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貫(つらぬく)  作者: 浮世離れ
第二章
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烈火(新)⑤

「よぉーお疲れー。」


俺は鳴海を第一病院屋上へと呼び出した。


「・・コンタクトは取れたんですか?」


鳴海は目を逸らしながら俺に聞いてきた。


「いや、ちょっと事情が変わってね。結局会う必要が無くなったのさ。」


「会う必要が無くなった?」


鳴海が驚く。

驚くことも無理はない。

事情を全く知りもしないのだ。


「まず、先に聞いておきたいことがあるんだがいい?」


俺は鳴海に脅すように質問する。


「・・ええ。」


「鳴海さんさぁ、星波宇宙に関わった内容すべて消してあるよな?」


俺は直球で聞く。

鳴海は星波という名を聞くだけで動揺した。

消していないなどという回答が来た場合を俺はすでに考えている。

一連のすべての行動を鳴海の主導の元行ったと流布すること。

所謂、蜥蜴の尻尾切りだ。


「け・・消したはずだ。」


鳴海が自信無さ気に答える。


(いつもこいつは自信無さ気だから本当か嘘か分かりづらいな、、)


俺は鳴海の性格を熟知している。

いつもおどおどしてテンパりやすいので信用にならないことが多い。

押しにも弱いのでどこでどう話を漏らすか分かりもしない。


(ここで本当か嘘か問い詰めても仕方がないな、、それなら、、)


「もし、鳴海外科部長がこの一件でヘマをしたらどんなことになるか分かっているよな?」


鳴海から大量の冷や汗が流れる。

きっと頭の中はパニック状態だろう。

俺は胸ポケットの中の自前の煙草を一本取り出し火をつけた。

そしてふぅ、、と煙を吐く。


(時間はやったぞ。何か話せ。)


俺は横目で鳴海を見る。


「あの、どういうことか説明してもらっていいですか?」


鳴海は真っすぐこちらを見た。


(仕方が無い、、)


「俺がこの間近づこうとした当摩っていう男。星波宇宙の息子だったんだよ。」


鳴海の表情が見る見るうちに青くなる。


「鳴海さんはどうやら最後まで知らなかったらしいな。そういや、顔見せ初日、用事とかで休んでいたもんな。」


鳴海は俯いている。


「第二病院だから俺らは会う機会なんてそうそうない。その盲点を突かれたんだよ。用意周到に名前まで変えてね。」


「な・・なんてことだ・・」


流石に耐えきれなくなった鳴海は声を出して絶望している。


「ネズミはちょこちょこ星波宇宙の死について嗅ぎまわっていたらしい。期待以上の結果になって浮かれていた俺もまさか8年越しのトラップに引っかかるとは思わなかったわけだ。」


息子が復讐に来るためだけに己の人生を使おうとなど誰が想像したであろうか。

きっとここに来るまでに様々な情報をかき集めてきたのであろう。

敵ながら天晴な逸材だ。


「それで、それがどうして接点を取る必要が無くなったっていうんです?」


鳴海が最もな質問をしてくる。

ここは俺の恐ろしさを教えてやろう。


「いや、なに、もう当摩大地。つまり星波宇宙の息子、星波大地は殺したって訳よ。」


「な・・なんだって?そ・・そんな・・大地君。・・月・・さん。」


(月?そうか、、確かこいつは星波宇宙の娘と結婚しているんだったか。)


「そんなにビビるなよ。鳴海さんだって親父の命令で出雲とか言う女に大量の薬品ぶち込んで虫の息にさせていたじゃないかよ。その甲斐あって、月っていう女も、外科部長も手に入れる事が出来たじゃないかよ。なぁ、俺らは運命共同体ってやつよ。分かっているだろう?」


「そ・・それは・・。」


鳴海が忘れたいだろう過去を取り戻す。

俺は恐怖心で完全に鳴海を掌握する。


ガチャッ、、

屋上の扉が開く。

俺と鳴海は時が止まったように動きを止め、屋上の扉が開ききるまで見入る。


(誰だ!?)


動揺が走る。


「当摩大地を殺したって、どういう事よ!?」


声の主は空条だった。


「ねぇ!?どういう事よ?答えなさい、東海林烈火!!」


(ちっ、、偉そうに、、)


「どこから聞いていた?空条。」


俺は逆に質問し返す。


「質問に答えなさい!!当摩大地をどうしたの!?」


質問を答え出返さない空条の態度に俺は苛つく。

恐らく俺が回答しない限りは答えないであろう。

次から次へと来る厄介ごとに辟易する。


「言葉のままだよ。分かるだろう?殺し屋に始末させたんだよ。信じられねぇならメールでも電話でもしてみりゃいいだろ。」


俺の言葉に空条は絶句する。

空条は力なくその場に座り込む。


「そ・・そんな・・まさか・・」


そして両手、両膝を屋上の地面につけ無機質な屋上の床を睨むと声にならない声で一目を憚らず涙を流す。


「なんだ、空条さんよぉ。当摩の事好きだったのか?なら諦めて別の男にでもしろ。」


「五月蠅い!!あんたなんか・・あんたなんかぁぁぁぁぁ!!」


空条のヒステリーに俺はもう構うつもりもなかった。

空条もこの病院の飼い犬だ。

大した影響力を持つことはないだろう。

俺は大して吸っていない煙草を携帯灰皿へ収納すると屋上の扉へ向かって歩き出す。


「まぁ、これで危険因子は完全に無くなったわけだ。お二人さんとも末永くよろしく頼むよ。」


俺はそう言って屋上を後にした


「グググッ・・あく・・ま・・悪魔めぇ・・。」


呪いをかける様な空条の言葉が聞こえたような気がした。

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