大地(新)⑪
家。
きっと狙われる。
だから1Fとメインを地下1Fでの暮らしにしてしまえばいい。
狙いが難しくなり、環にも安全を届けられる。
駅から遠い家の場所。
僕は近所一帯に協力を伝え僕の理想の監視カメラの配置を設置させて貰った。
駅から離れているから話が通りやすい。
危険な目にあった際の犯人の逃げ道を特定しやすく、人混みに紛れさせる事をさせないように。
さらに地下が安価に作れて制限がない。
家から職場までの距離を遠くすること。
地方の駅はトイレが駅内ではなく外に隣接している場合が多い。
ここで怪しまれず兄さんと入れ替わることが出来る。
自宅以外の場所で人目が付く状態で作業をするまとまった時間を設けるには通勤時間を多くすればよい。
環を疲れさせて地下を中心に過ごさせる狙いってことでもあった。
ザッザッザッザッザッ、、
「兄さん!」
僕は駆け足で倒れている兄さんの元へ駆け寄る。
そして血に染まった身体を抱きかかえると兄さんの名前を呼んだ。
「太陽兄さん!!」
僕は兄さんのマスクを取り再び声をかける。
兄さんはゆっくりと目を開くと口から血を吐き出し何か話そうとした。
「兄さん!!何故防弾チョッキを着てくれなかったの!?」
兄さんは防弾チョッキを着てはいなかった。
銃弾は完全に兄さんの身体を貫いている。
そう、僕が兄さんにした最後のお願い。
それは。
僕の身代わり。
父さんについて調べることで危険な目に合うことを予測していた。
きっと命を奪われるような危険もあると。
予測できているのなら防衛すればいい。
危険な時を逆に作って絞らせれば防衛する手段も少なくて済む。
(きっと兄さんの撃った犯人も映っているはず、、)
「だ・・だい・・ち・・」
「兄さん!兄さん、今救急車を呼んだからね!!」
僕は止血しようと強く抑えながら話す。
「やった・・ぜ・・。揺らし・・たら・・あいつ、吐きやが・・った・・。」
兄さんはポケットに忍ばせてあるボイスレコーダーを渡してきた。
「これは・・」
僕はボイスレコーダーを握りしめる。
「に・・似てたろ・・声も・・顔も・・」
(そうだ、兄さんは整形をしてくれたんだ。僕そっくりの顔にする為。)
「ゴホッ!!ゴホッ!!・・」
「兄さん!!もういい、もう、喋らないで・・。」
僕は兄さんの手を強く握った。
再び血が流れ落ちる。
兄さんが力強く僕の握った手を握り返してくる。
「お前・・の・・役に・・初めて・・立て・・た。し・・あわせ・・だなぁ・・」
ふと、今まで力強かった兄さんの手の圧力が無くなり僕の手の中からするりと落ちる。
「・・兄さん・・僕にそっくりだ・・やっぱり兄弟だね・・兄さん・・」
遠くから車の音が聞こえる。
雪は強さを増し、僕と兄さんをゆっくりと包み込んでいった。




