その頃の馬車の中
はい、その頃馬車の中でやっていたやり取りは大体こんな感じ。
???side
今日は厄日らしい…
だって以前から妹と一緒に父上に頼み込んで王都の外に出たその日の昼過ぎに魔物に襲われているのだから…
何でもこの辺りの街道は近くに森もなく魔物や盗賊の隠れる場所や住む場所も無いため安全だと言うことで許可をされたと言うのにこの辺りに居るはずのないブラックウルフが8頭も馬車をめがけてやって来たんだから。
今日は比較的安全なルートを通り外の景色を満喫したら夕方には王都に戻ると言う日程だった為、騎士も最低限の人数しかおらず、後は執事とメイドのみだ…
???「戦力は我が国の騎士5人か…クラウ勝てると思うか?」
クラウは僕に仕えている執事であり幼い頃よりずっと一緒に居る友人の様なものだ。
クラウ「殿下、恐らくは難しいかと…我が国の騎士は優秀ではありますが一騎当千の強者ばかりではございません。かつ、本日護衛に就いている者達は殆どがまだ2年目のようやく新兵ではなくなった者たちであり、唯一の上官も数の上でまけていれば勝つことは難しいかと…」
???「そうか、では逃げに徹した場合はどうか?」
クラウ「恐れながら同じかと思われます。騎士が全員馬に騎乗している時であればその可能性もあったでしょうが、本日は馬車一台とその他の者達は徒歩ですので、ブラックウルフからは逃げられないかと。」
聞けば聞くほど絶望的な状況だな…
考え込む僕の隣で妹が不安そうにこちらを見ている。
名前はレインフォール僕の双子の妹であり、来月より共に王立学園に入学予定でもある。
レイン「レイ兄様、私達はどうなるのでしょうか?」
そして僕の名前はレイストームだからレイだ。
レイ「なんとも言えないな…現在位置は王都に向かって帰る道中ではあるが、それでも後二時間は掛かる。偶然依頼を受けに行っていた冒険者でも居ればもしかすると加勢をしてくれるやもしれんが…」
クラウ「万が一の時には私と、メアリーさんで少しでも時間を稼ぎましょう…」
そして僕の妹のメイドであるメアリー…彼女もまたクラウと同じく友人の様に育ってきた。
メアリー「仕方ありませんね、他ならぬ殿下と姫様の為ですもの。私も最期まで奉公させて頂く所存です。」
そう言って笑って答えるメアリーだが、足は小刻みに震えているのが分かる…当然か…
外では先程から騎士達の雄叫びが聞こえている。
そして叫び声も…
レイ「案ずるなレイン。何があったとしてもお前は私も守ってやる。最期まで諦めるでないぞ。」
そう言ったときであった。
ンニャー アオーン
何かの鳴き声とブラックウルフの撤退していく姿…
レイ「クラウ!何がおきている!」
もしやここに来て新たな魔物か?そう思ってクラウに確認をすると…
クラウ「殿下…我らは助かったやもしれません…」
そんな曖昧な答えが返ってきた。
クラウ「結論から申しましょう。ブラックウルフは半数は死亡そして我が国の騎士達もほぼ全員が重傷の模様です。そしてブラックウルフの半数を死亡させたであろう猫が一匹騎士達に近付いております。」
猫?訳がわからなくなり僕はなんとも言えぬ顔になっていた。
レイside out
馬車の3人「「「なんだあの猫…」」」
1人「猫!猫が助けに!可愛い猫だと嬉しいな♪」
ミズキ「なんか変な視線を感じる…」