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02 枯れた女の苦悩


お風呂でシャワーを浴びて戻ると、男は上半身を起こしキョロキョロと周りを見渡していた。

あまり見ないで欲しい。良くも悪くも普通の家だが他人に隅々まで見られるのは好ましくない。

髪をタオルで乾かしながら近寄ると男はその綺麗な顔を此方に向けた。


「……公園で倒れていたので我が家に運びました。病院はお嫌いなようだったので」


閉じられていた瞳は想像していたより深い黒で美しかった。それこそ男に興味ないはずの私が一瞬見とれるくらいには。

早口で男の症状を説明しお水とお粥を渡すと、笑顔で頭を下げてくれた。


「ゆっくり食べて下さい。私がいると食べにくいと思うのでリビングにいます、隣なので何かあれば遠慮なく」


一礼して襖に手をかけると背中からありがとうと聞こえた気がした。

ふむ、人助けも悪くない。思わず顔を綻ばせた。





リビングで見ていたドラマが終わったのでそろそろいいかなと和室に向かう。

一声かけるとどうぞと耳が溶けそうなテノールが聞こえた。


「失礼します」

「本当にありがとう。君のお陰で助かりました」


本当に蕩けそうな声。脱水症状が治まったから普段の声に戻ったのかな。

顔に加え声までいいなんて、神様贔屓しすぎだよ。


「いえ。それより何故公園で倒れていたのか聞いてもいいですか?」


男は私の問いかけにぴくりと肩を揺らすとしばらく考える素振りを見せたが、意を決したように力強く私を見つめた。

男の人に見つめられることなど慣れていなくて、しかもこの男の綺麗な顔だと余計に免疫がない。私は視線をどこにやればいいのか戸惑った。


「…俺をここに置いてくれませんか?」

「えーっと、両親にも聞いてみないと…」

「俺が完全に回復するまででいいんです。お願いします!」

「やめて下さい!顔をあげて下さいよ!」

「いいと言ってもらえるまであげる訳にはいきません」


遠回しに無理ですとお断りしているのだが伝わらなかったらしい。

それどころか土下座まで、プライドはないのか。いや、プライドなんて気にしてられない事情があるのかも。

はぁ。つくづくお人好しな自分が嫌になる。

けれど仕方ないとため息を吐きながらも了承した。


「わかりました。しかし家のルールには従ってもらいますから」

「ありがとう!君は本当に優しい人だ」


蕩けそうな甘い声を聞きながら、私はこれからどうしようか考えていた。






男の正体は不明、名前や年齢は次回紹介します。枯れた女についても同じです。


顔よし声よし、更に次々知れる男の素性。

神は一体何物彼に与えるのか(笑)


読んで頂きありがとうございました。引き続き見て頂けたら幸いです。


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