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貫(つらぬく)  作者: 浮世離れ
第一章
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星波月②

いつもの雨の日の学校帰り。

校門の前で男性から声をかけられた。


男性の名前は鳴海京介なるみきょうすけさん。

鳴海さんはお父さんの友人であるという。

お父さんの仕事をしている病院名は知っていたので、その人が差し出した名刺に書いてある病院がお父さんの仕事先だということはすぐにわかった。


自分が医師である証明のため医師免許も見せてくれる。

なんとなく私を不安にさせないよう一生懸命。


鳴海さんが言うには、お父さんの様子がおかしい。

状態が良くないので病院に来てほしいとのことだ。


私の事はお父さんとの間柄で知ったらしく、帰宅する生徒に声をかけやっと私を見つけたという。


(でもなぁ、、お父さんの事は心配だけれど、、やっぱり初対面だからなぁ、、)


私は戸惑う。


(お兄ちゃん達に連絡をしたほうが、、あっ、、授業中かな、、携帯出れないよなぁ、、)


言い方は悪いけれどなんだか使い古されたナンパみたい。

いや、まだナンパだったらマシなのかもしれない。

最近は特に物騒な世の中になったから、お父さんの職業を知っての誘拐だったらどうしようか。


(身代金目当て?嫌だなぁ、、うちは別にお金ないし、、)


妄想が膨らむ。


(私、目当て!?うわぁ、、よくよく考えたらとてもおかしい、、気もする、、)


きっと私は知らず知らずのうちに、凄く怪訝そうな顔になっていたのだろう。

鳴海さんは悟ったのかすぐ弁解する。


「こんな事唐突に言っても信じてもらえないよね。正直に話すと、って今までの話も正直な話なんだけれど、あの、えっと・・半分僕の独断で来たようなものなんだ。

実は教授。あっ、月さんのお父さん、今日大切な手術を2回も行う日だったのだけれども、どうも執刀後気分が優れない状況でして。

いつもと様子がおかしいので仮眠室で少し休まれるよう促したんです。横になられていた教授は悪夢に魘されているような声を出し、譫言のように月さんや息子さんのお名前を呼ばれていました。そして急に立ち上がり焦点の合っていない目で退勤を希望されたんです。

もちろんそんな状態で一人で帰らせるわけにはいかない。僕が車で送っていくと訴えたのですが、一人で帰ると聞かなくて・・私は本当に教授を信頼し大変尊敬しています。だからなおさら心配で。

一旦、もう少し横になり今しばらく安静を促しました。

そして帰宅をするのならばせめて誰か家族に付き添って貰ったほうが良い、連絡した方が良いですよって声をかけたんですが断られてしまって。

あまり私生活を話されない教授との会話の中で唯一、以前月さんと言う娘さんがいると言う事と、月さんの学校の事などを話されていました。それでダメ元でここにきたというわけです。」


(お父さん、私の話、ちゃんと聞いてくれていたんだ、、)


私は少し嬉しくなる。


ここまでは公共の交通機関で来たと言う。

時間はかかるが自家用車なんかで迎えに来たらそれこそ信用してもらえないだろうと思ったらしい。


(信用するしないとは別に、本当に一生懸命な人なんだなぁ、、)


私の今まで構えていた警戒心は少し解けていた。


急にお父さんの様子が心配になる。

勝手に一刻も争うのかもしれないなどと、良からぬ考えまで暴走し始める。


私は頷くとすぐに鳴海さんとタクシーに乗って病院へと向かった。

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