星波月①
私は大地お兄ちゃんが好き。
無邪気に、無責任に言えたらどんなに楽なのだろう。
兄妹という運命でなければどれほど良かっただろうか。
私の家族。兄妹は3人。
長男の太陽、次男の大地、そして私、妹の月。
母親は私を生んで亡くなってしまった。
だがら親はお父さんだけ。
太陽お兄ちゃんは今年大学を入学したばかり。
いつも元気でいつも明るくて前向きで。
私たち兄妹を一番に考えてくれる。
本当は高校卒業したらすぐに就職をしたかったみたい。
だけど、医師のお父さんから説得され自分の将来も少し気にしてくれるようになった。
お父さんはいつも忙しそうであまり話をした記憶はない。
私はもう中学を卒業する年齢だから忙しい理由を理解している。
友達みんながお父さんの職業は素晴らしいとか凄いって言ってくれるけれど。
私にとってはあまり嬉しくはなかった。
実のところ、もっと身近にいて接してくれる太陽お兄ちゃんのほうがお父さんらしい。
そんなことを言うとお父さんはがっかりするし、太陽お兄ちゃんはさらに張り切っちゃうから
言わないでいる。
大地お兄ちゃん。
頭が良くてとても優しい。
なにより大人っぽくて私が困っているときにいつも傍にいて助けてくれる。
大地お兄ちゃんは家族の中で一番話をする。
この間、お互いの学校生活の話をしていた時に高校生活にも馴染んできたって言っていた。
馴染まないでほしい。
これ以上遠くに行かないでほしい。
本気で思ってしまった。
私が努力しても到底たどり着けない場所なのだから。
「大地お兄ちゃんは気になる人とか・・出来たの・・かな?」
楽しい会話の中でふと聞いてしまった。
いつも心の奥にしまってある消えない本音。
(あぁ、、聞いちゃった、、)
無意識に聞いてしまった。
いつも首の皮一枚で繋がっている私の本音の引き出し。
(開けるつもりはなかったのに。)
大地お兄ちゃんといつまでも話したい。
一分でも一秒でも長く続けていたい。
だから一生懸命会話についていく。
話の内容がどんどん霞んできて、いつのまにか目的がそこに変わってしまうから。
こんなミスをよくする。
でも、今回のミスは今までで一番大きなミスだ。
きっと今の私は顔が真っ赤になっている。
目なんか絶対に合わせられない。
今まで普通に会話をしていたのに。
兄妹として普通に目を合わせていたのに。
こんな核心的な質問、口を滑らせて言ってしまったけれど聞ける勇気なんて準備していない。
それでも次に出てくるお兄ちゃんの答えが聞きたいような聞きたくないような。
(自分で蒔いた種なのに、こんな覚悟もない状態で枯らせることになったら、、)
絶対短い時間。
だけど私にとってはとても長い時間。
「今は、特にそういう存在いないかな」
大地お兄ちゃんはそう言った。
(ああ、、嬉しい。飛び上がりたい。でも我慢。でも、、我慢。)
「そうなんだ・・」
満面の笑みで答えてしまうぐらいまでしか我慢できなかったけれど。
(許して、、)




