烈火(新)①
「もうあれから7年?いや8年以上経つんだぞ!?どうしてあの女を失脚出来ない!?」
親父に呼び出された俺は開口一番ドヤされる。
(チッ、、毎回、毎回。)
親父に呼び出されるイコール罵倒される。
もう分かり切っている事なのだがやはり言われる側としては気分が悪い。
「まぁまぁ、あなた。急がば回れとも言うでしょう?烈火さんは日々取り組んでいるじゃありませんか。ねぇ、烈火さん?」
親父の横でまるで俺の味方面をする女。
相手を見下す目、腹黒い性格。
親父が不倫の末に手に入れた東海林虹太郎県議員の妻、絵巻が冷たい目でこちらを見てくる。
(そういや、もう東海林絵巻じゃなくて、石火矢絵巻か、、)
俺は絵巻の質問など無視する。
「親父、あの女は中々手強いぜ。浮ついた話もねぇーし。第一親父だって何も出来てねぇーじゃねいかよ。」
俺は親父に口答えする。
いつまでも言われ続けるなんて真っ平御免だ。
「烈火。誰がボロ雑巾みたいにこれからの人生、再利用出来ないような人間をここまで押し上げてやったと思っているんだ?これほどの金も名誉もコネも与えてやったと思っているんだ?お前のようなゴミ屑が一代で築くことなんざ100万回人生繰り返したって無理なことぐらいお前の小さな頭でもわかるだろう?だったら少しでも恩を返すことぐらいしても罰は当たらないだろう?ん?」
親父の決まり文句だ。
「烈火さん、烈火さんには東海林の名も差し上げたんですよ。もっと雷炎さんに尽くしなさい。」
さらに追撃。
すべて事実だ。
ぐうの音も出ない。
しかしさらに幅が広がり動きやすくなった分、面倒な小言も二倍になってしまった。
(悪魔のような男に悪女がくっ付いちまった。まさに鬼に金棒だな。そういや、前の旦那を消すために主導したのもこの女だったな。)
この二人は東海林虹太郎の存在が邪魔だった為共謀し、絵巻主導の策略で彼を葬った。
さらに東海林の名を無駄にしないよう再利用するため俺に名を継がせ絵巻の娘、朱音を差し出してきたのだ。
(娘の前ではいい母親面をして、裏では娘を自分の道具扱いする。あの二面性は俺も恐れおののいたな、、)
婿養子として継がせた後は世間に一人親として頑張り娘の幸せを見届けやり遂げたアピールを装い東海林の名前も渡して親父と再婚を果たす。
病院のポストを死守しつつ、さらに県議員の名を持つ人間、つまり手先である俺を使い強固で盤石な布陣を作り上げる。
(いつまでもこんな奴らの言いなりになってたまるか、、)
「しかしよ、烈火。あと一人なんだよ、あと一人。ここまでずうっと我慢してきたんだ。もう時間で解決するには限界なんだよ。あの女の許可っていう高い高いハードルもあるわけだしな。お前解決方法知っているだろ?じゃあそのカードそろそろ切る番だよな?」
(どこまでいっても悪魔は悪魔か。)
要求していることは理解できた。
実行するのは手下。
例えそれが実の息子だとしても。
(今回奴は使えない可能性が高いからな、、だとしたら、、)
悪魔の子として俺は命令を聞かざるを得なかった。




