
姿を現したのは東海林だった。
東海林は理事長室にいるメンバーを見ると何かを悟る。
「主要のメンバーががん首揃えて何するっていうんですか?」
東海林はプライベートな調子で話す。
その表情に不敵な笑みを浮かべて。
「東海林烈火さん。出雲砂羽さんの不法医療行為の指示、情報改ざんの行為を行ったとしてあなたを・・。」
「はいはいはいはい!分かりました、分かりましたよ。警察でも何でも引き渡して下さいよ。」
東海林は森の言葉を遮り、言わんとしている指示に素直に従った。
森は表情を変えず、空条は目を見開いて驚く。
フフフッ、、
東海林は笑う。
「何が可笑しいの?」
「いや、別に。」
東海林は空条を見ずに返事をした。
空条はそんな東海林の様子をみると開き直っている意味を理解する。
「東海林、あんた、自分は大した罪にならない・・とでも思っているでしょ?」
東海林は鋭い目で空条を見る。
空条はその視線に身震いした。
東海林の目は空条にじゅうぶん恐怖を植え付けた後、森へと注がれる。
「警察、呼んだんでしょ?んじゃ、最初で最後、皆さんで残りの時間過ごしましょうか。」
東海林は石火矢の隣に座り、自前の煙草を一本取り出して火をつける。
ふぅ、、
東海林は薄汚れた肺から白い煙を吐き出す。
トントン、、
四回目のノックが理事長室に響く。
「なんだ?鳴海も呼んだんですかぁ?今日は年末の病院の大掃除だぁ、あぁっはははっ!」
森の前に東海林がノックの主に声をかける。
ガチャッ、、
理事長室の扉がゆっくり開く。
その姿に誰しもが息を飲む。
恐怖を飲むもの、悪夢の様な時間を飲むもの、希望の光を感じるもの。
「・・な!?お前!?何故、生きている!?」
入ってきたのは当摩大地だった。
「ああ、お前らに二度殺された人間だ。」
その場の空気が一人の人間に支配される。
「そしてバラバラにされた心体を縫い直してお前らに復讐する為に再び現世へ戻ってきたんだ。」
東海林も、石火矢もその姿が星波宇宙に重なって見えた。
二人は理解できずその目に当摩大地を映し出し絶句した。
「星波大地さん。」
森は呟く。
「森さん、空条さん、協力ありがとうございます。俺を狙った殺し屋はたった今警察が捕まえました。ボイスレコーダーも証拠品として提出しましたから、未来の東海林烈火容疑者もしっかり裁いてくれるでしょう。」
大地は追加の状況を説明する。
空条は大地の言葉を聞いて胸を撫でおろした。
「どうなっているんだぁ!?なんでてめぇが生きているんだ!?殺したって報告は嘘だったっていうのかよ!?ああっ!?なんとか言えよ!?」
立ち上がった東海林は大地に首元の服に掴みかかる。
大地はサッ、、と手の平を出し止めようとする森と空条を制止させると掴みかかった東海林の手首を掴み強く握り服から手を退ける。
「ググググゥッ・・。」
大地の予想外の力に東海林の表情が苦痛へと姿を変えていく。
東海林の拳が鬱血しその色を朱へと変える。
「無様だな、東海林烈火。お前の様に私利私欲にまみれた傲慢な人間が支配できる場所なんてこの世にはないんだよ。暴力と権力なんて弱い人間が使う武器で恐怖に満ちた退廃的世界など簡単に壊れるんだ。お前はここで淘汰されろ。」
大地の啖呵に東海林は戦意を喪失する。
「いいか?俺は父さんが殺されてから8年間この瞬間の為だけに生きてきたんだ!この時間を手に入れる為だけにすべてを失ってきたんだ。・・そして手に入れた。お前らも少しは喜べ?これからお前らは悪行の数々が断罪され、その薄っぺらい心で償うことも許されず報われない人生を過ごすことが出来るよう時間を与えてやったんだからなぁ。その方が殺されるよりもずっと苦しいだろう?」
「お・・お前・・」
東海林は大地の言葉に震え、膝が崩れ落ちる。
誰しもが大地の言葉に恐怖を飲んだ。




