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七木田高校の日常  作者: 日光さんDX
4/4

料理は戦争であり、戦争はするもんじゃないと平和を願う話

今回で最終回となります。

最後までお楽しみして頂けたら幸いです。

相模さがみ 雄太ゆうた。高校一年生。16歳。


本日、家庭科室にて料理実習があり、周りはワイワイと賑やかな雰囲気である。

それでも、俺はどこか腑に落ちない。


まるで、それは死刑を待つかのような囚人になるのではないかとただただ疑問が浮かび上がるばかりである。


「カレーの隠し味はやっぱりバニラエッセンスですよね」

「玉葱って切るとこんなにしみるもんなんすねえ。もうめんどくさいっす。丸ごと入れるっす」

「くそ。人参を0.0000000001ミリ切るのがずれた。やり直しだ」


・・・・・。

改めて自己紹介。俺は相模 雄太。高校一年生。16歳。

いや、享年16歳になりそう。


今日の料理のテーマはカレーライス。そして、デザートのフルーツヨーグルト。

俺たちはそれぞれ分担して料理(?)をしている。

ちなみにメンバーは江口えぐち 流子りゅうこさんと柴田しばた かえでさん、大島おおじま 正太郎しょうたろう君。で、俺を含める四人がカレーのメンバーで、

瓜生うりゅう 成美なるみさんと福田ふくだ りょくはフルーツヨーグルトのメンバーだ。


緑の奴、瓜生さんと一緒なんて羨ましい。


「カレーは辛くなくては。七味唐辛子投入~」

江口さんが瓶に入った七味唐辛子を丸々一本鍋に流し込む。


「じゃあ、楓はブルーハワイを入れるっす」

あれ?ブルーハワイってカクテルじゃなかったけ?なんでそんなのが家庭科室に。

俺が疑問を口にする前に柴田さんは容赦なくドボドボと鍋に混入。


「カレーとメイプルシロップは合うと聞く。入れてみる価値はある」


ねえよ。

俺は心の中でそう思いつつ流れに身を任せる。


もうどうにもなれってんだ。


「どうだ。調子は」

緑が俺に声をかける。その声は心配している様子はなく、楽しんでいるようだった。

良い性格してんな。殴りたくなる。


「どうもこうもないよ。見てよ、この鍋」

俺は鼻をつまみながら、鍋の方に指をさす。

緑はその鍋の中にあるカレーである何かを覗き込んだ。


「うまそうじゃないか」


「どこがだ!?」


「この青紫のカレーにはズバリ何かある!」


「ズバリ毒しかないよ!?」

まるで黒魔術でもやるかのような食す気が失せる色である。

これはカレーじゃないよ・・・。ダークマターだよ・・・。


江口さんは緑の存在に気づき、フッと口元を釣り上げる。


「待っててよ、福田君。もうすぐで完成するから」

しなくていいです。


「江口。俺に考えがある」

急に真剣な顔つきになった緑はするっと何かを取り出す。


「これが俺なりの隠し味生徒会議事録だあああああ」

緑は勢いよく、生徒会議事録を鍋へと放り込む。生徒会の会計としてあるまじき行為だった。


「そんなもん入れんな!紙じゃねえか。生徒会の活動を日誌にした紙の束じゃねえか。俺らはどこのヤギだ」


「やるわね・・・福田君」


「どの辺が!?」


「なら、私はもう一度バニラエッセンスを入れるわ」

どこから取り出したのか江口さんの手には数本のバニラエッセンスがあった。

馬鹿じゃないのこの人。そんなの入れても苦いだけだっつーの。

江口さんの後ろから柴田さんがひょっこり顔を出す。


「福田君や江口君に対抗するために今度は楓、かき氷のシロップを入れるっす」

柴田さんの手にあるシロップ名は。

ブルーハワイ。

結局、この人はブルーハワイ推しかっ。


「君たちいい加減にしたまえ」

大島君は俺らに言い放った。

大島君。君は話が分かる人だと思ってたよ。


「こういうときは支給されたヨーグルトを入れておくべきだろ」


「それはフルーツヨーグルトに使うやつだろ。今は置いとけ!」

どいつもこいつもわざとやってるだろ。

どこの世界に液状化してるものをカレーに入れたがるんだよ。具材を入れろ。具材を。


「あのう、皆さん」

そう言ったのは瓜生さんだった。


「食事ができたので、その、お皿を取ってきてくれると嬉しいです」

へっ?


俺は気が付くと鍋が二つあったことに気づいた。

片方はゲテモノのカレー。しかし、もう一方は、

良い色合いのした。そして、カレー独特のスパイスの香り。俺が思ってたちゃんとしたカレーだった。おいしそう。


「念のためにな。瓜生と作っておいたんだ」

緑が補足するように言った。


「信じてたよ、緑」


「嘘つけ、馬鹿」

今は緑が非常に輝いて見えた。仕草の一つ一つがカッコよく見える。

お互いにはははと笑いあう。


これこそが友情。友情万歳。


「私はフルーツヨーグルトの仕上げをします。皆さん、あとはゆっくりしてください」

ぎこちなく瓜生さんは微笑む。


・・・あれ?瓜生さん変わった?

こんなに瓜生さんは友好的だっただろうか。


「ねえ、緑」

俺は小声で緑に話しかける。


「何だ?」


「瓜生さんって変わったよね。普段は人見知りでもう少しおどおどしているのに」

数秒、緑は考えてから、


「それはお前がそういう瓜生を知らなかっただけだろ。人はそう簡単には変わらない。」


「そうかな」

と俺が答えると、緑は頷いた。



暫くして。


「ふう。ご馳走様。カレーとフルーツヨーグルト旨かったー」

俺がお腹をさすりながらうまさの余韻に浸っていると、


「まだ、残ってるわよ」

と江口さんがある方向へと指をさす。


「え?」

江口さんが指をさす方向はあのゲテモノカレー。

まさか。


「食べてくれるよね?男子諸君」


俺と緑は顔を見あわえる。久しぶりに緑の青ざめた顔が見れた。


大島君は食べて先に行ってしまったのかその場にはもういなかった。


「さ、召し上がれ」


「「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁあああああああぁぁぁあああああ」」



また、暫くして。


「なあ、雄太」


「どうしたの。緑」


「いろいろふざけてしまってすまなかった」


「・・・わかってくれたならいいよ」










七木田高校なぎたこうこう


特に1年C組は波乱を呼んでいる。

その波乱はまだ収まりそうにもない。















個人的には続編を出したいのですが、ギャグがもう少しうまくなってから投稿しようと思ってます。


それなのにも関わらず最後まで読んでくれた読者にそうでもない読者にも感謝です!

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