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貫(つらぬく)  作者: 浮世離れ
第二章
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烈火(新)③

当摩大地。

医師。

大学きっての秀才。

当然の技術も知識も高いレベルを保持。

同僚の医師からの信頼も厚く、患者からの評価も高い。


(申し分ない素材だな。後はこいつの肚の中を探る必要がある。確か既婚者だったな。場合によっては朱音も使うか。)


対応できるカードが多いと策の幅が広がる。

しかしもう少し情報が欲しいものだ。

会うとしてもある程度の土産が無ければ事が上手く進まない可能性もある。

(賢さが仇となって警戒でもされたら面倒だしな、、)


俺は色々と策を企てた。


「第二病院か・・あんまり付き合いねぇよなぁ。森の息がかかり過ぎている。」


俺は思わず独り言を呟く。

第二病院は森理事長のテリトリーだ。

迂闊に手を出すことが出来ない。


(仕方がない、、アイツ経由で出来るか探ってみるか、、)


俺はとある番号に電話をかける。


「ただいま帰りました・・。」


暗い声とともに嫁の朱音が帰宅してくる。

特に気にせず俺は電話での要件を続行した。


「あー、今電話平気です?単刀直入に聞くけれど第二病院に新卒で入った当摩っていう医師しらない?あーそう。知らないかぁ。いや別に気にしなくていい。それより第二病院に親しい知り合いいる?・・その人外科の人か。それじゃあ電話番号を教えて。OK。また病院で。」


ピッ、、

電話を切り情報をまとめる。

なんとか繋がりを持つことに成功。

後は教えてもらった電話番号の主を上手く誘導できればベストなはずだ。

トントン、、

部屋の扉がノックされる。


「はい?」


誰がノックをしたか知っているが俺はいつも通りに対応する。

ドア越しでも怯えたような空気伝わる。


「朱音です。あの・・お食事出来ました・・。」


呼んだ目的も大体予測できていたので俺は適当に返事をしてダイニングルームに行くことにした。

いつも通りの会話の無い食卓。

TVの音だけがBGMのように聞こえてくる。

俺としては別に食事を合わせる必要などないのだが、朱音はお休みの時はせめてと言ってくるので付き合うことにしている。


「朱音。」


(いい機会だ。布石を打っておくか。)


「は・・はい。」


朱音は不意打ちを食らった表情でおっかなびっくりに返事をした。

そして朱音の橋の手が止まる。


「お前、友人なんかとお茶したり遊びに行ったりするのか?」


質問をしながら俺は考える。

夫婦だというのにこんなことも知らないと色々疑われる可能性がある。

常識的に考えてもおかしい。

いくら興味がないからと言って今後の事を考えると支障が出るかもしれない。

造作なことであっても、多少の情報はお互い共有しておいたほうが良いだろう。


(この時間はしばらく情報交換に使用するか。)


「あ・・あの。え・・えへへ・・少ないけれど友達はいます。・・お茶もたまにします。」


俯き気味に答える。

内向的過ぎて人付き合いが苦手なきらいがあると思っていたがそんなこと無かったようだ。

しかしこれならばまだ見込みはある。


「そうか。じゃあもしかしたら俺の友人との交流に友人との奥さんが関わっても仲良く出来るな?」


半分、命令のつもりで言う。

本心だろうが建前だろうが俺の目的の為には協力して貰えなくては困る。

夫婦なのだから。

朱音はしばらく俯きながら橋の手を止めている。


「あの・・ごめんなさい。さっき・・少し聞こえてしまったんですけれど・・もしかして・・当摩さんですか?」


(なんだ、聞いていたのか。)


「ああ、知らないだろうから教えておくとな。当摩大地っていう俺の病院の隣、つまり第二病院の医師なんだ。」


そこまで言うと朱音は俯いた顔を上げ、何か言いたそうな表情でこちらを見た。


「なんだ?何か言いたいのか?」


言い方がきつかったのか、目が泳いでいる。

仕方がないので何か喋るまで待った。


「え・・えへへ・・あのもしかしたら当摩さんって方、知り合いかもしれません。」


(何!?)


「どういうことなんだ?話してみろ。」


朱音はそう言うと事のいきさつを話し始めた。

当摩大地の奥さんと同級生であること。

卒業してから偶然出会い、定期的に食事に行っていること。

そして昔話も聞くことになる。


「大地さんは高校生の頃、ご両親を亡くされて名字が変わったんです。当摩って。」


「じゃあ、元の名字は?」


「・・星波・・だったと思います。」


(星波!?星波だと!?まさか、、)


俺はその名前に驚愕する。


「星波大地・・の親父を知っているのか?お前は!?」


思わず立ち上がり朱音の髪を鷲掴みにすると問い詰めた。

興奮した形相と行為により朱音は涙目になり身体をブルブルと振るわせる。


(ちっ・・これじゃ埒があかねぇ・・)


俺は髪を掴んでいた手を離すと、朱音が落ち着きを取り戻すまで待った。

テーブルの上に置いてあるグラスを持つと水をググッ、、と飲み干す。

しかし一向に話さない朱音に待ちきれず苛立ち俺はワザと持っていたグラスをテーブルに叩きつけ大きい音を出す。

朱音の身体は大きく反応しとうとう涙を流し始める。


「早く知っていることを話せ!」


俺は朱音の態度に虫の居所が収まらず再度要求する。

朱音は泣きながら話始めた。


「グスッ・・大地く・・んのお父さん・・は・・しらない・・です。働い・・ていたのは・・グスッ・・烈火さん・・の・・病院だと‥思い・・ます。」


(なん、、だと!?)


「なんだとぉぉー!?」


大声を出す。

朱音は声を出して泣き、口を手で塞ぐとダイニングから逃げるように自室にへ向かった。


(当摩大地!!星波宇宙の息子が第二病院の医師だとぉ!!何しに来やがった、、何しに来やがったんだぁ!?)


ただならぬ予感を感じた俺はワナワナと震える身体を感じながら当摩大地と直接会うことに決める。

森どころの騒ぎではない。

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