星波宇宙②
当日の天気曇り。
時刻は午前9:00。
私は、午後行う手術の為の準備をしていた。
「生憎の天気だな。」
風も強く吹いており嵐の前のような天気模様に若干の憂鬱を感じる。
こんなことを言ってしまうと患者さんへの悪影響になってしまうのだが、とても胸騒ぎを感じられる日だ。
(どうしたことだ、、)
私は自分に喝を入れた。
「先生!!305号室の出雲さんの様子が・・!!」
そんな折突然ナースの声が響く。
一瞬、ドキっとしたのは言うまでもない。
私は、すぐに出雲さんの様子を見に行く。
出雲さんは低いうめき声をあげ苦しんでいた。
出雲砂羽さんは私と鳴海先生で受け持っていた中学生の少女だ。
数日前にこの病院に救急搬送され急性胃粘膜病変にて入院の運びとなった。
私は痛みに伴う対応の為、短期間の入院と薬物治療を行い経過をみていた。
順調に見えた。
しかし。
「痛い・・痛いよぅ・・」
苦しむ出雲さんを見て、私はすぐに対処をし原因を解明するための指示を行う。
(以前に比べて、数値が悪くなっている!?この数日で!?)
肝臓に関わる数値に異常をきたしている。
肝硬変に罹患している可能性も高い。
結果、緊急手術の運びとなる。
各々準備に時間を要するも、午前中の手術が行えるよう漕ぎ着けた。
私と鳴海先生は手術室に入り出雲さんを助ける為に尽力を尽くす。
「せ・・先生・・これは・・。」
「私語は慎みたまえ。」
(何故だ、、こうなる前も痛みは相当だったはずだ、、今まで我慢してきたと言うのか?)
こうなるまで相当な痛みが伴っていたはずだ。
「先生がいてくれるから安心です。」
出雲さんの声が私の頭の中で聞こえる。
(絞扼性イレウスによる敗血症、、手の打ちようがない、、)
「閉めよう。」
閉腹をし、私は鉄の味がする苦渋と絶望を飲む。
私を心から信じ、慕ってくれた出雲さん、そして家族へなんと伝えればよいのだろう。
どこで私はボタンのかけ違いをしてしまったのだろう。
麻酔が効いているはずの出雲さんの手が私の白衣の袖を握ったような気がする。
涙が彼女の頬をつたった。
手術は終了する。
私は彼女を救うことが出来なかった。
最後まで信じて身を任せてくれた彼女を。




