初デート 前編
僕は遠藤元一。二十一歳。童貞。オタク。そんな俺に彼女ができました。
今日は彼女との初めてのデート。そして俺の人生初のデートでもある。準備はばっちりだ。待ち合わせ場所である駅前には三十分前につき、服装もばっちり決め、デートプランも完璧だ。
(あ~楽しみだな~。でへへへへ)
何故だろう。いつもより音が大きく聞こえる。人の声、機械の音、酔っぱらいの叫び声え。あれ?今昼間だよな?まいいや。
そんな中俺だけは静かに立っていた。彼女の私服を想像するたびに心臓が激しく波打つ。これって当然のことか?それとも俺がただ単に変態なだけだろうか?たぶんそうだろうけど。
待つこと数分・・・
「すみませんおまたせし・・・って、大丈夫ですか!?」
彼女は白いワンピースを着てきた。彼女にぴったりなそのワンピースは清楚な感じを漂わせている。そしてそれをひきたてている白いキャペリンもまた、彼女に似合って最高だ。
その上、髪形もいつもとは違う二つに分けた三つ編み、俗にいう『おさげ』だ。まさに『ヒマワリ畑の妖精』のようだ。
そんな彼女の姿を見せられた僕は、思わずしゃがみ込んでしまった。
「だ、大丈夫だよ、ちょっとかわいすゴォッフォ!!」
「何ですか今の!?せきですか!?すごい声でしたけど!」
彼女が涙目で見てくる。そんな顔をしないでくれ。可愛いじゃないか。
「本当に大丈夫だから。い、行こう、行こうか!」
周りの人の視線を感じながら、僕らはその場を後にした。
「今日は遊園地に行こうと思うんだ。今から行く遊園地は結構人気の高い遊園地なんだ」
僕らは駅からちょっと行ったところのバス停で、バスが来るのを待っていた。そんな中、彼女は落ち着いていない様子だった。
「どうしたの?体の調子でも悪いの?」
彼女はうつむいて言う。
「いや、そうじゃないんですけど・・・何も言ってくれないから・・」
「???、何も言わないって・・・は!」
「・・・服のこと」
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
僕はなんてことをぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!
「すすす、すみませんでしたぁぁぁ!!!心の中では思ってたんだよ、似合ってるって!けど、いうの忘れたっていうか・・・本当にすみませんでした!」
僕は地に頭おぶつける勢いで頭を下げた。最悪だ、彼女の服を褒めることを忘れていたなんて。
僕が頭を下げながら思い詰めていると彼女が笑い出した。
「ふふふふ、すみません笑ってしまって。でも、凄く慌てて謝るから、なんか面白くって」
僕もおもわず笑ってしまった。
「遊園地なんて何年ぶりだろ」
僕らは遊園地に着き、園内をぶらぶら歩いて見て回っている。
彼女は小学生のような目で園内を見渡していた。
「あんまり来ないの?」
園内は休日という事もあるのだろうか、人が多かった。
「うん、最後に来たのはた確か・・・小学生の時かな?」
「そんなに来てないんだ。あ、メリーゴーランド乗る?」
僕はついこの前来たんだよね、下見に!なんて言えないな。
「だから遊園地行くって聞いた時は嬉しかったよ。私ジェットコースター乗りたい!」
良かった~。初めてのデートで遊園地はダメかな、と思ったんだけど喜んでもらってよかった!
「ジェットコースターか・・・初めて乗るけど行こうか!」
「え!?初めてなんですか!?ジェットコースター!?」
え!?何でそんなに驚くの!?
「そ、そうだよ。別に怖いわけじゃないけどなかなか乗る機会がなくてね」
「じゃぁ今日が初めてですね!大丈夫です、私がついています!ささ、行きましょう!」
彼女が僕の手を引いてジェットコースターの方に引っぱっていく。そんな彼女が可愛い。でも、嫌な予感もするんだけど・・・