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気づくのが遅すぎました  作者: 桜谷衿菜
3/5

彼女の隣の席には…

先生の自己紹介が終え、今度は生徒の自己紹介となりました


海藤先生の自己紹介とは違い、名前、趣味、好物、意気込みを言うことに…


ちなみに、海藤先生の趣味や好物は先程の質問で嫌でも耳に入ってきたので、一応メモにとっています


一番前の廊下側の生徒から自己紹介が始まりました


「伊原さつきです!趣味は映画鑑賞――――――…」






ぼーっと聞いていると、どうやら紅葉の右隣の人が自己紹介を始めたようです


「木ノ原祐…。《キノハラ タスク》ピアノ、特になし」


淡い緑の髪に新緑のような透き通ったはずの瞳を持っている彼は、凄まじく暗い……嫌、冷たい空気をかもしだしています


ほら、紅葉は隣でビクンとなって木ノ原君を見上げている



しかし、驚くのはまだ早い。私の記憶にいる彼は、こんな性格ではなかったはず……だから余計に混乱しているのです。


彼はそう…木星の『木』をもつ、攻略対象なのだから




いつから難易度が上がったのか…もしかして私の知らぬ間に、作品がリメイクされていたのか……いやそれとももしかしたら私のいるせいで世界が変わっているのかもしれない


紅葉……ごめん


私は紅葉に合掌する……頭の中で 。


しかし、横から微かに笑い声が響いてきた

チラリとみると、朱色の髪に真っ赤な目をした男子がこっちをみて笑っていた

「ぶっ…」


「なんですか?」


「いや、ずっと一人で百面相してると思ってたら合掌し始めたからさ、ッハハ…やべっ」

アハハハと笑う彼の声は、上手く自己紹介の後に起こる拍手に紛れて消えたが私にはしっかりと聞こえた


「失礼だと思うんですけど…名前も知らない人からそんな…」


「アレ?俺の名前、聞いてなかったの?」


「何ですか、貴方の自己紹介はまだされてないじゃないですか…」


「…いや、その前なんだけどね?まぁ、いいや…自己紹介はちゃんと聞いてよ?俺…アンタとは仲良くやれそうだ」

ニヤニヤと笑う彼に私は何か寒気を感じ、 後に全く予想すら出来なかったことが起きるのだが、この時の私は笑われた怒りに燃えていた


それからしばらくして彼の自己紹介が始まった


「えっと、もう知ってるというか、聞いてると思うんですが、新入生代表に出ていた、冥桜院仁です。趣味は観察、好物は辛いもの、充実した学園生活がおくれるように仲良くしてください。」


嘘だ……。


いや、何がだと問われると彼の笑顔からだった。ニヤニヤと私の前で笑っていた彼は爽やかに笑い、新入生代表をしていたときもいくら頭を抱えていたと言っても私からみた彼は万人受けするような爽やかな男子だな…としか思えなかった


それがなんなんだこの裏切られた感…私と彼はそんなに友好的ではないのだが、なんか心がさらさらと消えていった気がする


そして私はこの時、木ノ原君がこっちを見ていたなんて全く持って気づけて居なかったのだった


それから程なくして私の自己紹介も終えると、隣の彼から肩をツンツンとつつかれ嫌々向くと

「じゃ、そんなわけでよろしくね、アホ宮さん♪」

「んなっ……」

むかつくことこの上ない言葉を爽やかに言われたのだった
















「みつき!」

休み時間、紅葉が私の机にやって来た。

隣の彼は何処かに行ってしまったのだが私の怒りは沸々と湧き、しかし紅葉の笑顔によってそれは解消されていった


「紅葉、どうだった?隣の彼は」

「隣の彼?…あぁ、米原君ならお米について詳しいらしくて、今度厳選されたお米について教えてくれることになったの!」

「いや、左側じゃなくて右側」

「木ノ原君なら、私のレシピノートを見てたから、興味があるのか聞いたら、親が料理人だって教えてくれたよ?それがどうかしたの?」


紅葉の言葉を聞き、一応彼には友好的になろうとする意思はあるらしい。じゃあ自己紹介はなんだったんだと聞きたくはなるのだが、何かあるなら仕方ないと私は思った

何もなかったらどうしよう…


「いや、別に。」

「そういえば、みつきの隣の冥桜院君はどうだったの?」

「……ふ、普通だよ普通。」

「へぇ~、私も話しかけて見ようかな?」

「それはダメ!」

紅葉に得体のしれないものがつかないようにと言った言葉の何処に友好的だと感じたのか紅葉は彼に興味を持ってしまった


頼む紅葉……奴だけはダメだ


「へ?」

「いや、ダメっていうか、他にお友達作った方がいいんじゃないかって…」

「!そうだね!女の子のお友達欲しいもんね!」

ニコニコと笑う紅葉に奴を遠ざけることの出来た私は、清々しく笑った








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