烈火(新)④
俺としたことが迂闊だった。
まさかあんなネズミが入り込んでいたとは。
(後手になったが情報はすべて消した。しかし絡んでいた人間が異動にしてしまったり、辞めていったせいで把握しきれねぇ。あのネズミ一匹で動いていたならそんなにリスクはないだろうが、万が一協力者がいるもんなら油断ならねぇしな。)
俺は当摩の事で苛ついていた。
星波宇宙の件は結果的に願ってもいない幸運だったが、同時に想像も出来ない結果でもあった。
警察の介入もあり正規の流れで幕引きだった為当時の情報を残すことにリスクが生じるなど少しも考えていなかった。
いや、実際には親父と警察の癒着があったこともあり有耶無耶なまま闇に葬ることが出来、そのまま過去の産物になると高を括っていた。
鳴海に足跡を残さないようにする事がなどと説教垂れていたにも拘わらず、誤算だ。
(親父は足を残したりしてねぇよな?鳴海はドジ踏んでねぇのか?関わった連中には再度聞くか?蒸し返してもな、、知らねぇことが多いと逆にリスクか、、あとは辞めていった人間か、、)
俺は計画の首謀者である親父、実行犯である鳴海を疑い関わった人間の対応を考える。
トントン、、
医事長室をノックする音が聞こえる。
「どうぞ・・」
俺は警戒する。
入ってきたのは俺の仲間だった。
「よく来たな。ようやくお前の力が必要になった。」
男は親父から紹介された殺し屋だ。
その風貌はごく普通のサラリーマン風で背や体格も日本人の平均的なものだ。
違うところは銃の扱いが上手い事。
日本でも一、二を争う手練れらしい。
「こんなところに呼んで、盗聴されていないだろうな?」
(警戒心が強いな、、)
「安心しろ。チェックした。」
重要機密なのは俺が一番知っている。
細心の注意を払って行動しているつもりだ。
「まず先に俺が質問する。俺が動くのは大物の時だけだ。だが何故今回、こんな小物をよこしてきたんだ?」
プライドが高すぎるのか、自分の腕に相当な自信を持っているのか。
今後のでかい山を越えるためのリスクヘッジであることは事実なのでそう答えるしか出来なかった。
「まるであんたの尻拭いに聞こえるがまぁいいだろう。金もいいしな。早い段階で連絡を貰ったので的の行動パターンは把握済みだ。手も打ってある。いつでも出来る。」
「流石、仕事早いな。タイミングはお前に任せる。よろしく頼むよ。」
そう言うと殺し屋は医事長室を出ていく。
「クックックッ・・全く便利だな、親父の力は。世の中やっぱり繋がりだよなぁ・・イレギュラーは消しておかにゃ・・」
俺は医事長室で笑った。




