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世界を渡る竜  作者: 海響
第1章:幼少期
8/18

誕生日とその後

うぅ・・・進まない。

フィニティスはケーキを次々に口に運んでいた。

目の前で見ているフェスニストは、温かい目でそれを見ている。

そして、そんな二人を周りは微笑ましそうに眺めている。


そんな中、フィニティスは何かに気づいたように兄を見た。


「にいしゃまは、たべないのぉ?」

「あとで戴くよ。今はフィーを見ているからいいの。」


何故か兄からハートが飛んだ気がしたが・・・気のせいだろう、そう思いたい。


「フィー、そのケーキを食べたらベットに入る時間だよ。」

「まだ、きたばかりでしゅよ。」


フィニティスは一応、無駄だと思いながら上目遣いで、兄に言ってみた。


「もう1刻(1時間)も食べ続けているのだから、いつもよりずっと遅いよ。」

「えっ!?」


フィニティスは父から貰ったばかりの懐中時計を出して時間を確認した。


(本当に21時じゃん!もっと居たかったのに、何で夜から始めるのよぉ。)


昼間は仕事をしている者が多い為、開始時間が遅い時間になってしまったのだ。

因みにこの世界の一日は、26刻、前世で考えるところの26時間という事になっている。

普通、竜人の子供でもまだ時間を理解する事は出来ない。

だが、フィニティス自体が異例づくしのため、今更、家族に驚く者などいない。


「フィー、良い子だから、ベットに入ってくれるよね?」


フェスニストが笑顔だが、何故か威圧感を感じさる顔で聞いてくる。

そんな顔で聞かれて断る勇気など、フィニティスは持ち合わせていなかった・・・即座に頭を縦に振る。


「おやすみのごあいしゃつして、いきましゅ。」

「フィーは本当に良い子だね。食べ終わったようだし、御父様達の所に行こうか?」

「はい。」


満面の笑みで言った兄に、フィニティスは小さな声で了承した。

兄に促され、重い足を動かしながら両親達の元へと向かうのだった。








執事のアイオスに連れられて行くフィニティスを見送りながら、フェスニストにオズワイドが口を開いた。


「よく、フィニティスが大人しく眠る事を了承したな?」

「フィーは良い子ですからね。」


しれっとした顔でフェスニストが答える。


「フェス、フィニティスに聞かれたくない話をしたかったのではないか?」


苦笑しながら言った父に了承の意を示し、少し奥まった席へと移動する。


「御父様、サクトがフィニティスに目を付けたようです。」


微笑みながら話し出したフェスニストだが、目が全く笑っていない・・・。


「アレは、もはや病気だ。しばらくは放っておけ。」

「解りました。それともう一件、しばらくすけば『聖約の儀』があります。そのことについても対策を考えて置かなければなりません。」

「その話は、後ほど部屋で話そう。エルローゼも加えて話した方が良いだろう。」

「御母様は?」

「私たち夫婦では、もう話し合って結果は出ている。あとはどのような対策をするか、お前達と話を詰めるだけだ。」

「要は、俺達三人に任された訳ですか?責任重大ですね。」

「お前の母は”光”の血統の出身だからな、荒事には向かないのだ。それを自分でも理解しているから任せるのだろう。信頼されているということだ。」

「了解しました。最善の策を講じましょう。」


父の言葉に、嬉しさを隠しきれない。


「では、皆が寝静まった後にお伺いします。話し込んでいて、招待客を任されたままの御母様が、怒りださないうちに戻りましょう。」

「もう、手遅れな気がするが、此処に呼んだのはフェスだからな。任せたぞ!」

「そんなぁ。おとうさまぁー・・・・・・」


この後、フェスニストは母に叱られ、一人遅れて父の書斎に向かったのだった。






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