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貫(つらぬく)  作者: 浮世離れ
第一章
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当摩大地②

目標が出来ると急に時間が惜しくなる。


(全く、、今までの無駄に過ごした時間を取り戻したい。)


ただなんとなく有限な時間を無駄に消費していた自分にとても腹が立った。


あの日、父さんに何があったのか。

いや、その前からもう何かが起きていたのだろうか。

父さんの変調、変死、葬式会場での男達の会話、職場の状況や人間関係。

疑おうとすればキリがない。


葬式の後、僕は父さんの同僚である鳴海さんに直接話を聞いた。

事件当日。

父さんは午前中から手術を1件午後に1件控えていたようだ。

そしてその内の1件は手術の甲斐もなく患者は亡くなってしまう。

今だ原因を調査中との事だが、病院側の医療事故の可能性も高いとの事だ。

施しようもない状態だったらしい。

もう一件も術後の状態が芳しくないと。

医療事故による因果関係は不明だがそちらは可能性は低いとの事だ。


医療事故と言っていたが具体的には何なのだろう。


(もし父さんが医療ミスと理解もしくは勘違いしていたとして、その状況に気を病んでしまいそれが起因だったとしたら、、)


または。


(職場の上司、同僚、部下からの叱責、患者の関係者からの信頼の失墜に耐えられずに、、)


他には。


(想像を超えた出来事に対しての医者の失意。無力からくる燃え尽き症候群。)


医者も人間なのだから完璧などない。


(ミスは誰にでもあり得ることだが。)


しかし父さんはどうだろう。

我慢が出来ないほど耐え難いことだったのだろうか。

そもそも動機は1つか。

複合系ならばどうか。


(しかし、、しかしそれで死へのトリガーが引かれてしまうのだろうか。)


そんな事でとは思わない。

仕事とは言え、結果人の死に繋がってしまっているのだから。

事の軽重など、もはや個人の感覚だ。

ただ、客観的に見ても、今回の事はイメージ悪く囚われてしまうだろう。


「だからって・・なんで何も語らず逝く必要があるんだよ・・」


結局、事の一部始終しか鳴海さんは分からないとの事だった。


最後に残された手掛かり。

事故と言う関係者達の話。

正直、彼らを吊るし上げても追求したい。

しかし、そんな事を実現させるのは困難だろう。

いや、返って無理をすると真相を迷宮入りさせてしまう可能性もある。

それに僕はまだ高校生だ。

真剣に取り合ってなどくれないだろう。


(くそっ、、)


考えこめば考え込む程、僕にとってのその闇は色を濃くしていく。

色だけではない。

不明瞭な形までもが大きく広く存在している様に感じる。


「とても・・とても強大な・・何かが・・」


僕は何を言っているのだ。

今はまだその影も形もわからない状態ではないか。

僕は何も考えず、それでも具現化が進む何かを一点に見つめた。

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